はじめに

インターネットや本屋、SNSでよく目にする『メモの魔力』という本。

就活の自己分析でオススメと聞いたことがあっても、「メモと自己分析に何の関係があるんだろう?」・「気になってはいるけれど本を読むのが苦手…」と読むのをためらっている人もいるのではないでしょうか?

そこでこちらの記事では、『メモの魔力』で紹介されている自己分析の方法を徹底解説していきます。

メモ書きが就活に使える理由や、『メモの魔力』の特別付録である「自己分析1000問」のPDF・エクセルシートも合わせて紹介しますので、ぜひ自己分析の参考にしてください。

自己分析を深めるためには『メモの魔力』は欠かせません。

自分のことを知り尽くし、自己分析を極めたいという人はぜひ最後まで読んでみてください。

『メモの魔力』とはどんな本?

『メモの魔力』とは2018年の発売以降、就活生だけでなく多くの社会人からも支持されているビジネス書。

累計34万部を突破したベストセラーのため、読んだことはなくてもタイトルを聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか?

著者は、SHOWROOM株式会社の代表取締役社長である前田裕二さん。

前田さんは、就活生時代に自己分析ノートを30冊以上書いた自己分析の猛者です。

そのため『メモの魔力』には著者の自己分析のノウハウや、就活だけでなくビジネスの世界にも通用するメモの活用方法が記されています。

就活だけでなく、ビジネスや人生に対しても新たな視点や考え方を与えてくれる本です。

『メモの魔力』を読むべきタイミング

『メモの魔力』は、自己分析を一通りやり終え、さらに考えを深めたいと思ったときに読みましょう。

就活を始めたばかりの人ではなく、中級者〜上級者向けの本です。

『メモの魔力』に記載のフレームワークを理解するだけなら就活初期に読んでも構いません。

しかし、特別付録の「自己分析1000問」にしたがって自己分析しようとすると非常に時間がかかってしまいます。

自己分析をこれから始める人は、自分史やモチベーショングラフを作成することから始めてください。

過去の出来事をざっくりと把握してから深掘りすることで、効率よく自己分析を進められます。

ちなみに、自分史・モチベーショングラフの書き方はそれぞれ以下の記事でまとめています。ぜひ合わせて読んでみてください。

自己分析に使える自分史を徹底解説!具体的な作り方・書き方とは?作成した後の3つの活用方法から自分を深掘る質問項目まで紹介

モチベーショングラフの書き方・作り方を6ステップで解説!作成におすすめのツールとは?具体例や実際に使えるテンプレも紹介

メモ書きが就活に使える理由

本のタイトルにもある「メモ」という言葉。

なぜメモが就活の役に立つのか、なかなかイメージできませんよね。

しかしメモは、書き方や活用方法次第で自分の考えをより一層深められます

そのため、就活の自己分析においてメモ書きはかなり有効です。

一般的にはメモというのは、事実や自分の考えを忘れないようにするために文字に書き起こしたもの。つまり「メモ」=「備忘録」です。

しかしメモには、それ以外にも次の3つの効果が期待できます。

  • アイデアに転換する
  • 自分を知る
  • 想いを強くする

就活において、2つ目の「自分を知る」ことは非常に重要です。

自己分析ができていなければ、どんな業界・企業に就職すべきかも分からないうえに、志望する企業に対しどのように自己PRすべきかも分かりません。

しかし、自分の過去の事実・経験に関するあらゆることをメモに書き起こすと、自分がどんな人間か分かり、これから自分は何をすべきか、どんなことをすれば自分は幸せになるのかが見えてきます。

また、3つ目の「想いを強くする」ことも就活では大切です。

どうしても就活初期の熱量は次第に薄れてきてしまうもの。

しかし文字として書き起こし何度も見返すことで、想いが薄れることなく、むしろ強くなっていくのもメモのメリットです。

では具体的にどのようなメモを取れば自己分析に繋がるのか。それは次の章「『メモの魔力』で自己分析する方法」にて解説します。

『メモの魔力』で自己分析する方法

『メモの魔力』で自己分析するには、「ファクト→抽象化→転用」というフレームワークがポイントです。

ここからは、そのフレームワークとは一体どんなものか、それによってどのように自己分析が深まるのか、具体例も混じえながら5ステップで解説していきます。

STEP1 自己分析用のノートを準備する

まずは自己分析用のノートを準備してください。

たくさん書き込めるよう、B5サイズ以上の大きめのノートがオススメです。

ノートを用意したら、上図のように線で区切っていきましょう。

このとき、ノートは見開きで大きく使うようにしてください。

STEP2 ファクト(事実)を書く

ノートに表を書いたら、まずは「ファクト(事実)」の欄から記入していきます。

ある質問に対して、過去の経験や事実を思いつく限りたくさん書いていきましょう。

このときの質問項目は、「自己分析1000問のPDF・エクセルシート」の章またはこちらの記事で紹介している内容を参考にしてみてください。

【自己分析で本当に使える質問項目を激選】質問を使った自己分析の進め方とは?具体例や回答後のアクションプランまで徹底解説!

