はじめに

日本を代表する産業の一つとして語られるのが今回業界研究を進めていく自動車業界です。

非常に大きな産業であり多くの自動車メーカーが世界で高い評価を受けています。

憧れを持つ人も多いのではないでしょうか。

この記事では自動車業界の社会的役割や今後の動向、向いている学生の特徴等を解説していきます。

是非最後までご覧ください。

業界研究をする前に

自動車業界,業界研究

自動車業界の業界研究に入る前に業界研究をやる目的を明確にしておきましょう。

業界研究は業界の現状や将来性に関する情報を集めるだけでは片手落ちとなってしまいます。

業界特有の特徴と自分の特性や性格を擦り合せることで、自分にあった業界なのかどうかを考えることが大切です。

そして入社後「こんなはずじゃなかった」とミスマッチにならないようにすることが業界研究の正しい目的です。

自動車業界について理解を深めながら「本当に自分に合う業界なのか、仕事があるのか」を考えながら読み進めてみてください。

ちなみに業界研究を始めたばかりの人ややり方がよく分からないという人は、こちらの記事も合わせて読んでみてくださいね。

業界研究,やり方

業界研究の目的を正しく理解したうえで、自動車業界は自分が活躍できそうなフィールドなのか見極められるようにしましょう。

自動車業界とは

自動車業界, 業界研究
新日本有限監査法人HP資料を基にシューブン編集部作成

自動車業界は大きく分けてサプライヤー、完成車メーカー、ディーラーの3つに分けることができます。

その中でも完成車メーカーが中心となりますが、大きなメーカーを中心にそれぞれの経済圏を作るのが特徴です。

TVCMも多く放送しますしネット広告もたくさん入ってきます。

街に出れば様々な自動車の販売会社の看板があるでしょう。

みんなの日常に溶け込み不可欠なものになっている自動車業界を深堀していきます。

自動車業界の概要

自動車業界

現在の日本の自動車業界はどうなっているのでしょうか。業界全体を確認してみましょう。

関連事業が多い自動車業界 

自動車業界は関連する業界が広範に及び、日本で自動車関連の業界に就業している人は550万人とも言われます。

就業人口は6000万人と少しですので、日本人の約10人に1人は自動車関連の仕事をしていることになりますね。

鉄等の素材、エンジンやエアコン等の部品、最近では安全運転のためのセンサー等様々なものが必要になります。

完成車を販売したり中古車を販売することもありますし、車検や自動車保険も必要です。

自動車にまつわる産業は非常に多岐にわたります。

製販分離

自動車は自動車を製造する会社と販売店が別になっています。

研究開発や製造に集中する自動車会社と、車を売ることに集中する販売会社が両輪で事業を拡大する方法をとってきました。

販売会社は基本的に特定のメーカーの販売のみを行います。

資本関係が深い企業もありますが、トヨタ自動車のようにほとんど資本関係のない場合もあります。

自動車会社に入るのと販売会社に入るのでは全く文化が異なりますので気を付けましょう。

部品メーカーの系列化

自動車メーカーによって使用する部品が異なったり規格が変わったりするので、自動車に用いる部品メーカーも自動車メーカーの系列になりがちです。

例えばデンソー、アイシン精機、豊田自動織機はトヨタ御三家と呼ばれ、トヨタへの売上が会社全体の半分以上を占めます。

ホンダや日産も同様の構造となっているため、少し調べるとサプライヤーがすぐでてきますよ。

大きなメーカーに紐づいて大きな部品供給会社があるのが自動車の特色です。

自動車業界の基礎知識

自動車業界, 業界研究

ここからは自動車業界を志望する方が知るべき基礎知識をお伝えします。

チェックしておいてください。

自動車業界の市場規模

自動車業界, 業界研究
業界動向サーチを基にシューブン編集部作成

まず自動車業界の市場規模です。

自動車業界の市場規模は約60兆円と言われ、国内の年間販売車数は500万台前後となっています。

日本の海外輸出の約2割が自動車が占めるなど、産業の大きさがわかるかと思います。

景気によって若干の変動はありますが、安定して販売台数は推移しています。

トヨタ自動車の独走

現在日本の自動車メーカーはトヨタ自動車1強の時代となっています。

トヨタ自動車が年間の世界販売台数1000万台となりこれは世界トップ2位の成績です。

中国に強いフォルクスワーゲンが世界トップですが、ほぼ変わらない数字で並んでいます。

トヨタは日本、北米で強くその他地域でも強いブランドと販売力を有しています。

足元の販売状況だけでなく優良なIT企業との連携等自動車の未来を見据えた先行投資でも大きな動きをしており、先進性でも他を圧倒しています。

