はじめに
ベンチャー企業に就職しようと思っている、と周りに言うと「危ないんじゃないの?」と言われることがよくあるようです。
まだ世の中的にベンチャー企業というものがどのようなものかが理解されていないので、真に受ける必要はありません。
一方でベンチャーは大手に比べると情報が少ないことや将来のキャリアの描き方など、気を付けるべきポイントが多いのは事実です。
ここではベンチャー企業に就職を検討する際の注意点などを見ていきましょう。
目次
ベンチャー企業は危ないのか
周りからベンチャーは危ないのではないか、と言われてしまうと不安になることもありますよね。
本当にベンチャー企業は危ないのか、見ておきましょう。
やりがい搾取ベンチャーは途絶えない
正直に申し上げると、ベンチャー企業すべてが非常に素晴らしい職場であるということは言えません。
いわゆる「やりがい搾取」と言われる状態が発生しやすいのはベンチャーの特徴です。
崇高な理念を掲げ大きなチャレンジをするのがベンチャー企業ですので、その理念に共感する人材が多く集まってきます。
高い目標を達成するにはひたすら努力が必要なのだ、と長時間の勤務を求められることがあるのですね。
やりがいのある仕事をしていると気づかないのですが、正当な賃金を払わずに長時間労働をするのは誤った経営です。
このような状態をやりがい搾取と言います。
やりがいを感じやすいベンチャー企業だからこそ発生しやすい課題ですし、実際に多くのベンチャーがこのような状態にあることでしょう。
ベンチャーは有象無象である
一言でベンチャー企業と言っても、本当に様々なベンチャー企業があります。
平均年齢が40歳以上の大人なベンチャー企業もありますし10代が経営者を務める若いベンチャー企業もありますよね。
ベンチャーをひとくくりに危ないというは、大手企業は安定しているというのと同じくらい意味のない議論です。
ベンチャーだからというよりは業界やその企業個別の状況をしっかりと把握することが大切でしょう。
最終的に危ないと思うかどうかは自分次第
ベンチャーを危ないという人の多くは、ベンチャー企業が簡単に倒産するから仕事がなくなるのではないかと危惧をしていることでしょう。
1社にずっと勤め上げたい人にとっては、ベンチャーは確かに危ないかもしれません。
しかし今の時代は新卒で入社した会社に一生勤め上げるほうが珍しい時代です。
どの企業でも通用するスキルがつかないことのほうがリスクと考えることもできます。
大手でもベンチャーでも、身につくスキルが何かを考えるのであれば会社の規模は関係ありませんね。
結局は自分が将来どのように生きていきたいか次第でベンチャーが危ないかどうかは変わるわけです。
ベンチャーが危ないと言われる理由①事業基盤がもろい
一般的にベンチャー企業が危ないと言われる理由について見ておきましょう。
1つ目は事業基盤がもろいということです。
市場にないビジネスであり流行り廃りがある
ベンチャー企業は今まで世の中にないようなサービスを生み出したりプロダクトを作り出したりします。
そもそもそのサービスやプロダクトを求めている人がいるのかどうかもわかりません。
顧客を見つけるところから始めていきますし、多くの人に理解をされるまで時間もかかりますよね。
その間に競合サービスが出てきたり新しい仕組みが出てきたりするとあっという間に自分たちのサービスやプロダクトが陳腐化することがあります。
このように事業基盤を安定させるまでがベンチャーの難しいところです。
プロダクトがマーケットフィットしていない
新しいサービスやプロダクトを作り出す時は、それが顧客にとって価値のあるものとなるまで試行錯誤を繰り返さなければなりません。
マーケットフィットとは顧客のニーズに合致するという意味ですが、その状態になるまでがベンチャーの勝負ではあります。
新卒採用をしているような企業は基本的にこのプロダクトがマーケットにフィットしている状態になっていることがほとんどです。
だからこそ新卒を採用して人を育成する余裕があるということでしょう。
一般的にベンチャー企業というと、このようにまだまだ世の中に受け入れられるサービスやプロダクトができていないと思われがちです。
資金調達手段が限られる
ベンチャー企業は若い企業がほとんどです。
過去からの利益の積み上げがないと銀行からの借入などもしづらいですね。
一方で自分たちの高い目標を達成するためにお金は使わなければいけません。
