はじめに
就活生に毎年不動の人気を誇る業界の1つが不動産業界です。
三菱地所や三井不動産等は様々な人気ランキングでトップ10に入るほどの人気です。
コンサル、総合商社、不動産ディベロッパーの御三家ですね。
しかし人気があるからといってみんなにとって素晴らしい仕事ばかりではありません。
しっかりと不動産業界について業界研究し、自分のやりたい仕事があるのかを判断できるようにしましょう。
この記事では不動産業界の社会的役割や今後の動向、向いている学生の特徴等を解説していきます。
是非最後までご覧ください。
業界研究をする前に
不動産業界の業界研究を始める前に「なぜ業界研究をやるのか」、目的を明確にしておきましょう。
業界研究でやるべきことは業界の現状や将来性に関する情報を集めるだけではありません。
業界の情報と自己分析の結果を擦り合せることで、自分の特性にあった業界なのかどうかを考えることが重要です。
そして入社後「こんなはずじゃなかった」とミスマッチにならないようにすることが業界研究の正しい目的です。
不動産業界について理解を深めながら「本当に自分に合う業界なのか、仕事があるのか」を意識して読み進めてみてください。
ちなみに業界研究を始めたばかりの人ややり方がよく分からないという人は、こちらの記事も合わせて読んでみてくださいね。
業界研究の目的を正しく理解したうえで、不動産業界は自分が活躍できそうなフィールドなのか見極められるようにしましょう。
不動産業界とは
不動産業界は非常に広い範囲の業界を指します。
そもそも不動産て何だろうという話ですが漢字の通り「動かすことができないもの」です。つまり土地及び土地の定着物であり建物も不動産です。
土地及びその定着物である家や建物を建てる、売る、管理する等不動産に関することはすべて取り扱うのが不動産業界です。
不動産業界の概要
不動産業界には多くの業態がありますのでどのような業態の会社があるのか見ていきましょう。
分かりやすい仕事もあればあまり知らなかったような仕事もあるかと思います。
ディベロッパー
就活生から最も人気が高いのがこのディベロッパーです。
ららぽーとのような商業施設の開発をしたり街づくりを行政とともに手掛けたりします。
多くの人を巻き込んで文化を作る仕事であり、ディベロッパーの仕事はオーケストラの指揮者に例えられたりします。
三菱地所や三井不動産、東急不動産が大手のディベロッパーです。
ハウスメーカー
マンション建築のプロジェクトを主導したり一戸建て住宅の建築等を企画して販売します。
人の生活の根幹を支える家づくりを主導します。
商業施設や大規模なビルのディベロッパーは企業数が少なく1社あたりの採用数も少ないため狭き門です。
ハウスメーカーは多くの事業者が存在しており採用も多くあります。
野村不動産やオープンハウス等が主な事業者です。
不動産仲介
不動産仲介は不動産の情報を繋げる役割をします。
例えば家を売りたい人と家を買いたい人を繋げたり、ビルを貸したい人と借りたい人を繋げることで手数料をもらう仕事です。
不動産会社だけでなく、信託銀行などこの事業領域に参入しています。
東急リバブルや三井住友トラスト不動産等が大手のプレイヤーです。
不動産管理
不動産管理は建築した後のビルやマンションが健全な運営ができるよう建物を管理する会社です。
マンションであれば住民の方が問題なく生活ができる環境を整えることが仕事です。
またマンションの管理組合とコミュニケーションをとり適切な組合管理をサポートしたりします。
長谷工コーポレーションや日本ハウズイング等が大手企業となります。
不動産業界の基礎知識
ここからは不動産業界を志望する学生の方には必ず抑えておいていただきたい基礎的な情報を3つお伝えします。
人気のある不動産業界ですがいい話ばかりでもないので良い話も悪い話も両面理解しましょう。
1.不動産業界の市場規模
不動産業界自体は好不調の波が大きい業界です。バブルがはじけた後には経営が立ち行かなくなる会社も多くありました。
グラフからわかる通り近年は緩やかに経済成長が持続していたことから安定的に成長しています。
40兆円という大きな業界となっています。
2.関係業界の多い不動産ビジネス
不動産業界は不動産業界自体の規模も大きいですが、関係する業界も非常に多く経済の波及効果が大きいのが特徴です。
例えば大型のマンション一つ作るにも銀行や建設会社が必ず出てきます。鉄鋼や建材、住宅設備関連の会社も必要です。
家を新しくすれば家電や家具を買い替える可能性も高いですね。