山梨県に新しい自動運転技術や脱炭素化を目指した街づくりを計画しており、前例にないチャレンジが話題を呼んでいます。

海外でも強い日本メーカー

世界の自動車販売台数トップ10を見てみるとトヨタ自動車、ルノー・日産・三菱、ホンダの3社が並んでいます。

このほかにもインドでシェアを大きく持つスズキ、自動車づくりに強いこだわりを持ち独自路線を行くマツダなど、強い自動車メーカーがたくさんあります。

発展途上国に行くとホンダやヤマハの2輪車もよく見かけます。

品質の高い日本車は海外でも高い支持を受け、販売を拡大してきました。

自動車業界の売上高ランキング

自動車業界, 業界研究
業界動向サーチを基にシューブン編集部作成

日本の自動車メーカーの売上ランキングを見ていきましょう。

トヨタ自動車が非常に大きなシェアを持っています

ヤリス、ルーミー、カローラ、アルファード、プリウス、アクアと言った売れ筋の車を非常に多く抱えています。

それに続くのがホンダと日産です。

ホンダはNBOXがロングセラーとなっており業績を伸ばしてます。

日産は売れている車はノートくらいでしょうか。

それを追うのがマツダ、スズキ、SUBARU等のメーカーとトラックや大型自動車を生産する日野自動車やいすゞ自動車です。

マツダやSUBARUは独自のデザインと走りにこだわった設計で、ワンランク上の自動車づくりを目指しています。

スズキは軽自動車を主戦場とする会社ですね。

大衆車は上位3社が独占おりそれ以外の自動車会社は独自の技術やブランド作りで生き残りを目指しています。

自動車業界の現状と今後の動向

自動車業界,業界研究

では自動車業界が直面している現状とこれからの動向を見ていきましょう。

現状

自動車業界,業界研究

まずは現状から整理をしていきます。

新車販売台数は頭打ち

国内の自動車販売は500万台前後で頭打ちとなっています。

人口も増えず、若い人の車離れもあり販売台数は伸び悩みが続いてきました。

カーシェアリング等が増えるとさらに販売台数は減少するでしょう。

地方の人口が減少する一方で東京圏の人口は増加しています。

公共交通機関の発達した東京では車を持たない世帯も多いため社会構造的に車の販売は増えづらいと言えるでしょう。

横で連携する自動車業界

それぞれは独立した自動車会社なのですが自動車業界は緩やかに資本関係でつながっています

最も繋がりが大きいのはトヨタ自動車で子会社には日野自動車やダイハツを持ち、マツダやスズキ、いすゞ自動車の一部株式も保有し連携を強化しました。

トヨタが先端技術の開発やビジネスモデルを開発していくのに対し、中堅の自動車会社も乗り遅れまいと必死に情報を集めているのではないでしょうか。

環境対応は欧州勢が優勢

自動車会社というよりも国の方針の影響が強いのですが欧州ではいち早く厳しい環境規制が導入されます。

それに対応して欧州車はエコフレンドリーな車の開発を余儀なくされました。

日本も欧州には遅れていますがガソリン車の販売を規制する等の動きが出てきています。

日本の自動車メーカーも電気自動車や代替可能エネルギーを動力とした車の開発が一層進むでしょう。

今後の動向

自動車業界,業界研究

自動車業界の今後の動向を3点お伝えします。

脱炭素に向けた動きの加速

1つ目は脱炭素に向けた動きの加速です。

日本政府は2035年までに日本の自動車を100%電気自動車にする、と発表しました。中国も2035年に電動車50%とする、としています。

ホンダは日本の自動車勢としては初めて2040年までに脱ガソリン車を達成すると発表しました。

こうした動きは世界の情勢を反映したもので遅かれ早かれすべての自動車メーカーに影響が出るでしょう。

自動運転技術の進化

2つ目は自動運転技術ですね。

現在はまだ一般的に活用するところまで行きついていない自動運転技術ですが、研究は着々と進んでいます

毎年何千、何万もの人が交通事故で亡くなっているので自動運転によって事故を減らせるとありがたいですよね。

運輸会社等が一部の空港で荷物を運ぶ車などはすでに自動運転が始めています。

今後も段階的に自動運転が取り入れられていくでしょう。

MaaSによる車の所有の仕方の変化

MaaSはモビリティ・アズ・ア・サービス(Mobility as a Service)の略で、移動手段をサービスのように使用する、という意味です。

ユーザーが車を購入するのではなく、使うときに使っただけサービス料金を払う、というものですね。

カーシェアリングだけでなくシェアサイクリングやタクシー配車アプリもMaaSとなり、「移動すること」に関連するものを広くMaaSと言います。

非常に注目度の高い将来のビジネスとされていますので、ご自身でもこの記事とは別に調べてみてください。