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金を集めてくるのですが、成長が止まるとこのような人たちはお金を出してくれなくなるでしょう。
このようにお金がなくなってしまうリスクが高いことで事業基盤がもろいと考える人もいます。
ベンチャーが危ないと言われる理由②人を育てる文化がない
ベンチャーが危ないと言われる理由の2つ目は、人を育てる文化がないということです。
これについて詳しく見ていきましょう。
ベンチャーは基本的に人を育てない
ベンチャー企業は基本的に人を育てる余力があまりありません。
常に高い成長を求めて日々の成果に集中するのです。
誰かに物事を教えるくらいであれば自分でやったほうが早いとなってしまいます。
新卒でベンチャーに入るのであれば自ら仕事を創り出し、自ら完遂するまでやるという気概が必要です。
これがベンチャーでは裁量がある、責任のある仕事ができると言われる理由でもあります。
悪く言うと基本的に放置されるので、自分で何でも創り出さないといけないということですね。
中途採用が多く即戦力を求める
成果を出そうと思った場合、新卒を採用するよりも実績のある中途で即戦力人材を採用したほうが効率的です。
営業を強化したい時に、営業経験が未知数な新卒を採用するよりも営業で結果を出してきた中途人材のほうが確度が高いですよね。
ベンチャーは基本的に中途採用がほとんどです。
新卒で採用される場合も、長期インターンを経験してその会社で活躍することが認められ入社をするなどのケースが多いでしょう。
ベンチャーは人を育てるのではなく即戦力を欲しがっています。
長期的成長よりも目の前の課題解決を優先
ベンチャーは長期的に物事を考えづらいです。
目の前の成果を上げていかないとすぐに事業が継続できない状態になってしまうからですね。
夢や目標はもちろんあるでしょう。
それを成し遂げるためにベンチャーにみんな集まってきています。
短期的な課題と長期的な課題の両方を対応しなければなりません。
ある程度事業が軌道に乗るまでは目の前の売上を上げることに一生懸命となり、短期目線が強くなります。
人材育成は時間がかかりますよね。
人を育てることは長期目線の仕事となるので、後回しになりがちなのが実態です。
ベンチャーが危ないと言われる理由③転職がしづらい
ベンチャーが危ないと言われることの3つ目は転職がしづらいことが挙げられます。
特に日系大手企業への転職はしづらい
日系の大手企業は特に新卒を大切にする傾向が未だに強くあります。
中途採用は依然として多くはないのが現実です。
日系大手と日系大手の間での転職はまだしやすいと言われます。
中途採用の担当が採用を決める時に「●●という優良企業に一度入社ができた人」という看板がつくためですね。
ベンチャーだとその看板の力が弱いため、日系大手への就職が難しくなるのです。
自分が抜けると会社がつぶれる
転職を検討したいと思っても、所属しているベンチャーで活躍していれば活躍しているほど抜けづらくなります。
その人がいないと会社が回らない、成り立たないという状況が想定され激しい引き留めにあうためです。
残した人たちのことを考えると転職することに対して気が引けるという人も多くいます。
活躍するからこその悩みですね。
大手企業ほどに社会人基礎教育はない
ベンチャーは大手企業ほどには社会人としての基礎を教育する余裕がありません。
実践を通じながら自分なりに学んでいくため、それが世間の一般的なやり方とずれている可能性があります。
我流で育った人を採用するよりは、社会一般的に通用するベースを持った人を採用したいというのが中途採用担当者の本音でしょう。
自分の成果や実力を伝える前に形式的に断られることが多くなるので、転職がしづらくなるという状況になります。
優良ベンチャーの見極め方
せっかくベンチャーに入るのであれば自分が成長できる環境を選びたいですよね。
ここではどのように新卒が活躍しやすいベンチャーを見抜くかという話をします。
会社の卒業生が活躍しているかどうか
まずは、会社の卒業生が活躍しているかどうかです。
ベンチャーの特徴の1つは経営者の近くで仕事ができることですね。
経営者の近くで仕事をした従業員が多くを学び、また場を変えても活躍できると人が育つ環境であると考えることができるでしょう。
一般的に人材を輩出できるベンチャーは優れた会社が多いですよね。
自分の力で生きていくと考えると、このように他の会社に行っても活躍できることが証明されている会社は優れた会社と考えられます。
平均勤続年数が短すぎないか
