はじめに

コンサルティング業界は就職人気も高く多くの学生が志望します。

特にやりたいことが明確でない学生が「とりあえずコンサル」というケースが増えてきました。

採用数も多く、多くの学生から人気を集めるコンサルティング企業の1社がアクセンチュアです。

実際にアクセンチュアの働き方はどうなのか、調査をしてみました。

アクセンチュアは激務なのか

アクセンチュア,激務

総合コンサルティングファームとして大手のアクセンチュアでの働き方は実際にどうなのでしょうか。

アクセンチュアは激務なのか、リアルな働き方について見ていきましょう。

コンサルティング業界全般勤務時間は長め

アクセンチュア,激務

アクセンチュアだけでなく基本的にコンサルティング業界は全般として勤務時間は長めです。

月の残業が30時間を超えたり、時には100時間を超えたりするようなことも普通にあり得ます。

実力がつく前の若いうちやマネージャーに昇進したばかりの時などは、土日も勉強の時間に充てるというのも普通のことです。

仕事中心の生活になることは覚悟しておきましょう。

だからこそ実力もつきますし、どこへ行っても活躍できる人材に育つのですね。

職種によって働き方は大きく異なる

アクセンチュアは職種によって働き方が大きく異なります

例えばコンサルタントであれば顧客企業への提案業務が中心となり、基本的にアクセンチュア社内でのオフィスワークです。

エンジニア・SEの職種あれば顧客先に常駐して顧客先のシステムのサポートをすることもあります。

ストラテジーチームは非常に残業の多い働き方をしているなど、職種によって働き方は大きく異なるでしょう。

最低でも月30時間以上の残業は覚悟

ホームページなどに記載されているのは「1日1時間残業」という言葉です。

これでいくと、月に20時間は最低でも残業していることとなります。

平均してこれくらいということでしょうから、多い時には30時間の残業は覚悟しておいた方が良いでしょう。

またストラテジーチームは恒常的に月100時間の残業を考えておいた方が無難です。

一部では残業時間が減少したことにより、収入の減少を嘆く声もありますね。

アクセンチュアの働き方改革「Project PRIDE」

アクセンチュア,激務

アクセンチュアが過去取り組んできた働き方改革プロジェクト「Project PRIDE」というものがあります。

どのような意義があり、どのような取り組みなのか具体的に見ておきましょう。

意識改革の実施

アクセンチュア,激務

「Project PRIDE」の一番の目的は働く従業員の意識を改革することです。

以前のコンサルティング業界は長く働くことが当たり前という文化でした。

夜の22時にメールを送っても、すぐに返信が来るのが普通な感覚ですね。

しかしクオリティ・オブ・ライフやワークライフバランスについての価値が社会的に見直され、激務の職場が従業員に支持されなくなってきています。

働く時は集中して働く、休む時は休むとしないと優秀な社員を繋ぎとめておけなくなりました。

この状況を打破するための経営戦略が「Project PRIDE」です。

残業時間45時間以上を禁止

アクセンチュア,激務

具体的な取り組みとしては残業時間45時間以上を禁止するなど、過度にワークに偏重したライフスタイルを是正したことが大きな柱となっています。

働く時間を短くすることで自己啓発をする時間が生まれ、自分の好きなことに時間を費やせますね。

幅広い分野の知識や経験がまた仕事に活かせるという好循環を生み出す源泉になります。

もちろん、長時間労働が染みついた社員からの反発もあったでしょう。

しかし、強いコミットメントをもってやり遂げたことはコンサルティング業界では先進的な事例となりました。

女性の働きやすい職場に

アクセンチュア,激務

アクセンチュアは外資系であり、外資系企業は日本の企業に比べて男女が平等に活躍していることやダイバーシティを重視する傾向があります。

残業時間の削減や育児休業の取得の促進により女性社員の退職も減少し、より女性が活躍しやすい職場になりました。

新卒採用でも多くの女性を採用しており、女性の社員比率は37%となっています。

男性の育児休業取得も推進しており、男性の育児参加の意識も高いですね。

ポジション毎の残業時間

アクセンチュア,激務

職種によって働き方が大きく異なるという話をしましたが、具体的にどのように異なるのかを見ていきましょう。

ここでは職種毎の残業時間の違いをOpenWorkの資料から読み解いていきます。

コンサルタント

まず、コンサルタントの平均残業時間は43時間です。

