はじめに
地方公務員の仕事に関心があるものの、職種研究は何をしたらいいかわからないという人も多くいるのではないでしょうか。
こちらの記事では地方公務員になる方法や向いている人についてなど徹底的に紹介しています。
公務員になりたい方、地域のために働きたい方はぜひ職種研究の参考にしてみてください。
目次
地方公務員とは
地方公務員とはその名の通り地方の公務をする仕事です。
そう一言で言うのは簡単ですが実際の地方公務員がどんな仕事をしているかははっきりイメージしにくいですよね。
実際に地方公務員の仕事は自治体に関わる仕事全般のため非常に幅広いです。
地方公務員には役所勤めの方以外に、看護師や司書、警察官、消防士なども含まれます。
ただ、この記事では一般的に地方公務員と聞いてイメージする県庁や市役所などで働く地方公務員について考えてみましょう。
まず地方公務員の仕事について簡単に紹介していきます。
地方公務員は何をする?
地方公務員の中でも役所に勤める公務員は主に「行政職」と「技術職」に分類されます。
行政職は役所での一般的な事務職を行う職種です。
配属後は様々な部署に配属され、各種手続きや事務処理など地域住民の生活を支える仕事をします。
中には役所以外の学校や警察署に配属され、事務作業を行う場合もあるようです。
技術職は理系公務員とも呼ばれます。
学生時代に学んだ専門知識を仕事に活かしたい方は技術職での就職を目指すのも良いでしょう。
専門分野により募集が分かれており、土木・建築・機械・電気・電子・化学・農学などがあります。
行政職と比べると募集が少ないので、希望する自治体の情報をよく調べておきましょう。
地方公務員のやりがい
こちらでは地方公務員のやりがいを3つご紹介します。
地域のために働ける
地方公務員の仕事は全てがその地域のために行っているものです。
地域に貢献したいという思いが強い方にはおすすめの職業と言えます。
働いている自治体が自分の地元であったり、好きな地域であったりすればなおさらやりがいを感じられるでしょう。
地域住民から感謝される
地方公務員の仕事をしていると必然的に地域の方々と関わりが多くなり、自分の仕事に対して感謝の気持ちを伝えてもらえることもあります。
そのような経験をするとこの人たちのためにもっと頑張ろうというやる気に繋がるでしょう。
規模の大きな仕事ができる
地方公務員の仕事は地域全体に関わるため、仕事の規模が大きいです。
若手のうちから規模の大きな仕事をしていくのはプレッシャーを感じることもありますが、無事終わったときには達成感を強く感じられます。
地方公務員の苦労
やりがいを感じる一方で、当然ながら苦労する場面もあるでしょう。
こちらでは地方公務員の苦労を2つに分けて紹介していきます。
残業が多い
役所の仕事ですので、どうしても細かな事務手続きが多くなる傾向があり一般的に残業が多いです。
終電間際で帰ることもあり体力的につらいと思うときもあるかも知れません。
今後業務の効率化・自動化が進んで人の負担が減っていく可能性もありますが、ある程度の長時間労働は覚悟しておきましょう。
良くも悪くも古い体質
役所はこれまでの風習や伝統を大事にしている場合が多いです。
全く新しい取り組みをするのはハードルが高く、地域活性化のために斬新なアイデアを出しても通すことは難しいと考えられます。
役所での取り組みが地域に発信され問題になっては困るので慎重になるのは仕方のないことです。
その中でも、こうしていけばもっと自治体が活性化するんだという強い思いで仕事をしようとする気概が大事になります。
地方公務員の平均年収
地方公務員の平均年収は640万円です。(平均年齢42歳)
日本の平均年収は約430万円ですので、平均と比較して大幅に収入の高い職業と言えるでしょう。
年代別にみると以下の通りとなっています。
- 20代:420万円
- 30代:540万円
- 40代:720万円
地方公務員は年功序列で年齢が上がるごとに順調に収入が増えていく職業です。
基本給はそれほど高くないのですが、各種手当てが充実していることが年収の高さに繋がっています。
地方公務員1日の流れ
地方公務員の1日を紹介します。
事務業務がメインの方を例にとってみていきましょう。
朝起きたらニュースをみたり新聞に目を通したりなど世の中の出来事を把握しておきます。
地域の方と関わる仕事ですので、時事ネタは豊富に持っておくことが大事です。
出勤してからも自部署の事業に関連した新聞記事に目を通します。
その中で重要な記事はピックアップし冊子にまとめるのが若手の朝一番の仕事です。
午前中は事業に関係する企業や団体との会議に参加します。ここで業務の方向性を互いに摺り合わせることになるでしょう。
昼食後に事務作業や部署内での打ち合わせをした後は報告書や次の業務を行うための起案書作成など書類作成がメインです。
合間に雑用をこなしたり急な仕事ができたりするのでほとんどの日は残業が必要になります。
どんな人が向いている?
