はじめに
就職活動のスタートは自己分析と業界研究、そして職種研究と言われます。
この中でも職種研究は何をしたらいいかわからないという人も多くいるのではないでしょうか。
同じ会社でも職種によって働き方や年収が異なるので、企業選びと同じくらい職種選びも重要です。
職種毎のやりがいや苦労、生活スタイル等を把握しましょう。
この記事では接客業の職種研究をしていきます。
職種研究のやり方がわからない人は以下の記事を参考にしてください。
目次
接客業とは
個人のお客さまに対して接客を行い喜んでいただくこと全般を言います。
接客業は皆さんがイメージしやすいですよね。
洋服を買いに行けばショップの店員さんが、ホテルに行けばクロークにホテリエの人がいますね。
このように私たちの身の回りの様々なところに接客業として活躍している方がいるのです。
接客業は何をする?
接客業は接客だけでなく様々な仕事を行います。
- お客さまの接客
- 従業員育成
- 在庫管理
- クレーム対応
- スケジュール管理
- 予算管理
お客さまの接客はわかりやすいですね。接客業はお客さまへ商品を販売したりサービスを提供したりするのが仕事です。
お客さまの悩みを伺い何を求めているかやどんな課題を解決できればいいのかを把握します。
お客さまのご要望にかなうものや役に立つもの、満足するものでなければ選んでいただけません。
いかに「あなたから買いたい」「あの人がいるからまたここで買おう」と思ってもらえるかがポイントです。
次に従業員育成も大切な仕事でしょう。入社してきた後輩に仕事のやり方を教えたりアルバイトの方のフォローをしたりします。
接客業はチームで仕事をすることが多いため、いかにいいチームを作るかが大切になるでしょう。
在庫管理も接客業の大切な仕事です。
お客さまも買いたいものがなければがっかりするでしょうし、人気商品の在庫を切らしてしまえば売上の機会を逃してしまいます。
クレーム対応は接客をしていると必ず出てしまうものです。
ポジションが上がれば難しいクレームも処理しなければなりません。
スケジュール管理はアルバイトの方々のシフト管理です。
誰も店舗にいないということはあり得ないので適切に人を活用するためのスケジュール管理や、人が足りない場合は採用を行います。
最後は予算管理です。店舗には2つの予算があり、売上の目標と使っていい費用の予算があります。
両方の予算に対する進捗を確認し、いかに費用を抑えて売上を上げるかを考え施策を実行していきましょう。
このように、接客業は非常に広範な仕事を担当します。
接客業のやりがい
多くの人が接客業で働いています。
どのようなやりがいを持って働いているかを見ていきましょう。
自分が会社の「顔」になる
自分自身が会社の「顔」として重責を担うことがやりがいの1つでしょう。
例えばスターバックスコーヒージャパンは一切TVCMをやらないことで有名です。
好立地に店舗を構え洗練された店員が接客にあたることが何よりも自分たちの価値と評判を高めるという信念があります。
広告をしない分、社員の給料を上げたり他の投資を行ったりすることにお金を使うのですね。
お客さまと向き合う接客業を行う一人ひとりの頑張りの結集が会社の価値を高めることに繋がります。
直接お客さまに貢献できる
接客業の醍醐味は直接お客さまに対してサービスを行い「ありがとう」と言われることでしょう。
困っていることや悩んでいることを親身に相談に乗り解決できると感謝していただけます。