できる限り多くの質問に答えていき、それぞれ詳しく書き出すのがポイントです。

STEP3 ファクト(事実)を標語にまとめる

ファクト(事実)を書き出したら、それを一言で表す標語を考えましょう。

考えた標語は、左端の「標語」の欄に書いてください。

どんなエピソードか端的に表すことで、言語化のスキルも磨かれるうえに、あとからノートを見たときに何について書いてあるのかがすぐ分かるようになります。

ただ自己分析を深めるための工程ではないため、標語を考えるのに多くの時間を割く必要はありません。

あくまであとから振り返りやすくするための工夫です。深く考えすぎないようにしましょう。

STEP4 ファクト(事実)を抽象化する

次は、ファクト(事実)を抽象化していきます。

自己分析では深掘りが重要とよく言われますが、この抽象化が深掘りに当たる作業です。

今度はノートの右側「抽象化」の欄に記入していきます。

ここでいう抽象化とは、「なぜ?」を繰り返し「そのファクトから言えることは何か」考えていくこと。

たとえば次のようなイメージです。

幼少期に苦しかった経験は?

■ファクト:お金がなくて塾に行けないが、塾に行っている子のほうがどうしても賢い。でもその後、死ぬ気で勉強して追い抜いた。

■抽象化:運命を努力で覆したい、逆境はバネになることを証明したいというのが自分のモチベーションになっている。

引用元:メモの魔力

抽象化と聞くと難しく感じるかもしれませんが、理由や原因を探すのに近い作業といえます。

次の質問に答える形で考えていくと比較的簡単に抽象化できますよ。

  • それはなぜか?なぜやろうと思ったのか?
  • なぜそれを頑張れたのか?
  • なぜそのような状況だったのか?どのような背景があったのか?
  • そのときどのような感情だったか?それはなぜか?

STEP5 抽象化したものを転用する

抽象化が終わったら、次はそれを転用していきます。

ノート右端の「転用」の欄に記入していきましょう。

ここでいう転用とは、抽象化した内容を「今後に活かすためにはどうすべきか考えること」です。

たとえば次のようなイメージで転用してみましょう。

幼少期に苦しかった経験は?

■ファクト:お金がなくて塾に行けないが、塾に行っている子のほうがどうしても賢い。でもその後、死ぬ気で勉強して追い抜いた。

■抽象化:運命を努力で覆したい、逆境はバネになることを証明したいというのが自分のモチベーションになっている。

■転用:このモチベーションを原点に置いておけるような事業を創る。こういった憤りを持っている人に自分の体験を伝えて勇気を与える。

引用元:メモの魔力

このように転用まで行うことではじめて、自分の目指すべき方向が見えてきます。

「ファクト→抽象化→転用」というフレームワークを用いて、様々な質問に答えることで自己分析を深めていきましょう。

『メモの魔力』で自己分析した場合の具体例

ここまで解説した「ファクト→抽象化→転用」というフレームワークをもとに自己分析した例を3つ紹介します。

ここで紹介する例は1つの質問に対し1つのファクトを記載していますが、実際に自己分析する際は1つの質問に対し複数のファクトを書き出して構いません

ぜひ具体例を参考にノートへまとめていきましょう。

小学校時代に楽しかった経験は?

■ファクト:兄が通知表を見て喜んでくれたこと。

■抽象化:兄を喜ばせること自体が自分の喜びになっている。

■転用:もっと兄を喜ばせるアクションをとる。

引用元:メモの魔力

中学校時代に一番影響を受けた人は?

■ファクト:ギターをくれた親戚のお兄さん。

■抽象化:どんなときも味方でいてくれて、無償の愛を提供してくれた。それが物凄い支えになった。

■転用:今度は自分が誰かの味方になって、無償の愛を提供していこう。

引用元:メモの魔力

高校時代に描いていた夢は?