地方公務員になる人にはどのような行動が求められるのでしょうか?
こちらでは地方公務員に向いている人のタイプを3つ紹介します。
新しいスキルを学ぶのが好き
新しいスキルを学ぶのが好きだと感じられる人は地方公務員に向いていると言えるでしょう。
地方公務員は部署異動や転勤が多いためです。
だいたい2~3年に一度は仕事内容や関わる人が変わっていきます。
仕事内容が頻繁に変わってもそれを楽しんで自分の得意分野としてスキルを広げていける人は頼りにされるでしょう。
共感力が高い
共感力が高いことも地方公務員に向いている特徴の1つでしょう。
地方公務員は地域住人と関わる機会が非常に多い職業であるためです。
地域の様々な人と適切にコミュニケーションを取らなければなりません。
相手の話をよく聞き共感しながら適切な返答ができる能力が公務員には求められます。
責任感がある
公務員に共通することですが、自分の行いに対する責任感がとても大切な職業です。
公務員が何か社会的な問題を起こした場合の世間からの非難はとても重いものになります。
日頃から自分の立場を理解して行動できる方は公務員の適性があるでしょう。
地方公務員で求められるスキル・資格・マインド
こちらでは地方公務員になる際に必要なスキルや資格、マインドについて解説します。
スキル
地方公務員に求められるスキルとして以下の2つを紹介します。
- コミュニケーション能力
- 事務処理能力
それぞれ解説しているのでみていきましょう。
コミュニケーション能力
一般企業では似たような業界の人と関わる仕事がほとんどです。
しかし地方公務員として働く中では、同僚だけでなく多種多様な地域住民の方ともやり取りをしないといけません。
電話対応をする機会もたくさんあるでしょう。
その際に欠かせないのがコミュニケーションスキルです。
コミュニケーションスキルと聞くと「そんなの自信ないよ…」と思う方も多いでしょう。
しかしそれほど難しく考える必要はなく、要はどれだけ目の前の人に寄り添ったコミュニケーションが取れるか、ということです。
具体的には相手に対して丁寧な言葉遣いで話せるか、相手の状況を素早く判断できるかなどが挙げられます。
経験が少ないうちは緊張したり親切にするのをためらったりと上手くいかないこともありますが多くは慣れによって改善するものです。
普段から身近な人に対して相手を不快にさせないコミュニケーションを心がけて力をつけていきましょう。
事務処理能力
地方公務員の仕事は事務的な仕事が多いです。
そのため書類の作成や取りまとめを正確に素早く対応する能力が求められます。
普段からどうすればもっと効率よくできるかを考える力を身につけておきましょう。
資格
基本的には地方公務員になるために必要な資格はありません。
しかしこれはあくまで行政職や技術職での採用を目指している方に向けた内容です。
地方公務員の中には「資格免許職」というものがあります。
例えば教員や保健師、臨床心理士などが挙げられ「資格免許職」での採用を目指す際はその免許が必須です。
行政職や技術職を目指す方は必須の資格はありませんが以下の資格があればアピールになるでしょう。
- TOEIC
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
それぞれ解説します。
TOEIC
TOEICは990点満点のうち何点取れるかで英語力が測れる試験です。
就職活動でもTOEICのスコアで学生の英語能力を判断することが多く、ほとんどの業界で英語スキルの高い人材が重宝されます。
語学力が高いに越したことはありません。学生の間に外国語を勉強する余裕のある方はしっかり勉強しておきましょう。
英語に限らず他の外国語が得意、というのもアピールポイントになりますので他言語の資格取得もおすすめです。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
WordやExcelなどのMicrosoft Officeソフトを扱う能力を証明できる資格です。
PCでの文書作成が多い仕事ですので、この資格を取得しているとPCスキルは問題ないことをアピールできます。
ただ、官庁ではWordなどを導入しておらず別の文書作成ソフトを使用していることも多いです。
就職後に新しいソフトの使い方を学ばないといけない可能性もあると覚悟しておきましょう。
マインド
地方公務員に必要なマインドとして以下の2つを紹介します。
- 真面目に堅実に
- チームワークを大切に
それぞれ詳しく解説しているので参考にしてみてください。
真面目に堅実に
世間の人が公務員に求めるのは真面目さです。
自分たちが納めた税金を動かす人たちには真面目で誠実な人であって欲しいですよね。
地域のため、地域の人々のために働くんだという思いを持って公務員を目指しましょう。
チームワークを大切に
地方公務員としての業務は地域に向けて行うため規模が大きいこともあります。
ただでさえ仕事量の多い中、全部一人で抱え込もうとするのは危険です。
普段から同僚や関連企業と良い関係を築いて仕事を進めることを心がけましょう。
周りの人と協力して何かを成し遂げるのは非常に面白いことですし、周囲の人も頼りにされると嬉しいものですよ。
地方公務員のキャリア
こちらでは地方公務員のなり方や就職後のキャリアパスについて解説します。
地方公務員になるには?
