はじめに
華やかなイメージがあり、多くの就活生から人気の化粧品業界。
身近な商材を扱っていることもあり、化粧品業界に興味や関心がある人も多いのではないでしょうか?
こちらの記事では、化粧品業界の概要や今後の動向、具体的な仕事内容から向いている学生まで徹底解説していきます。
「化粧品業界に興味はあるけれど安定性や成長性はどうなんだろう?」と疑問に感じている人や、「自分に向いている仕事なのか確かめたい」という人はぜひ参考にしてください。
業界研究をする前に
なぜ業界研究をするのか、きちんと業界研究の目的やメリットを理解していますか?
「業界研究」=「業界について詳しくなること」ではありません。
業界研究のゴールは、自分に合った業界か見極め、入社後のミスマッチを防ぐことです。
そのため、自己分析の結果と照らし合わせながら業界に関する知識を深めていく必要があります。
化粧品業界への理解を深めつつ、本当に自分と合う業界・仕事内容なのか意識しながらこの後の内容を読み進めていってくださいね。
化粧品業界とは
化粧品業界は華やかなイメージがありながらも、普段から商品を使用している人も多く比較的身近に感じる業界です。
しかし商品やブランドに関する知識はあっても、どのようなビジネスモデルで商品が生み出されているのか知っている人はあまりいないのではないでしょうか?
そのためここでは、化粧品業界の概要や売上高ランキング、基礎知識について解説していきます。
化粧品業界を志望する人は必ず知っておくべき内容です。ぜひ最後まで目を通してみてください。
化粧品業界の概要
化粧品業界には様々なビジネスモデルが存在し、流通経路によって「制度品メーカー」・「一般品メーカー」・「無店舗販売メーカー」・「業務用品メーカー」の4つに分けられます。
それぞれの特徴を理解し、化粧品業界の全体像を把握していきましょう。
制度品メーカー
制度品メーカーとは、商品の企画・生産から販売まで自社で管理しているメーカーのこと。
契約している小売店またはメーカーが直接販売するため、販売価格までコントロールできるのが特徴です。
美容部員と呼ばれるカウンセラーを小売店へ派遣することで、お客様のニーズに寄り添いながら高品質・高価格商品の拡販を行います。
制度品メーカーは、資生堂、コーセー、花王(カネボウ化粧品)などが有名です。
一般品メーカー
一般品メーカーは、商品の企画から生産まで行うメーカーのこと。
販売まで自社で管理する制度品メーカーとは異なり、一般品メーカーの商品は問屋が仕入れ、様々な小売店にて販売されます。
そのため一般品メーカーの商品は、販売価格のコントロールができません。
また接客ではなくセルフ形式で商品が販売されるため、商品の魅力を伝える販促宣伝が売上に大きく影響するのも一般品メーカーの特徴です。
マンダム、ユニリーバ、クラシエなどが一般品メーカーに分類されます。
無店舗販売メーカー
無店舗販売メーカーは、その名の通り販売店舗をもたない訪問販売や通信販売のメーカーのこと。
訪問販売はポーラ・オルビスHD、通信販売はファンケル、DHCが有名です。
業務用品メーカー
業務用品メーカーは、一般の消費者ではなく美容院やエステサロンなどで使用する化粧品の企画・生産を行うメーカーのこと。
ミルボンやコタが業務用品メーカーに分類されます。
化粧品業界の売上高ランキング
引用元:有価証券報告書
化粧品業界における売上高ランキングは上図のようになっています。
第1位の資生堂は業界の約半分のシェアを占めており、就職企業人気ランキングの上位に例年ランクインするほど学生からも非常に人気な企業です。
化粧品業界の基礎知識
消費者として化粧品のことをよく知っていても、ビジネスとしてはまだまだ知らないことも多いのではないでしょうか?
ここでは、化粧品業界にエントリーする前に知っておくべき基礎知識を2点紹介します。
化粧品人口とは?