一言のコミュニケーションがお客さまの心を軽く明るくすることもありますよね。
お客さまから感謝をされることで自分の居場所を感じられる人も多くいるでしょう。
自分ならではの仕事ができる
お客さまの期待を超える接客ができるかは接客業にあたる一人ひとりの工夫や人間性が重要です。
お客さま一人ひとり異なる悩みを持っています。そして接客業をする自分自身も一人ひとり異なります。
すべての接客の状況が異なるからこそ、自分にしかできない接客ができるチャンスが生まれるのです。
ザ・リッツ・カールトンという最高級ホテルでは従業員一人ひとりの自主性をいかに引き出すか、を非常に重視しています。
自分にしかできない、自分ならではの接客ができるのがやりがいの1つでしょう。
接客業の苦労
接客業で働く人たちはどのようなことに悩み、苦労を抱えているのかも見ていきましょう。
理不尽なお客さまもいる
お客さまの中には理不尽な要求をしてきて対応に困る、ということもあります。
理解のできないクレーム等で神経をすり減らしますよね。
またアルバイトが働いているような職場であればアルバイトがお客さまに怒られているところを助けに行かないといけません。
正当なクレームであれば理解し反省の上次に役立てることができます。
しかし理不尽なクレームはその後の改善や成長につながりづらいため疲弊しがちです。
店の売上目標がプレッシャーになる
店舗で勤務している場合は店舗ごとの売上目標があることがほとんででしょう。
個人を相手に接客をするようなビジネスは日別、週別、月別と細かい予算目標を持っていることが通常の運営です。
何日か連続で日の予算をクリアできないと週の目標がクリアできずに焦りが出てきますよね。
売上に常に追いかけられるのが販売業の苦しいところでもあります。
土日休みがとれない
販売を中心とする接客業は個人のお客さまを相手にビジネスをするので基本的に土日が稼ぎ時であり勤務となることが多いです。
接客業をしている友人が少ない場合は休みを合わせづらかったり長期の休みも取得しにくくなったりします。
子供ができると学校は土日が休みなのに自分が仕事をしないといけない等遊びに行く計画も立てづらくなりますね。
ワークライフバランスを保つのが難しくなるのは接客業の宿命です。
接客業の平均年収
接客業の平均年収は約350万円と全国平均より100万円程度低い水準です。
接客自体がそこまで大きく給料が伸びる職種でないですし、多くは20代~30代の方で構成されているため平均年収が低く出ます。
一部ホテルや百貨店、ラグジュアリーブランドの接客業では600万円や800万円といった収入も可能でしょう。
業種によって平均年収は大きく異なりますので業界研究の際にチェックしてください。
接客業の1日の流れ
接客業の1日は業界や営業時間によって大きく異なり、臨機応変さが求められます。
ここではアパレル小売店を例に考えていきましょう。
朝は前日起きたトラブルやマーケティング施策の共有等、お客さまと接するにあたって全員が把握しておきたいことの共有を行います。
次にオープンの準備、お客さまをお迎えする準備です。
日中は基本的にお客さまを対応しながら在庫管理や目標管理をして過ごします。
トラブルが起こった際にはお客さまの話をよく聞き、改善すべきポイントをまとめていく等の対応も大切になるでしょう。
夕方からは当日業務を後ろのシフトの人に共有しますので、現状の報告や引継ぎをまとめる時間が必要ですね。
業務を引き継いだら清掃をして1日が終了します。
どんな人が向いている?