45時間以上の残業を禁止したとありましたが、現実的には45時間ぎりぎりまで残業をしているということですね。

平均で上限まで残業しているということは、現実的にはこれ以上の残業時間になる月もあるでしょう。

残業の多いコンサルティング業界ですから、これくらいの残業時間は当然想定しうる数字ですね。

アナリスト

若手のアナリストの残業時間は33時間です。

コンサルタントは1人前として仕事をしていますので、もちろん仕事量が多くなります。

アナリストはまだ学ぶべきものが多くあるので残業時間を若干少なくして自己啓発や勉強のための時間を確保するのでしょう。

将来的にコンサルタントになった時のための仕事をする体力もここで養っておくことが大切ですね。

エンジニア・SE

エンジニア・SEの平均残業時間は30時間です。

コンサルタントに比べると若干少ないですね。

エンジニア・SEは残業時間自体は少なく見えるのですが、不規則な勤務も多いことが特徴です。

顧客先に常駐し、システムのメンテナンスをするとしましょう。

顧客が日中仕事をしている時はシステムを活用していますよね。

そのため大きな保守メンテナンスを夜間に行わないといけないこともあるので、勤務が若干不規則になります。

規則的な残業45時間と不規則な残業30時間では体にかかる負担という意味で大きく変わらないかもしれませんね。

ストラテジー

ストラテジーの残業時間は107時間です。

いわゆる戦略コンサルタントは他の部署と比べると格段に残業が多いことが分かります。

100時間残業をしようとすると、平日毎日朝9時から夜24時まで働いているというイメージでしょう。

大手企業への経営戦略提案は非常に高いクオリティが求められます。

そのレベルにまで提案を高めようとすると、土日も含めて仕事のことをずっと考えていないといけないという時期もありますね。

他の戦略コンサルとの差別化を考えても非常に負荷の高い仕事になることを覚悟しないといけません。

働き方に対する現役社員の評価

アクセンチュア,激務

次にアクセンチュアで実際に働いている人は自分たちの働き方についてどのように評価をしているのかを見ていきましょう。

こちらもOpenWorkを参考に社員の実際のコメントを見ていきます。

ワークライフバランスについて


プロジェクト次第なところはあるが比較的休みはとりやすいのでそこは素晴らしいところであると同時に、休みを使って海外などに行けるのでその辺は良いところだと感じる。

しかし、プロジェクトが忙しい期間だと土日もプロジェクトワークをすることがあるのでそこはメリハリが必要になると感じるが、それが好きな人は向いていると思う。

会社の人も大体そのマインドを持っている人が多いのでプロジェクト単位でプロジェクトをさばくのでプロジェクトに向けて意識が高い人はプロジェクトをより良くしようと動いているプロフェッショナルマインドを持って働いている点はプロフェッショナルマインドを構築していこうとする学生には向いていると思う。

プロジェクトを推進していく中で妥協せずにプロフェッショナルマインドを持って働いているのでそういうことが苦手な人は厳しいと感じる。

プロジェクトに対して真摯にプロフェッショナルマインドを持つことが必要でありこのプロフェッショナルマインドさえあれば仕事ができると感じる。

そのうえでプライベートも充実できると感じる。そこを意識すればプロジェクトを無事に稼働できる。

OpenWorkより抜粋

数値的な働き方改革の達成に対して、中身の効率化の取り組みが必ずしも伴っていない(ちゃんと良くなっている部分も大いにある)。

クライアントに請求するフィーが変わらない、もしくは増えている以上、構造的にそのギャップを現場の誰かが被っている。

そういった縁の下で必死に頑張っている人の不公平感をよく聞く。

時が経ちその状態が定常化している現状、過渡期だからと我慢していたそういった人たちの動向が今のモデルの岐路となると思う。

OpenWorkより抜粋


ワークライフバランスに関するコメントを見ていくと、全体としてポジティブなコメントが多くあることが分かります。

共通して出てくる話題は「プロジェクトによって忙しさが変わる」「プロジェクトが忙しくなければ休みはとりやすい」ということです。

お客さまの課題を解決してこそのコンサルタントですので、お客さまのプロジェクトの状況に忙しさは左右されますね。

一方で、プロジェクトが忙しい時には土日も仕事になる可能性もあるでしょう。

残業時間が減少したことに対して、働き方の効率化が追い付いていないなどのコメントもありました。

働きがい・成長


働きがい:

ITプロジェクトがほとんどなため、コンサルという考えで入社すると思っていたことと違うと感じてしまうかもしれない。

特に昨今は保守運用領域で売り上げを上げているため、いわゆる日系のSIベンダー出身の中途社員も多く、コンサルティングをバリバリやるというよりかは、スタッフレベルだと作業者として扱われることが多い。

ただ、それでも結果を出せばある程度は自分のやりたいことができる。マネージャー次第ではあるが…

成果・キャリア開発:

ソフトウェア製品ベンダーや他のファーム(デロイトトーマツ、EY、PwCコンサルティング、KPMGコンサルティング)あたりに転職をするのであれば、良い基礎を築けると思う。

逆に戦略系のコンサルチングファームに行きたい場合は、ITプロジェクトが中心となるため、社内制度を活用して戦略系の組織に異動するほかない。

OpenWorkより抜粋


働きがい:

基本的に自身の今の能力よりも、少しストレッチな課題をやる。

それを自分で考え、タスク分解、スケジュールに落とし込むので、言われたことをやるという受け身な環境では決してない。

一方で、どうすればいいかわからないことも往々にしてあるが、「それを考えるのが自分の仕事だ」と理解できるかが肝に思う。

成長・キャリア開発:

社会人としての土台となる基礎スキルは一定以上のレベルで手に入る。

そのうえで自身の興味・関心のある領域・専門性を伸ばしていくことも可能なので、ある程度の年次まではキャリアに悩むことはない。

OpenWorkより抜粋


アクセンチュア全体として20代の成長環境に対する評価が非常に高いですね。

特に新卒入社をして一定のスキルを付けることができる環境ということでしょう。

実際に、入社してしばらくはキャリア構築に困ることはないといったポジティブなコメントが多くありました。

一方で、テクノロジー領域に入るとずっとIT関連の仕事となるでしょう。

いわゆる企業の経営戦略をサポートするようなコンサルティングとは仕事が異なります。

入社時に自分が何を求めて会社に入るか、職種選びをしっかりすることで入社後のGAPを小さくするようにしましょう。

女性の働きやすさ


特に今女性の管理職比率向上にかなり注力しており、日本オフィスの経営陣はグローバルからそれをKPIとして課されているので女性は優遇されていると言える。

真意のほどはわからないが、「男性を一人昇進させるためには女性を一人昇進させる」という話を聞いたこともある。

※そもそも、受ける母数は男性の方が圧倒的に多いはずなのに最近の新入社員の比率はほぼ1:1なのは明らかに女性を優遇している証拠。

ここまでくると逆男女差別ではないかと、私としては男性の優秀な社員/候補者に対し申し訳なく思ってしまう。

逆に女性は極端な言い方をすると「ピンからキリまで」広いレベルの人材をとっており、今は女性はチャレンジしやすい状況。

OpenWorkより抜粋


部署によっては完全ロケーションフリーも可能。

テレワークメインのプロジェクトであればフレックスをうまく使用して子供の通院等が可能なので、有給は個人の希望通りに使用できる。

男女問わず子育てをメインで行っている上司が多くいるので急な休みや中抜けでも理解のある方が多くいる。

男性育休も短期間取得の方もいれば2年間取得しているような方もおり、それぞれのライフスタイル重視で選択権を持てる環境だと感じる。

また、育児中のコミュニティもあるため社内ならではの困りごとや悩みを相談する場も設けられている。シッター制度等、社員の声を聞いてすぐに反映してくれる職場なので、育児のしやすさはますます上がっているのではないかと考えられる。