■ファクト:国連などの国際機関に入ること。

■抽象化:世界の不条理と戦いたい、という強い想いがあった。

■転用:民間の力、インターネットの力で世界の不条理を解決していこう。

引用元:メモの魔力

自己分析1000問のPDF・エクセルシート

「『メモの魔力』で自己分析する方法」のSTEP2でも解説した通り、できる限り多くの質問に答えていくことが自己分析を深めるためのポイントです。

ここでは『メモの魔力』の特別付録である「自己分析1000問」を紹介します。

ぜひこちらの質問に対して「ファクト→抽象化→転用」し、自己分析を深めていってください。

<自己分析1000問:エクセル・スプレッドシート>

ページに行った後、「ファイル」メニューから「コピーを作成」を押して下さい。

<自己分析1000問:PDFデータ>

自己分析1000問のPDFデータは、『メモの魔力』の編集者である箕輪厚介さんのTwitterより公開されています。

『メモの魔力』で自己分析するときの注意点

ここまで、『メモの魔力』で自己分析する方法と具体例を解説してきました。

しかし、紹介した方法にしたがっても上手く自己分析が進まない場合があります。

これから紹介する5つのポイントに必ず注意して自己分析するようにしてください。

自己分析にかける時間はあらかじめ決めておこう

自己分析に明確なゴールはありません。

だからこそ、やってもやっても満足できず、どつぼにはまってしまうこともあるでしょう。

自己分析に時間をかけることは大事ですが、無闇に時間をかけてしまうのはあまりにも非効率的です。

自己分析する際は、しっかり時間を決めてから取り組むようにしましょう。

特に、自己分析1000問すべてに答えようとするとかなりの時間がかかります。

そのため「今週は◯問目まで終わらせる」または「自己分析にかける時間は1日◯時間まで」といった形で制限を設けて自己分析するようにしましょう。

就活は自己分析以外にもやるべきことがたくさんあります。計画的かつ無理のない範囲で自己分析を進めましょう。

4色ボールペンを使おう

自己分析ノートにまとめるときは、4色ボールペンを使って視覚的に分かりやすくしましょう。

この方法は『メモの魔力』内でも推奨されています。

色は次のように分けるのがオススメです。

  • 黒:通常のメモ
  • 赤:最も重要な箇所
  • 青:やや重要な箇所
  • 緑:メモに対する感想や発想

色を使って、あとから振り返りやすいノートを作りましょう。

自己分析1000問に答えること自体をゴールとしない

「自己分析1000問に答えること」=「自己分析のゴール」ではありません。

自分の強みや価値観、これから目指すべき方向を見つけることが自己分析の目標です。

「1000問すべてに答えよう!」という熱意は非常に大事ですが、1000問すべてに答えることよりも、1問ずつ真剣に向き合っていく方が効率的かつ着実に自己分析を深められるでしょう。

また、自己分析1000問に答えること自体を目標としてしまうと、自己分析の本質からずれてしまう可能性があります。

時間を無駄にしないためにも、常に「何のために自己分析しているのか」を意識したうえで自己分析を進めましょう。

質問に対して率直な考えを書こう

自己分析1000問に答えていくと、「こんな内容でいいのかな…?」と不安になったり「こんなことを書くのは恥ずかしい」と書くのに抵抗を覚えたりすることもあるでしょう。

しかし、自己分析ノートは誰かに見せるものではありません。

不安や抵抗があったとしてもしっかりと事実を書き出し、率直な考えを書いていきましょう。

些細な内容から思わぬヒントが得られるかもしれません。

不安になりすぎず、素直な気持ちで質問に答えていきましょう。

他の人の考え方を参考にしよう

自己分析が行き詰まってしまったときは、他の人の考え方を参考にしてみましょう。

『メモの魔力』はベストセラーだからこそSNSを通して多くの人の自己分析の内容や考え方を知れるのも特徴です。

Twitterで「#メモ魔」と検索すると様々な人の「人生の軸」という価値観に関する投稿が見られますし、『メモの魔力』内でも約1,000人分の「人生の軸」が紹介されています。

色々な考え方に触れ、ヒントを得ながら自己分析を深めていきましょう。

まとめ

自己分析を深めるために欠かせない『メモの魔力』。

「ファクト→抽象化→転用」というフレームワークを使い、自己分析1000問に答えていくことで自己分析を深められます。

自己分析を一通りやり終え、さらに考えを深めたいと思ったときはぜひ『メモの魔力』を活用しましょう。

ただし、自己分析1000問に答えること自体が目標とならないように注意してくださいね。

ちなみに『メモの魔力』以外にも自己分析でオススメの本はいくつかあります。

こちらの記事にて、ワークシート形式の本や自分の強み・価値観について知れる本を紹介しているのでぜひ合わせて読んでみてください。

自己分析を行うときに読むべき本5冊を徹底紹介!失敗しない本の選び方や効果的な本の読み方とは?購入時に注意したい点まで解説

あらゆる本を活用してさらに自己分析を深めていきましょう。

この記事を書いた人Mayuka