接客業に向いている人は以下の3つの特性を持った方だと思います。
自身の自己分析と照らし合わせてみてください。
人に貢献したい
接客業の特権はやはり目の前のお客さまの役に立つことでしょう。
バックオフィス等の仕事では直接お客さまの顔を見ることはできません。
目の前の人の役に立ちたい、貢献したいという気持ちがある人は接客業に向いていると思います。
ポジティブ思考である
落ち込んでいる暇がないのでポジティブな人の方が接客業の仕事には向いていると思います。
接客業はすでに述べていますがつらいことも多く起こるのです。
理不尽なクレームに対応すると精神がすり減ることでしょう。
それでも次のお客さまには前向きな状態で接しなければなりません。
体力がある
接客業は体力や体調管理が大切です。
業界によると思いますが、1日のほとんどを立って過ごさないといけない職種もあります。
そのような場合は毎日相当の体力を使って仕事をしないといけません。
人と会話をするということも集中して行うと非常に労力を使うため、体力がある人が向いていると言えます。
接客業で求められるスキル・資格・マインド
次に接客業で求められるスキルや資格、マインドについて見ていきましょう。
スキル
接客業で求められるスキルは以下の4つです。
- 傾聴力
- 観察力
- 質問力
- 提案力
多くはコミュニケーションに関するものですね。
最初は傾聴力です。
お客さまが何を求めているのかを理解するためにお客さまの話をよく聞く必要があります。
何か欲しいもの等ある際は自分を理解してくれる人から買いたいですよね。
次は観察力です。
お客さまの行動やしぐさを見ながらいつ話しかけるべきか、または声をかけないべきか等を判断します。「間」が大切ですね。
そして質問力です。
相手が何を求めているかを深く理解するには効果的な質問をしていくことが大切でしょう。
お客さまが自分で気づいていないような課題を一緒に深堀してあげるととても感謝されます。
最後は提案力です。
相手の求めているものが理解できたら次に自分が何ができるか、が大切となります。
幅広い知識があればそれだけお客さまに提案できる幅が広がりますね。
いかに引き出しを増やしておくかが大切です。
資格
接客業にはこの資格がないと仕事ができない、というものはありません。
仕事をする上で役に立つ知識をつける、もしくは転職の時に能力があることを示すために資格を取得します。
接客業の方が取得しておいたほうがいい資格は以下の通りです。
- サービス接遇検定
- ホテルビジネス実務検定
- 接客サービスマナー検定
サービス接遇検定はサービス業に関わる方々の心構えや対人心理の理解、話し方や立ち居振る舞い等を確認する検定試験です。
上品かつ丁寧にお客さまと接するためのノウハウを習得できるでしょう。
ホテルビジネス実務検定はホテル等に従事する方向けの研修等で使用される試験です。
新人からマネージャーまで、様々なレベルがあります。
最後は接客サービスマナー検定です。
幅広い業界別にどのような接客が必要とされるかを学ぶことができます。
様々なレベルの試験がありますので自分のレベルに応じたものを選択して受験しましょう。
マインド
接客業に必要なマインドは2つです。
1つ目はおもてなしの心でしょう。
お客さまの役に立ってこその接客業です。人の役に立つことで自分の存在価値を感じられる、という人が活躍できる人でしょう。
2つ目は目標達成意欲です。
販売の仕事も店舗の売上等の目標値があります。その目標を達成するためにお客さまの心を惹きつけ成果を上げる必要があるのです。
良い人なだけでは接客業は務まりません。成果を出してこそのプロの接客業と言えるでしょう。
接客業のキャリアパスは?
接客業はどのようになって、将来的にどのようなキャリアを描くのでしょうか。
ここでは接客業のキャリアを見ていきます。
接客業になるには?
接客業になるにはいくつかの方法があります。
- 総合職として小売りやサービス業に入社する
- 接客業特化の職種で入社する
- 非正規雇用で接客業に登録する
まずは総合職として小売りやサービス業に入社する方法です。
これらの業種は基本的に現場を理解するため入社すると必ず接客を経験します。
その後は様々なキャリアを経験することとなりますのでまずは自身が接客に向いているかを知りたい、という方には選びやすいのではないでしょうか。
次に接客業特化の職種で入社する方法があります。
販売、接客は総合職の他に特定の業務のみをやっていく職種として募集をしているケースが多くあるので求人情報調べてみてください。
総合職に比べると倍率も低く入社しやすいので、接客をずっとやっていこうと考えている人にはおすすめです。
