はじめに

商談を通して顧客に製品やサービスを売り込み、顧客目線で課題を解決することが多いフィールドセールス。

外回りが多いと言われる職種だが、近年ではWeb営業ツールを用いてオンラインでの商談も急増しているので「フィールドセールと言えば外回り」とは言い切れません。

今回はそんなはフィールドセールスの職種研究をしていきます。職種研究のやり方がわからない人は以下の記事で紹介していますので参考にしてください。

職種研究

フィールドセールスとは

フィールドセールス

フィールドセールスはいわば外回りの営業です。

対面でお客さまと話をし契約を受注します。

その後自社のサービスを活用して顧客を成功に導くことがフィールドセールスの役割です。

日本の営業は古くから外回りが基本でしたから基本的にはフィールドセールスをやっている企業は多くあります。

最近ではマーケティングやインサイドセールスと連携して効率的な外回り営業をするスタイルがIT関係を中心に広がってきました。

国土の広い米国では営業にかかる移動がネックになりやすく営業拠点が多くなると人材確保も難しくなりますよね。

こうした背景から米国では効率性を求めた営業スタイルを確立し、日本でもとりいれられるようになってきました。

フィールドセールスは何をする?

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスがやることは受注を取り顧客を成功に導くことですが、それを実現するにはやるべき多くのことがあります。

  1. クライアント企業の分析
  2. マーケティングやインサイドセールスの折衝履歴の確認
  3. 顧客が自社サービス導入を決定できるストーリー作り
  4. 契約締結
  5. 契約後の導入
  6. フォロー導入後活用状況のモニタリング
  7. 導入した商品関連のアップセル、クロスセル

マーケティングやインサイドセールスが努力して獲得した見込み顧客を自社の顧客にすることがまず第一にやるべきことです。

そしてその後顧客を成長に導き大口クライアントに育てることがフィールドセールスの使命となります。

フィールドセールスのやりがい

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスのやりがいとはどのようなものでしょうか。3つほど見ていきましょう。

顧客との信頼関係を築く

1番のやりがいは顧客との信頼関係を築けることでしょう。

フィールドセールスの仕事は基本的に企業向けにサービスを提供する仕事で取り入れられています。

クライアント企業から「あなたが担当でよかった」「あなたが担当だからサービス導入を決めた」と言ってもらえることが誇りです。

直接クライアントの顔が見える関係であることはフィールドセールスの特権と言えるでしょう。

他部門の努力を結実させる

フィールドセールスはマーケティングやインサイドセールスの努力を最終成果にする仕事です。

マーケティングが顧客に対し自社の商品・サービスに興味を持ってくれるきっかけを作ります。

インサイドセールスは興味を持ってくれた顧客をより惹きつけたり興味の薄い顧客を選別してフィールドセールスへトスアップするでしょう。

最後フィールドセールスはみんなの思いを背負って顧客と向き合い受注を決めます。

アンカーとしての重責を全うできたときには大きなやりがいを感じることができるでしょう。

高い営業目標を達成する

フィールドセールスも営業ですので月間や年間の目標があります。

通常営業のノルマはかなり厳しい数字を求められるものです。

不可能と思われるような数字に対して工夫をし関連部署と知恵を絞り合うことで達成しに行きます。

達成できた時には大きな喜びを感じることができるでしょう。

フィールドセールスの苦労

フィールドセールス,職種研究

反対にフィールドセールスの苦労を見ていきましょう。やりがいが大きい仕事は苦労も大きくなるものです。

営業目標に追われる

営業目標は達成できれば大きなやりがいになりますが、目標を追う日々は苦しいものです。

常に目標に対する進捗を追い、数字が足りなければそれを補う方法を考え続けなれければなりません。

ストレスは非常に大きい仕事であると言えるでしょう。

他部門から思うように案件がこない

マーケティングやインサイドセールスからの案件が少なくなると自分の営業成績も上がりづらくなります。

マーケティングやインサイドセールスがどれだけ質のいい顧客アポイントを多くいれてくれるかは自分ではコントロールできません。

自らのコントロール外のことが要因で成績が上がらないと歯がゆい思いをすることでしょう。

顧客といかに信頼関係を築くかが難しい

自身の顧客との信頼関係が不十分だと追加の商品・サービスを追加で売れず成績があがらなくなります。

いいアポイントが供給されないのであれば自分の既存の顧客から何かしらか売上を上げなければなりません。

しかし普段から顧客との距離が詰められていないと苦労をすることになります。

既存顧客といかに信頼関係を築くかは難しい仕事です。

フィールドセールスの平均年収

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスは比較的新しい職種ですが給料は法人営業と基本的に同等と考えてください。