仕事内容

自動車業界,業界研究

ここからは自動車業界で働く人の具体的な仕事内容について見ていきます。

非常に幅広い仕事がありますので、自己分析の結果と照らし合わせながら自分の特性に合う職種を見つけてください。

研究開発

自動車業界,業界研究

自動車業界の仕事としてわかりやすいのが研究開発ですね。

優れたエンジンを開発したり電気自動車技術を開発したりします。

自動車業界は新卒採用の半分以上が理系採用となり研究開発人員の採用を強化しています。

日本の自動車産業の競争力の源泉ですね。

生産管理

自動車業界,業界研究

次に生産管理です。開発した車をどのように量産化するかを企画する部署となります。

工場の建設から生産体制の確立、生産量の調整等を担います。

せっかく開発したいい車も量産化できなければビジネスにならないですよね。

研究開発とビジネスをつなぐ大切な役割となります。

品質管理

自動車業界,業界研究

品質管理によって車の安全性が保たれます

出来上がった車が安全性能上問題ないか、正しく動くのか等をチェックします。

1つの車に数万の部品が使われていますし最近の車は多機能ですので、品質をチェックするのにも非常に労力を要します。

品質チェックは人の命を守る大切な仕事です。

マーケティング

自動車業界,業界研究

日本のTVCMで広告費のトップはトヨタ自動車です。

車メーカーは多額のマーケティング費を投じブランディングをしています。

それだけ自分たちの車を選んでもらうことが難しいということです。

消費者が車を選ぶときに何にこだわりを持つのかを見極め自社がとるべき戦略の意思決定に関わります。

経営に近いところで仕事ができるのがマーケティングの醍醐味ですね。

調達

自動車業界,業界研究

車は数万の部品を扱っているという話をしました。

この部品を購入してくるのが調達、購買の仕事です。

いかに安く安定的に部品を調達できるかを考えて仕事をしていきます。

サプライヤーに対して難しい交渉をしていくこともあるでしょう。

部品が欠品してしまうと生産ができませんし生産ができなければ売り上げが上がりません。

ビジネスを安定的に動かすための会社の黒子役になるのがこの調達部門の特徴です。

事業企画

自動車業界,業界研究

最近の自動車メーカーはビジネスモデルをどう変えていくか、をよく考えています。

世の中のテクノロジーやビジネスモデルの先端を見ながら自分たちがどう生きていくかを考えるのが事業企画です。

今後10年、20年を見据えたときに自動車ビジネスがどうなっていくかを見極めパイオニアになるための戦略を練ります。

自動車業界に向いている学生

自動車業界,業界研究

自動車業界で活躍する人はどのような人なのでしょうか。

自動車業界に向いている学生の特徴をみていきましょう。

社会を大きく変える力になりたい

自動車業界,業界研究

まずは野心がある人や、インパクトの大きい仕事をしたいと考えている人に向いていると思います。

日本を代表する産業であり関連産業含めて数百万人が関わっている業界です。

ここで活躍することは日本の産業を支えていると言っても過言ではないでしょう。

自分の仕事で多くの人の役に立ちたい、全身全霊をかけて仕事で成果を出したいという人にはおすすめです。

精神的なタフさが求められる

自動車業界,業界研究

次は精神的なタフさです。どの仕事においても高い成果を求められます。

また海外に工場を建設する、海外のサプライヤーから安定的に部品を供給してもらう等非常にタフなビジネスシーンがあります。

日本を支えていく産業だからこそ困難さも伴います。

厳しい仕事を乗り越えて成長をしていく精神力が求められます。

日本を代表するプライド

自動車業界,業界研究

最後は日本を代表するプライドを持てるか、という点です。

日本の自動車メーカーは世界でもその品質を高く評価されています。

海外に工場をつくるとその地域に多く雇用を生み出すことができるため、地元から大きな期待を寄せられるでしょう。

各国の期待に応えるため、日本に誇りを持ち、日本人の几帳面さや責任感の強さを体現できる人材が自動車業界で活躍できるのではないでしょうか。

まとめ

自動車業界,業界研究

自動車業界の業界研究を行ってきました。

日本を代表する産業であり、世界に対し影響力を持つ大きなビジネスです。

一方で非常にビジネスが大きく動こうとしているタイミングでもありチャレンジの多い業界とも言えるでしょう。

ちなみに本サイトでは、自動車業界以外にも様々な業界について解説しています。

業界研究の記事一覧

多くの業界を知り、就活の視野を広げていきましょう!

この記事を書いた人mike