地方公務員になるためには地方公務員試験に合格することが必須となります。
地方公務員になりたい場合には計画的に試験勉強を行い、確実に合格を目指しましょう。
地方公務員試験には「上級」「中級」「初級」の3種類がありますが、大卒であれば上級を目指すと良いです。
試験内容としては学力を問う問題や論述問題、面接もあります。
実際に試験を受ける際には過去問を入手したり講座を受けたりしてしっかり対策をしましょう。
地方公務員になる際の進路としては主に2つ考えられます。
1つ目は大学を卒業してすぐに地方公務員になるパターンです。
この場合は在学中の比較的時間に余裕がある時に試験に向けた勉強ができるので合格率も高くなります。
大学で公務員を目指す学生を対象に公務員講座を開講している場合もあるのでそちらもおすすめです。
自分と同じように公務員を目指す学生と一緒に勉強できるのでやる気も上がりそうですよね。
2つ目は大学卒業後に一旦他企業に就職した後に地方公務員に転職するパターンです。
実際にこういった例は身近でも良く聞きます。
民間企業に就職した後でギャップを感じてしまったり、公務員の安定さに惹かれたりする場合が多いようです。
幸いなことに地方公務員になる際に年齢はそれほど問題になりません。年度の途中で募集がかかることもあります。
ですが試験への合格が必須なため働きながら勉強時間を確保する必要があり、ある程度強い意志は必要でしょう。
地方公務員のキャリアパス
地方公務員になると2,3年おきに部署異動があります。
若手のうちは様々な部署で様々な仕事に取り組み経験を積みましょう。
公務員には役職が様々ありますが、主任クラスになると特定の業務の責任を持つ立場になります。
部下の教育も任せられるようになるでしょう。
その後も昇格試験などをクリアしていくと、係長→課長→部長と昇格していきます。
役職が上がった際には責任の高い仕事を受け持ったり自分の部下の仕事内容を把握したりすることが必要です。
部下の勤怠管理などの事務的な仕事も増えてきます。
部長クラスは事業について最終決定をしたり、部の意見を自治体に伝えたりできる立場です。
仕事に就いてからでも良いので自分はどこまで出世したいのか、どんな仕事がしたいのか考えてみましょう。
地方公務員の最新動向
こちらでは地方公務員の最新動向を紹介します。
就職先として根強い人気
日本の人口は減少傾向にあるため、地方公務員の採用人数も減少に転じる可能性があります。
その一方で地方公務員は収入や福利厚生が安定した職業のため、就職先としてその人気は根強いようです。
地方公務員としての就職を目指す方は必然的にライバルが多くなるため、試験対策はしっかりと行いましょう。
斬新な試みも増えている
自治体のSNSでの情報発信や、ゆるキャラと協力した広報なども今では当たり前になりましたよね。
地域が活性化するため、住民の不安をなくすための事業なら受け入れる風土が徐々にできてきているようです。
地方公務員になった際には先輩公務員とは異なる視点からのアイデアを発信して地域をより良くしていきましょう。
地方公務員のおすすめの本
地方公務員を目指す方におすすめの本を3冊紹介します。
公務員1年目の教科書
これから公務員になる方は読んでおきたい一冊です。
公務員の仕事のノウハウだけでなく、公務員にとって大切な信頼を得る方法などについても解説されています。
コミュ障だった僕を激変させた 公務員の「伝え方」の技術
地方公務員になるためにはコミュニケーションスキルが大切です。
こちらの本ではコミュニケーションに難を抱えてきた著者が自身の体験をもとに「伝え方の公式」を教えてくれます。
言いたいことを明確に、納得させるための伝え方を身につけたい方は読んでみてください。
ウチではこうやってます! 自治体職員 現場のお悩み解決Q&A
静岡県庁に実際に届けられた「自治体業務のお悩み」の解決方法や見解が解説してあります。
物語ではなくリアルな自治体業務について知ることができるのでおすすめです。
まとめ
この記事では地方公務員についてまとめました。
地方公務員は地域のための様々な事業を行う職業です。
民間企業と比較して年収が高く福利厚生が充実しているので安定した生活を送りたい方にはぴったりな職業と言えます。
住んでいる地域に貢献したい・地域住民と関わる仕事がしたい方はぜひ頑張ってみてください。
地方公務員は教育現場で働く場合もあるので、教育業界の動向についての記事を掲載しておきます。
こちらも確認してみてください。
職種研究で自分に合う仕事を見つけましょう。
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