国が経済を回復させようとすると不動産ビジネスを活発にさせることを考えます。不動産ビジネスが好調だと付随して多くの業界が潤うためです。
このように不動産は多くの業界に影響力を持つ業界と言えます。
3.少子高齢化の影響を受ける
不動産業界が最も危惧しているのは少子高齢化の影響でしょう。
人が少なくなるということは純粋に家が必要なくなるのです。高度経済成長期に建築されたいわゆるニュータウンから人が減っていく動きが出ています。
働く人がいなくなればオフィスもいりません。
世の中の大きな流れが不動産業界に与える影響を把握しておいてください。
不動産業界の売上高ランキング
次に不動産業界のメインプレイヤーを確認していきましょう。
不動産の売上ランキングを見ると旧財閥系が強いことがわかります。
三井不動産、三菱地所、住友不動産あたりが上位にいます。
大手の不動産会社はディベロッパー、ハウスメーカー、不動産仲介、不動産管理等すべての不動産事業を行っています。
それを追うのが野村不動産やオープンハウス等実力のある不動産会社が続きます。
不動産業界の現状と今後の動向
ここまで不動産業界の全体像を見てきました。
ここからは不動産業界で今起きていることとこれから起きるであろうことを見ていきましょう。
特に皆さんが就職して社会人として一人前になり活躍するには5年から10年あります。
中長期的に業界がどうなるのかの見通しを持つことによってその時に必要とされるスキルや能力を考えておきましょう。
現状
まずは不動産業界で今起きていることを整理していきます。
1.オフィス空室率は上昇傾向
特にコロナ後においては都心で働く人が減少し各社ともにオフィスフロアを削減しています。
空室率が上がると不動産会社からしてロスが大きくなりますので賃料を下げてでもオフィスを埋めようとします。
賃料が下がれば不動産会社の売り上げが減少し利益が減ります。
利益が減ると次の新しいビルをつくるなど次の投資がしづらくなるという悪循環になります。
今不動産会社はコロナによって変動する社会構造に対してどう向き合うかを考えているところです。
2.活用できる土地が広がり競争激化
街中にちょっとだけ畑があるような場所を見たことがありませんか。
なぜこんなところに畑があるのだろうと。これは今まで法律が農地を勝手に他の用途に使ってはいけないと定めていました。
この法律が改正され農地を柔軟に他の用途に変えることができるようになります。
すると農業していない畑に新しくマンションを建てられるようになります。
一気にマンション建設が始まるとマンションの供給戸数が増加します。たくさんマンションを売るために価格下げてでも不動産会社が売ろうとします。
価格が下がると不動産会社が利益を確保できなくなるという状態が想定されます。
3.都心集中はコロナ後も変わらず
コロナによって人の暮らしが大きく変化しました。オフィスは空室率が上がり都心で働く人が減少しました。
一方で個人の住む場所はほとんど変化がありません。都心ならでは利便性を求めて都心に回帰する人が増えています。
都心型の商業施設や高級マンション等は引き続き堅調な需要が想定されます。
今後の動向
現状分析では若干暗い話が多かったかもしれません。
しかし不動産業界はチャレンジングで面白い将来展開を考えています。
大きく業態も変わっていく可能性もありますので是非不動産業界の将来像は注目してください。
1.スマートシティの発展
まず皆さんも聞いたことがあるかもしれませんがスマートシティという取り組みが非常に注目されています。
インターネットや通信の技術を活用し安全性の高い街づくりをしたりサステイナブルな都市を作ることを進めています。
一つのスマートシティに様々な産業が関わり数千億もの資金を投入する巨大プロジェクトです。
日本においてもいくつかの実証実験としての取り組みがすでにスタートしております。
近未来的な世界を自分で形にしていくことは非常に面白い取り組みと思います。
2.海外進出も再強化
ニューヨークの中心地にロックフェラーセンターというビルがあります。
ニューヨークを代表するビルですが1990年には三菱地所がこのビルを保有しておりました。
日本の不動産業界は1980年代から1990年代にかけて大きく海外ビジネスを展開しようとしたのですがバブル崩壊により縮小を余儀なくされました。
再度日本の不動産会社が海外にチャレンジを始めようとしています。
三井不動産等はニューヨークのマンハッタンに大きな商業ビルを建設しました。
今後も日本の不動産会社による海外進出は進むと思われます。
3.異業種からの参入