ベンチャーは一般的に人の入れ替わりは早いので、平均勤続年数が3年とか5年位であることがほとんどです。
日系大手で優良企業と言われる会社だと10年超の会社も多くあります。
ここは大手とベンチャーの差が出るところです。
一方で、平均勤続が1年や2年と非常に短い場合には注意をしましょう。
人が入れ替わると事業のノウハウも蓄積できず課題が多い会社と考えることができます。
適正な利益や資金を確保しているか
中途であれば、自分の力でその会社の利益を創ると考えて入社を決められます。
一方で新卒の場合は成長をしながら貢献をしていくので、ある程度自分から利益を創りに行くというのは難しいでしょう。
利益が出ている会社でないと、まずは目先の結果を優先という形になってしまいます。
できれば健全な利益が出ていて人材の育成に時間と労力を割ける企業を選ぶようにしましょう。
ヤバいベンチャー企業の特徴
避けるべきヤバいベンチャー企業の特徴を見ておきましょう。
ビジネスが社会課題を解決していない
ベンチャー企業は社会課題を解決するために様々なビジネスを考えます。
もしくは誰かの深い悩みを解決するものです。
企業のビジネスを見た時に、具体的に誰の役に立つのかわからないものやどのように社会に役に立つのかわからない場合は避けましょう。
ベンチャーを選ぶ時に一番大切なのは、なぜそのビジネスをするのかです。
どこでもいいからベンチャーに行きたいではなく、しっかりと理念に共感した会社でインターンするなり入社するなりを決めてください。
規模の割にオフィスが豪奢
まだ売上が小さいにもかかわらずオフィスがとても豪奢なベンチャーは避けるべきです。
オフィスが広くて質素な分には構いませんが、無用にオフィスを飾ることにお金をかけているとお金の使い方としては問題ですよね。
良いベンチャーはオフィスでなく人材で人を惹きつけるものです。
オフィスの豪華さではなく人を見て決めるようにしましょう。
採用に社長が出てこない
ベンチャー企業にとって採用は非常に大切です。
まさに人が財産と言えます。
にもかかわらず採用の場面に社長が出てこないというのは、社長が経営をわかっていないと言えるのではないでしょうか。
ソフトバンクの孫正義社長でも新卒採用で学生向けに講演をしています。
それほど採用は企業にとって重要なのです。
採用に社長が出てくるのかどうかわかりやすい目安でしょう。
ベンチャーには不確実性がつきもの
ベンチャーに入社を検討するのであれば、不確実なことに対応する覚悟をしておきましょう。
入社後に人が入れ替わることもある
ベンチャーは人の入れ替わりが激しいです。
入社時に憧れた先輩社員がすぐにいなくなるということもあり得ます。
一緒に働く人を理由に企業を選んでしまうと、その人がいなくなった時にその会社にいる理由がなくなってしまいますね。
変わらないのは社長ですので、ベンチャーを選ぶ際は社長を見て選ぶようにしましょう。
大型調達をしても2~3年で使い切る
ベンチャーが数億円の資金調達をしたというニュースを出す時がありますね。
お金もたくさん入って大きく成長していくぞというアピールになるでしょう。
一方で、調達した資金は将来上場をするなどで大きく成長して返さなければなりません。
そして大体のケースはその期限が決まっているのです。
すると、調達したお金は2~3年で使い切るくらいで投資をしていかなければなりません。
いっぱいお金があるから安心というだけではありませんので、気を付けてください。
悩んだら大手企業のほうがいい
ベンチャーか大手か、悩ましいですよね。
悩んだ時点で基本的には大手にしておいたほうが無難でしょう。
ベンチャーに挑戦するのは大手で実績を積んでからでも遅くはありません。
ベンチャーには人を育てる文化は薄く、転職市場でも評価がされづらいという特徴があります。
成功する覚悟をもってベンチャーを選ばない限りは大手にしておいたほうがいいでしょう。
まとめ
ベンチャー企業が危ないと言われる理由について見てきました。
ベンチャーは本当に素晴らしい会社からやりがい搾取の企業まで幅広くあります。
できる限り情報を集めて素敵なベンチャーに出会えるよう頑張ってください。
自分の力で生きていくという強い覚悟を持たない限りはベンチャーに就職しないほうが良いでしょう。
自分と向き合ってしっかり答えを出してくださいね。
企業の分析の方法については以下の記事で紹介していますので参考にしてください。
それでは、就職活動頑張ってくださいね。
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