  1. 営業未経験、経験が浅い人だと300~500万
  2. 10年程度の中堅で600~800万
  3. 部長クラスだと1,000万

上記がイメージです。

インサイドセールスで営業の基礎を積みフィールドセールスとなる人が多いためインサイドセールスよりは平均は高めかと思われます。

営業は成果連動給与になることも多いため成果を上げれば給与は多めにもらえるでしょう。

フィールドセールスの1日の流れ

フィールドセールス

フィールドセールスは日中は外回りとなり基本的に社外にいます。

移動時間等もあるので1日に回れる顧客の数は多くて5社程度です。移動時間も有効活用しましょう。

できる限りの時間を顧客との接点に使えるよう事務やその他のことは極力少なめにします。

インサイドセールスやマーケティングとの連携も重要です。

いつどのようなプロモーションが行われるのかによって新規の顧客回りが多くなりそうな時期もわかります。

既存顧客のアポをあまり入れずに新規顧客のために時間をとっておこう、等の工夫ができますよね。

周りの部署の動きに合わせて自分の行動の仕方も最適な形に見直していきます。

17時まで顧客と折衝をすると頑張っても終業は19~20時くらいになってしまいますね。

本を読んだりニュースをチェックしたりして顧客との共通の話題を作り1日を終えます。

どんな人が向いている?

フィールドセールス,職種研究

ではフィールドセールスになるために必要な素養とはどのようなものでしょうか。自身の自己分析と照らし合わせてみてください。

明確な数字で評価されたい

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上司の好き嫌いでなく自分の実力や出した成果で評価してほしいという独立心の強い方にはおすすめです。

営業である以上目標数値に対してどれだけできたのか、という成績の管理は数字でわかりやすく出てきます。

管理系の職種は成果が見えづらいことも多いですが成果が見えやすいのは営業系職種の特徴ですね。

人と信頼関係を構築するのが得意

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人から好かれる、頼られるという方はフィールドセールスに向いているでしょう。

フィールドセールスの仕事は人から信頼されて初めて成り立つ仕事と言えます。

部活でもサークルでもバイトでもいいのですが周りとの信頼関係を築いた経験を活かせる職種でしょう。

コツコツ努力できる

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営業は日々の努力の積み重ねが成果に直結するのです。

精神的なプレッシャーが大きい中でも営業活動や勉強を継続してできることで他の営業との差別化ができます。

成果を出すための行動や習慣を作れることこそが営業に求められる資質でしょう。

フィールドセールスで求められるスキル・資格・マインド

フィールドセールス,職種研究

次にフィールドセールスで活躍する人はどのような特性を持っているのかを見ていきましょう。

スキル

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トップセールスの特徴は以下の3つと言われます。

  1. 交渉力
  2. 関係構築力
  3. 行動力

1つ目は交渉力です。

フィールドセールスはマーケティングやインサイドセールスが一生懸命作り上げてきた案件を制約させるための最後の交渉人ですよね。

強い交渉力を持ち案件を獲得することで仲間の努力も報われるでしょう。強いフィールドセールスは強い交渉ができます。

次は関係構築力です。

良質なアポイントが常に供給されるわけではありません。

しかし目標未達になった理由をインサイドセールスのせいにすることもできないのです。

既存の顧客と常に信頼関係を持ち、安定的に収益を上げられることがフィールドセールスの腕の見せどころでしょう。

最後は行動力です。

稼ぐ営業ほどよく顧客と話をし、交渉をして案件を獲得します。

営業は質と量が比例するとよく言われるようにフィールドセールスで活躍する人もすべからくよく行動をする人です。

資格

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスの多くはIT関連、金融、不動産で活用されている営業手法となります。

それぞれの業種で営業を行うための資格は必要となるでしょう。

不動産では宅地建物取引士、銀行や証券では証券外務員等が必須です。

取得しないと営業ができないというものもありますので、フィールドセールスとして活躍するには資格の勉強も必要になると覚悟しましょう。

マインド

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスになる方に大切にしてほしいマインドは主に3つあります。

  1. チームプレイヤーであること
  2. 達成志向が高いこと
  3. 謙虚であること

フィールドセールスはマーケティングやインサイドセールスの思いを背負って案件を成就させることが仕事ですよね。

チームのことを思い、チームのために結果を出し、周りのおかげで自分が活かされていると謙虚な気持ちを持つことが大切です。

このような営業がいる会社は大きく成長する会社となるでしょう。

フィールドセールスのキャリアパスは?

フィールドセールス,職種研究

ここからはフィールドセールスにどうやってなるのか、なった後にはどのようにキャリアアップするのかをお伝えしていきます。

フィールドセールスになるには?