最後は非正規雇用で接客業に登録する方法があります。
派遣会社に登録をしたり正社員登用ありとなっているアルバイトから始めたりすることも考えられるでしょう。
接客業のキャリアパス
接客業のキャリアパスは比較的幅広くありますので見ていきましょう。
接客一筋のキャリア
まずは接客一筋で極めていくキャリアです。
接客を一担当としてずっと行っていきます。
お客さまと接点を持つことを大切にしたい方は接客をずっとやっていくというキャリアが描きやすいのではないでしょうか。
接客部門のマネージャー、責任者に
接客をずっとやっていく以上に、店舗を任されていれば店長やエリアマネージャー等の管理職になっていくキャリアが一般的でしょう。
接客は割と20~30代の若い人が多いですが40代以降は次世代の接客担当の育成等に回ることも多いと思います。
接客で培った経験や知恵を多くの人に展開し組織として強くなることを目指していくのです。
総合職なら幅広い部署を経験
仮に総合職で入社した場合は最初に接客を経験したのちに社内の様々な部門を経験することになるでしょう。
最初はお客さまのことを知るために現場配属にする、としている日本の小売企業は多いと思います。
そのような会社で接客業をした場合は接客だけでなくキャリアを広げていくことができるのです。
お客さまのことを理解している、という経験が必ず役に立つでしょう。
転職して一般事務やコールセンタースタッフに
接客業としてのキャリアアップをせず他の職種にチャレンジする人もいます。
接客をやれば丁寧にお客さまと接する態度や言葉遣いも身につくでしょう。
コールセンターでの仕事は簡単に対応できますし、Microsoft Officeが使えれば事務職にもなりやすいです。
社会人としての基礎はしっかりつく職種である、と言えるでしょう。
接客業の最新動向
接客業は基本的に人手不足になりがちです。最新の動向を見ていきましょう。
「ヒト」だからこそできる接客に集中
現在の接客業には「ヒト」がお客さまに与えられる価値は何か、をよく考えなければなりません。
注文を聞くだけならタブレットでお客さまが自分で注文します。清算をするならセルフレジでもできますね。
では機械にできなくてヒトがお客さまに与えられる価値は何でしょうか。
そこに他社との差別化のヒントがあり、自分らしい仕事ができるチャンスがあります。
英語が重要になる
海外からのお客さまも増えており、お客さまと英語で会話をできることが大きな価値になります。
接客業の多くは個人のお客さまに対応しますよね。
ホテルやラグジュアリーブランド、ドン・キホーテやユニクロは海外からの観光客に絶大な人気があります。
人手不足の業界も多い
接客業が必要な仕事の中には求人のあまりない業種と人手不足に困っている業種の両方があるのです。
人手不足の業界は人を集めるために給与水準を上げる、アルバイトを正社員化する等の施策をとることが考えられます。
非正規で雇用された後に正社員となる可能性もあるでしょう。
接客業志望者におすすめの入門書
ここからは接客業を志望する方に参考となる本を3つほど紹介します。
是非参考にしてみてください。
これだけできれば大丈夫! すぐ使える! 接客1年生――お客さまに信頼される50のコツ
元JALの接客をベースに接客の本質を解説してくれている本です。
レビューの評価も非常に高く接客業に必要な心構えを丁寧に解説してくれている1冊でしょう。
ディズニー7つの法則
満足度で非常に高い評価を誇る米国ディズニーワールドの高い接客力を解説した本です。
なぜロイヤリティ高く従業員が働いてくれるのか、その社員を育成するシステム等を解説してくれています。
接客業や接客のマネジメントになりたい方向けの1冊です。
お客様は読まないで。元大手紳士服専門店のNo.1販売員が磨き上げた本気の販売テクニック集
紳士服のAOKIで活躍された接客の方が書いた本です。
接客に必要なテクニックを多く盛り込んでいるので、接客をやったことがある方向けの1冊となります。
アルバイト等で接客を行ったことがある人は自分の経験が明文化されていて納得感が高いでしょう。
まとめ
接客業の職種研究を進めてきました。
お客さまと直接やりとりをし、感謝の言葉をいただけるわかりやすいやりがいのある仕事です。
精神的、体力的にも厳しいことはありますので、仕事のやりがいと苦労の両面をよく理解していきましょう。
接客業を必要とする業界の業界研究も併せて進めることで理解を深めてください。
それでは職種研究頑張ってくださいね。
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