トヨタ自動車が山梨県に街づくりを計画しているのはご存知でしょうか。
最先端のAIや自動運転を可能とした街を作り水素を活用したCO2排出を抑えた街を作ろうとしています。
またヤマダ電機はヤマダホームズという子会社で住宅を販売しスマート家電を家とともに売ることを進めています。
ディベロッパーでもない不動産業界とは全く異なる会社も街づくりや家づくりを進めようとしています。
仕事内容
さて業界全体の流れを見てきましたがここからはより具体的な仕事の内容について見ていきましょう。
それぞれの仕事のやりがいや大切なスキルを考えてみましょう。
住宅不動産の販売
住宅用不動産の販売は熾烈な営業合戦です。住居用の不動産であれば広告を行いモデルルームや住宅展示場に来店を促します。
投資用不動産はひたすらに電話営業です。何度断られても電話をかけ続けるのです。
いずれも営業として目標とする数字を追いかける仕事です。目標を達成するために努力をする体育会的な側面があります。
法人営業
法人営業は企業の持つ不動産の有効活用等を提案します。
物流倉庫や工場、オフィスや社宅等カバー範囲は幅広いです。
商業不動産に関する深い知識が必要であり、専門性の求められる仕事です。
商業施設・ビル運営管理
ららぽーとやイオンモールを想像するとわかりやすいのですが商業施設はテナントさんの賃料で成り立っています。
たくさんお客さんを集めるからこそテナント賃料ももらえます。ショップの業績が好調であれば長くテナントが継続してくれます。
ポイントアップキャンペーンを考えたりショップの人と一緒に売上をいかに伸ばすかを考えたりプロモーションやマーケティングの知識が求められます。
企画・仕入
不動産開発の一番の初動である土地の仕入れです。
大規模な不動産開発は自治体の開発計画に入札したりします。
どのようにその不動産を生かすか、いかに魅力的な街や家を作るかの提案力が求められます。
開発管理
不動産開発や住宅建築の工事が始まった後に当初計画通りに工事が進捗しているのかをチェックします。
遅れているとすればその後の販売計画の見直しを行ったりスケジュールを再編成する等案件管理を行います。
多くの部署との調整を必要とするため人の話を聞く力や丁寧に説明することが求められます。
不動産管理
マンションの管理組合等を相手にいかにいい管理をするかの提案や運営を行います。
マンションは10年程度で大きな修繕が必要になりますがマンション住民が工事に詳しい人がなかなかいないので、管理会社がフォローをします。
人の暮らしを守る仕事ですので責任感の強さが必要です。
不動産業界に向いている学生
仕事内容を見てきました。ここからは不動産業界に向いている学生の特徴を考えてみましょう。
リーダーシップがある
不動産業界は多くの業界を巻き込み、すそ野の広さが特徴的な業界です。
その分多くの調整ごとが必要になり様々な人が様々な主張を行います。
そんな時にでも関係者を一つにしプロジェクトを進めていくリーダーシップが必要になります。
物事を現実的に前に進める
開発が大規模だからこそ予期せぬことや思いもよらないことが起きます。
そんな時にでもプロジェクトの完遂に向けてどうしたらいいのか、どのようにすれば問題なく進められるのか逃げずに対応しなければなりません。
常に現実的に前に進む推進力が求められます。
明確な基準で評価されたい
特に住宅販売の世界は営業成績で評価が決まる世界です。
大きなお金を動かすのでお客さまに決断いただくのも大変です。オープンハウス等は営業力に定評のある会社ですが営業成績で給料が大きく変わります。
成績で評価されたいという方は向いているかと思います。
まとめ
不動産業界の業界研究を行ってきました。
幅広い仕事がありますので自分であればこのような仕事がいいかな、というものを探してみてください。
不動産業界は景気による好不調が激しい業界である一方で営業力のつく業界でもあります。
努力次第では何があっても自分の腕一本で生きていけるような営業スキルを身につけられると思います。
お客さまに高い買い物をしてもらうには企業側もしっかりとしている必要があります。よって社会人としての基礎はしっかりつきます。
まずは社会人として一人前になりたい、その後のキャリアは改めて考えたいという人には向いている業界ではないでしょうか。
ちなみに本サイトでは、不動産業界以外にも様々な業界について解説しています。
多くの業界を知り、就活の視野を広げていきましょう!
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