まず外回りの営業自体は様々な業種で行っているもので珍しいものではありません。

メーカーでも商社でも企業向けに取引をしているような会社であれば、幅広く外回りの営業の機会はあります。

フィールドセールスという場合にはインサイドセールスと役割分担をするという意味が強く、このスタイルをとるのは主にIT系企業です。

役割分担をするにはITツールの活用による顧客情報の共有等が肝なのですが、ITリテラシーの高い会社でないと導入ができません。

企業向けにソフトウェアを提供しているような企業を探してみるといいでしょう。

株式会社セールスフォース・ドットコムという会社がありますが、ここがインサイドセールスとフィールドセールスを活用した最も有名な企業です。

フィールドセールスのキャリアパス

フィールドセールス

次にフィールドセールスのキャリアパスを見ていきましょう。以下のようなキャリアパスが考えられます。

  1. フィールドセールスでマネージャーとなる
  2. インサイドセールスのマネージャーとして戻る
  3. 関連する専門部署にいきまたフィールドセールスに戻る
  4. 営業企画の仕事をする

フィールドセールスでマネージャーとなる

フィールドセールスでマネージャーとなる場合はフィールドセールスでしっかりと結果を出しそのまま昇格していくキャリアです。

営業一筋のキャリアで、クライアントとの関係をずっと大切にしたい、という人が選ぶキャリアですね。

インサイドセールスのマネージャーとして戻る

インサイドセールスとフィールドセールスを両方経験してインサイドセールスに戻る人もいます。

インサイドセールスのマネージャーのほうが若手育成の側面も持ち合わせるためそちらに情熱を持つ人も多いためです。

自分で成果を出す喜びに加え教え子が成長して組織が強くなるため貢献度が大きいキャリアとなります。

関連する専門部署にいきまたフィールドセールスに戻る

フィールドセールスをやると関連する専門部署が多くあります。

顧客に提示するプロダクトが複数ある場合はそれぞれのプロダクトのスペシャリストとともに顧客に提案するためです。

一度プロダクトの専門領域を深めてまたフィールドセールスに戻ると顧客により深く提案ができるので提案の幅を広げられるでしょう。

リレーション以上にソシューション力をつけたいという方のキャリアです。

営業企画の仕事をする

フィールドセールスは基本的な社会人としてのスキルを身に着けられるためキャリアの幅が広がります。

営業から営業企画となり部門全体の予算策定や戦略を作る仕事に回る人も多くいるでしょう。

会社経営に近い立場になることで会社が自分に期待することがよく理解でき、より仕事のやりがいを感じられるようになります。

フィールドセールスの最新動向

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールス自体が新しい職種です。

なぜフィールドセールスが注目されるのか、これからどう変わっていくのか等をお伝えします。

カスタマーサクセス中心になる

フィールドセールスは顧客が自社の商品・サービスを用いて成し遂げたいことができている状態にするカスタマーサクセスにより力を入れています。

フィールドセールスは商談案件のクロージングとアップセルの2つに集中する職種です。

特にアップセルは顧客が自社の商品・サービスを活用しきれていないと成約できません。

カスタマーサクセスを通じて顧客との信頼関係を築いていきます。

IT活用が成果を左右する

インサイドセールスやマーケティングとの連携のためのIT活用が重要と言われてきました。

昨今では高度な情報連携が案件の成否に大きく関わることが分かっており顧客管理システムの活用に力を入れています。

ITシステムの活用度合いで企業の営業成績も大きく左右されるでしょう。

価値が見直されるアカウントベース営業

フィールドセールス,職種研究

1人のフィールドセールスが受注後にずっと同じ顧客を担当する旧来のアカウントベース営業も見直されてきました。

情報の連携が十分なら担当は誰でもいいという固定の担当営業をつけないスタイルも模索されたのですが、うまくいかない事例も多くあったのでしょう。

改めて顧客を同じ営業が長く担当することの重要性が見直されてきています。

フィールドセールス志望者におすすめの入門書

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスを目指す方に参考になる本を紹介します。

インサイドセールスの実務―売上を3倍に増やす驚異の営業支援システム

フィールドセールスを知るためにインサイドセールスとの違いを理解しましょう

この2つはセットで導入されますので、両方を理解する必要があります。

この本ではインサイドセールスの具体的な実務を学ぶことができるでしょう。

インサイドセールスを理解した上でフィールドセールスの仕事を知ると理解が一層深まると思います。

この本が気になる方はこちら

大型商談を成約に導く「SPIN」営業術

SPIN営業は世界中のフィールドセールスの教科書です。

大型の案件を受注するためにどのように相手の心を動かすか、交渉をまとめるかが記載されています。

内容は営業経験者向けで、アルバイトやインターンで営業をやったことがある方のほうがより理解はできるでしょう。

この本が気になる方はこちら

カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

フィールドセールスに大切なカスタマーサクセスの概念をまとめてくれている本です。

なぜカスタマーサクセスが重要なのか、成功している企業はどのようにこれを達成しているのかがわかるでしょう。

フィールドセールスの職種研究として役立つ一冊だと思います。

この本が気になる方はこちら

まとめ

フィールドセールス,職種研究

フィールドセールスの職種研究を進めてきました。

インサイドセールスやマーケティングとの連携による効率的な営業スタイルとして注目されています。

一方で旧来からの営業と変わりなく顧客の成長や成功を追及する姿勢が求められる職種です。

法人営業を目指す方はクロージングやカスタマーサクセスに集中するフィールドセールスも検討するといいのではないでしょうか。

フィールドセールスを取り入れやすいIT業界についての業界研究も同時に進めてみてください。

IT,業界

それでは職種研究頑張ってくださいね。

この記事を書いた人mike