化粧品を使用する人口のことを「化粧品人口」と言います。
1980年代における化粧品人口は18〜59歳の女性人口をもとに算出されていましたが、今や高校生が化粧するのは当たり前、中学生・小学生でも化粧する時代です。
また高齢化により60代・70代の方も化粧品を愛用しています。
したがって国内の総人口が減少傾向にある中でも、化粧品人口は増加傾向です。
多くの業界が国内需要の減少に悩まされる中、化粧品業界はまだまだ国内需要に期待できる業界と言えるでしょう。
景気と化粧品需要の関係
化粧品業界は景気の影響を受けにくい業界と言われています。
なぜなら、不景気と好景気ではそれぞれ次のようなサイクルが働くからです。
- 不景気:主婦・主夫が働きに出る→化粧品を使う機会が増える→低額化粧品が売れる
- 好景気:消費者の収入が増える→高額化粧品が売れる
一般的に不景気の場合、消費者は購買行動を抑えようとするため各メーカーの売上は減少しますが、化粧品業界では上記のサイクルにより逆に商品の売上が伸びる仕組みになっています。
また不景気で収入が減ったからといって、今まで使用していた化粧品よりも低品質・低額なものへランクを落とすのはなかなかできないという消費者の心理も、化粧品業界が不景気に強い理由の1つです。
化粧品業界の現状と今後の動向
入社後長く働き続けるためにも、業界全体の安定性や成長率は非常に気になるところですよね。
そのためここからは、化粧品業界の現状と今後の動向について解説していきます。
現状
まずは化粧品業界の現状として、業界の市場規模や新型コロナウイルスの影響について解説していきます。
市場規模の推移
引用元:矢野経済研究所
化粧品市場は2018年度までは順調に規模を拡大していましたが、2019年度の後半から新型コロナウイルスの影響を受け始め、2019年度はほぼ横ばい、2020年度は大きく落ち込むことが予測されます。
化粧品業界は通常、不景気の影響を受けにくい業界。これまで不景気の時代であっても右肩上がりで成長し続けてきました。
しかし新型コロナウイルスによる不景気は例外です。昨今の化粧品業界の低迷には、次の3点が大きく影響しています。
- 外出自粛や営業自粛による来店客数の減少
- マスク使用によるメイクアップ商品需要の減少
- 渡航制限による訪日外国人(インバウンド)需要の減少
カテゴリー別の市場構成比
引用元:矢野経済研究所
化粧品市場は上図の通り大きく4つのカテゴリーに分類され、洗顔料や化粧水などのスキンケア商品が市場の約半分を占めています。
そしてスキンケア商品の次に多いのは、ファンデーションや口紅などのメイクアップ商品です。
しかし化粧品というと、最も市場が大きいスキンケア商品よりもメイクアップ商品のイメージが強く、実際にテレビCMや雑誌広告でもメイクアップ商品が多く取り上げられています。
なぜ各企業がメイクアップ商品の宣伝により注力しているのか、それはメイクアップ商品における新規顧客の獲得のしやすさが要因です。
一般的に消費者は、スキンケア商品は同一ブランドのものをずっと使い続け、メイクアップ商品は様々なブランドを使い分ける傾向にあります。
そのためメイクアップ商品の宣伝で新規顧客を獲得し、それをきっかけとしてスキンケア商品の固定客を増やしていくことが化粧品メーカーの戦略の1つです。
今後の動向
化粧品業界の今後の動向は、次の2点がカギを握っています。
- ウィズコロナ時代への対応
- 新型コロナウイルス収束後の需要の増加
新型コロナウイルスにより、店頭での売上拡大や販促効果がなかなか見込めない状態です。
そのため、EC事業の拡大やオンラインでの対応が各社存続のカギとなっています。
オンラインカウンセリングによる販促やマスク着用を前提とした商品開発など、この状況下でいかに早く消費者のニーズに応えていくかが重要です。
また新型コロナウイルスが収束した場合は、メイクアップ商品の需要回復と訪日外国人によるインバウンド需要の増加が期待できるでしょう。
化粧品業界の仕事内容
化粧品業界で働くというと華やかなイメージがあるのではないでしょうか?