OpenWorkより抜粋


女性の働きやすさには非常に前向きなコメントが多くあります。

これは会社が対外的に発信しているものと同様で信憑性がありますね。

テレワークで働く場所を問わない、急な子供の用事にも対応できる、育児する人のコミュニティがあるなど様々なポイントが挙げられています。

グローバルで見ると日本は女性の活躍推進が遅れているでしょう。

海外の本社から女性の管理職比率や女性の従業員比率を上げるよう指示が来ているようですね。

女性にとってはチャレンジのしやすい環境であると言えそうです。

アクセンチュアへの外部からの評価

アクセンチュア,激務

社内からの評価を見てきましたが、アクセンチュアは外部からどのように評価されているのでしょうか。

いくつかの事例を見てみましょう。

Great Place to Work ベストカンパニー

Great Place to Workは1984年から続く、働きがいのある会社を表彰する制度です。

この調査は世界中で行われています。

アクセンチュアは毎年高い評価を得ており、2021年は1,000人以上の会社部門で14位でした。

上位は特に働きやすいと評判の企業しかいません。

一連の働き方改革に関する取り組みが評価され、外部機関からも働く場所として優れているという高い評価を勝ち取っています。

OpenWork 働きがいのある会社 11位

OpenWorkの働きがいのある会社は従業員・元従業員からの評価に基づくランキングとなっています。

こちらでもアクセンチュアは2021年のランキングで11位と非常に高い評価となりました。

働く場所としては非常に魅力的な場所であると社内の方々も思っているということでしょう。

アクセンチュア社員の1日の働き方

アクセンチュア,激務

アクセンチュア社員の働き方をより具体的にイメージするために、社員の1日の動き方を見てみましょう。

ストラテジー

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ストラテジーは一般的に働く時間の長い人たちです。

朝9時から夜24時は普通に勤務すると考えましょう。

顧客とのミーティングや資料作成準備、海外とのミーティングなどがあります。

またミーティングで全く発言をしないと価値がないということになってしまうでしょう。

組織への貢献度が求められます。

1日を通じて集中を保つワークスタイルが求められるでしょう。

コンサルタント

アクセンチュア,激務

コンサルタントは残業時間が月45時間までとなっており、その上限である45時間まで残業することが多いようです。

朝9時から仕事をして夜20時までといった1日の流れになるでしょう。

採用にも力を入れているので採用関連の仕事が入ることもあるようです。

アクセンチュアの紹介動画がありますので、是非参考にしてください。

エンジニア・SE

アクセンチュア,激務

エンジニア・SEはまず顧客先に常駐することが多いので働く場所が異なります。

常駐先企業のIT部門の人との打ち合わせも多く対応することになるでしょう。

本社への報告や実際にシステムの運用など、仕事は多岐にわたります。

平均残業時間30時間ですので、朝9時から夜19時くらいまで働くのが平均的でしょう。

システムのメンテナンスのスケジュールなどに応じて、定時で帰れる日もあれば遅くまで残る日もあるという不規則な勤務になります。

他のコンサルタント企業の残業時間

アクセンチュア,激務

アクセンチュアが激務なのかどうか、他社の状況と比べて考えてみましょう。

コンサルタントの平均残業時間

アクセンチュア,激務

コンサルタントの残業時間はコンサルタントの種類によって大きく変わりますが、40~80時間が平均と言われます。

この範囲であれば、一般的なコンサルティング会社の残業時間として考えることができるのではないでしょうか。

特に、戦略コンサルタントという企業の経営に大きな影響を与える提案をする部署は残業が長いことで有名です。

アクセンチュアもストラテジーは戦略コンサルですので残業時間が長くなります。

それ以外のコンサルタントは業務プロセスやIT関連のコンサルタントが多く、戦略ほどの残業時間にはなりません。

残業時間の長い会社

残業が長いとされるコンサルティングファームは特に戦略コンサルティングに特化をした会社です。

マッキンゼーやボストンコンサルティンググループは80時間を超えていますので、一般的に言われるコンサルの残業時間よりは長めでしょう。

主に外資系のコンサルティングファームが海外とのミーティングなどのために残業時間が長くなりがちです。

企業名残業時間
マッキンゼー・アンド・カンパニー88時間
ベイン・アンド・カンパニー74時間
ボストンコンサルティンググループ(コンサルタント)82時間
A.T.カーニー(コンサルタント)74時間
デロイトトーマツコンサルティング(コンサルタント)68時間

残業時間の短い会社

日系のコンサルティング会社やITに特化したようなコンサルティング会社になると残業時間は50時間以下と落ち着いてきます。

戦略の場合はリサーチや提案という終わりのない業務に膨大な時間を費やすことが必要です。

一方でITをいかに活用するかというより具体的なフェーズになるため、仕事に区切りをつけやすいというのが特徴ですね。

企業名残業時間
PwCコンサルティング(コンサルタント)52時間
野村総合研究所(コンサルタント)51時間
日本IBM(コンサルタント)44時間
アビームコンサルティング(コンサルタント)37時間

まとめ

アクセンチュア,激務

アクセンチュアの働き方について見てきました。

ここ数年でコンサルティング企業の働き方も大きく変化しましたが、それでも顧客のプロジェクトを成功させてこそのコンサルティング企業です。

勤務が不規則になったり残業が発生したりするのは覚悟のうえで選びましょう。

企業分析の方法については以下の記事でも紹介していますので参考にしてください。

企業研究に関する記事はこちら

それでは、就職活動頑張ってくださいね。

この記事を書いた人mike