しかし化粧品業界には、お客様と積極的にコミュニケーションをとる仕事から、綿密な情報収集やスケジュール管理が求められる裏方の仕事まで様々の仕事が存在します。
ここでは化粧品業界における7つの仕事内容を解説していきますので、自分の興味や長所と照らし合わせながら化粧品業界への理解を深めていきましょう。
商品開発
商品開発とは、市場の動向や競合商品を分析し、新商品を開発する仕事です。
徹底的な情報収集と分析により、どんなターゲットに向けてどのようなコンセプトで商品を売るのか考えていきます。
社内だけでなく容器開発のためのデザイナーや容器メーカー、生産工場と連携しながら業務を進めていく必要があるため、情報収集力や分析力だけでなくスケジュール管理能力も求められる仕事です。
マーケティング
マーケティングは販売に関する司令塔です。
どの商品をどのくらい販売するのか、どのような戦略で販売していくのか、会社全体の利益計画をもとに販売戦略を立案します。
商品開発同様、市場や競合の動向を把握しながら、月度別・商品別・流通別・地域別などあらゆる切り口で販売計画を立てていく必要があり、分析力や思考力が求められる仕事です。
広告宣伝・販売促進
広告宣伝・販売促進は、商品の魅力を発信する仕事です。
ターゲットやコンセプトを正しく理解したうえで、テレビCMや雑誌広告での宣伝方法や店頭でのプロモーション方法を考えていきます。
競合や過去の実績を分析しつつ、斬新な発想が求められる仕事です。
営業
得意先である化粧品専門店・百貨店・ドラッグストアに対し、自社商品の納入交渉や売場提案を行うのが営業の仕事です。
他業界の営業同様、高いコミュニケーション能力が求められます。
美容部員
百貨店などの大型店舗に派遣され、店頭での接客を通して自社商品の拡販を行うのが美容部員の仕事です。
美容部員は、ビューティーアドバイザー(BA)やビューティーコンサルタント(BC)と呼ばれることもあります。
一人ひとりのニーズに寄り添った提案をするためにも、豊富な商品知識や接客の技術が求められる仕事です。
研究開発
研究開発は、高度化・多様化するニーズに応えるための基礎研究や製品開発を行う仕事。
一般的には理系学生のみがエントリーできる職種です。
生産技術
生産技術とは、商品を安定して量産化するための製造工程や生産設備に関する開発を行い、商品の製造や品質管理を行う仕事です。
研究開発同様、エントリーは理系学生に限定されます。
化粧品業界に向いている学生
続いて、化粧品業界に向いている学生について解説します。
自分のやりたいことが化粧品業界にあるのは大前提として、次の特徴に当てはまる場合はきっと化粧品業界に向いている人と言えるでしょう。
- 「美」に関心がある人
- 最先端のものやトレンドに敏感な人
- 変化に対して柔軟に対応できる人
- 協調性やコミュニケーション能力の高い人
- 責任感がある人
1つ目の「美」への関心は、化粧品業界を目指すうえで必須の条件です。自社商品に対する興味や関心がなくてはお客様の期待に応えられません。
また化粧品業界におけるニーズは高度化・多様化しているため、常に最新のものやトレンドに目を向け、変化に対して柔軟に対応する力が求められます。
4つ目と5つ目に関しては他業界にも共通して言えることですが、化粧品業界では各部署の連携とお客様のニーズを汲み取る力が重要であり、商品の安全性がお客様からの信用に繋がる仕事です。
ぜひ上記を参考にして、化粧品業界は自分に合っているのか確認してみてくださいね。
まとめ
化粧品業界は堅調に市場を拡大し、不景気にも強い業界とされています。
しかし近年は新型コロナウイルスの影響により業績が低迷しているため、ウィズコロナ時代への対応およびEC事業の拡大が今後の化粧品業界の成長のカギとなるでしょう。
また化粧品業界の仕事は大きく7つに分類され、様々な部署が連携することで高度化・多様化するニーズに応える商品が生み出されています。
「美」に関心があり最先端のものやトレンドに敏感な人は、化粧品業界を視野に入れて就職活動してみてはいかがでしょうか?
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