はじめに
デベロッパー業界は人気のある業界なので聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし人気があるのでそれだけ競争も激しくなります。
競争の激しい業界で内定を勝ち取るためにはしっかりと業界研究をする必要があるのです。
この記事ではデベロッパー業界について基礎知識や今後の動向、向いている人の特徴などを詳しく解説していきます。
業界研究をする前に
この記事に目を通していただいている方は当然、業界研究に関心を持って閲覧していることと思います。
デベロッパー業界について研究を進めるにあたって、まずは何のために業界研究をするのか目的をはっきりとさせましょう。
業界研究は情報を集めることが主な目的ではありません。
自分の性格や長所に合っているか知るために行うものになります。
世の中には何千、何万という企業があり、それぞれの専門や強みも千差万別です。
その中でも「給料がいいから」や「有名な大企業だから」という理由で選ぶと、「人からどう見られるか」という世間体に意識が向いてしまいます。
そんな状態では自身の本音に蓋をしたまま面接を受けることにもなりかねません。
なんとなくのイメージで入社してしまってから仕事内容が合わないことに気づくと、自分も企業もお互いに損をしてしまいます。
そうならないためにもこの記事を読みながら、理解を深めつつ「本当に自分に合う業界・仕事なのか」を常に考えながら読み進めてみてください。
ちなみに業界研究を始めたばかりの人や、やり方がよく分からないという人はこちらの記事も併せて読んでみてくださいね。
デベロッパー業界とは
デベロッパーという言葉をそのまま直訳すると「開発者」となります。
しかし、不動産業界におけるデベロッパーとは土地の開発・企画を実行する企業のことを指します。
マンション開発、街の再開発、商業施設開発などの言葉は皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
土地を確保し、全体の方向性を決めながら関連企業や官民と連携して街づくりを進めていくのがデベロッパーです。
不動産の事業は建築、販売、賃貸、管理の4種類に分けられます。
この中でデベロッパー業界が担当するのは建築の部分で、大規模な建設計画で用地を仕入れるという一番上流の事業となるのです。
住宅販売等の場合はハウスメーカーが主導で進めます。
実際に販売する際はデベロッパー業界が直接行うこともありますし、販売会社に委託することもあるでしょう。
当然ですが、何か建物を建てるには土地を取得する必要があるので、デベロッパー業界が土地を抑えなければ他の業種に発注が入ることはありません。
まさに街そのものを作っていく土台の部分の仕事といえます。
そして完成した建物を企業や個人に販売、テナントを入れたりすることでその購入料や賃貸料がデベロッパー業界の主な収益となります。
デベロッパー業界の概要
デベロッパー業界は大きく分けると総合デベロッパーと専門デベロッパーの2種類に分けられます。
- 総合デベロッパー:オフィスビル、ホテル、商業施設など大規模
- 専門デベロッパー:マンションや一戸建てなどに特化
総合デベロッパーはオフィスビル、商業施設、ホテル、リゾート地など比較的規模の大きい事業を担っているのです。
六本木ヒルズや東京ミッドタウンなどが例として挙げられるでしょう。
それに対して専門デベロッパーは特定の分野に集中して事業展開をしています。
明確に定義付けされているわけではありませんが、マンションや一戸建てを専門に扱っている会社が専門デベロッパーと呼ばれているのです。
デベロッパー業界とひとくくりにしてもそれぞれの会社の得意分野があります。
自分がオフィスを建てたいのか、あるいはマンションに興味があるのか自分の方向性とよくすり合わせて企業を選びましょう。
デベロッパー業界の基礎知識
デベロッパー業界の全体像について見てきました。
こちらでは業界研究を進めるうえでの基礎知識について見ていきましょう。
ゼネコンとの違いは?
- デベロッパー:街全体のデザインを考える
- ゼネコン:実際の建築を請け負う
ゼネコンとはゼネラルコントラクターの略で、建物の設計や完成までの工程を管理する会社のことです。
デベロッパーは街全体にどのような建物を建てるかをという段階から企画や設計を行います。
一方、ゼネコンはそのデベロッパーから注文を受けて実際に建築する仕事です。
不動産に関わる仕事をしたいと考えている方は街全体の設計をしたいのか、建物に携わりたいのか区別しておくことが重要でしょう。
デベロッパー業界の採用状況
デベロッパー業界に新卒で入社する場合はほとんどが総合職としての採用となります。
建築物の設計やデザインはほとんどが外部の会社に委託して行うので、それを目的とした採用は新卒ではありません。
そして総合職として入社するとほとんどの新入社員は営業としての配属となります。
理由として営業がその会社のことを理解するのにもっとも適した仕事であり、他の部署は営業ほど人数を必要としないからです。
そのためもっともマンパワーの必要な営業としての配属がメインとなるでしょう。
その後様々なジョブローテーションや全国転勤を経て、マネジメント・人事・経理・広報などの部署に配属になります。
デベロッパー業界の売上高ランキング
デベロッパー業界の売上ランキングを総合デベロッパー、マンションデベロッパー、その他に分けて紹介していきます。
総合デベロッパー
総合デベロッパーの売り上げを見てみると三井不動産の圧倒的な1位に続き、三菱地所、住友不動産などの財閥系が続きます。
財閥は昔から一等地を所有し続けているので当然といえば当然の結果といえるでしょう。
マンションデベロッパー
マンションを専門とするデベロッパーではプレサンスコーポレーション、タカラレーベン、コスモスイニシアの順になっています。
2位以下は売り上げにそこまで差がないので、年度によっては前後することがありますが、プレサンスコーポレーションは頭一つ抜けているでしょう。
その他デベロッパー
2位以下を圧倒的に突き放しているのが飯田グループです。
飯田グループは分譲戸建て、注文住宅などの専門デベロッパーで国内住宅の3割のシェアを獲得しています。
デベロッパー業界の現状と今後の動向
デベロッパー業界の現状と今後について解説していきます。
現状
まずは現状をしっかりと把握しておきましょう。日本の高齢化と人口減少、テレワークの推進が大きく影響する業界です。
人口減少によるオフィスビル、マンションの過剰供給
デベロッパー業界に限らず、今後の日本は少子高齢化が進み人口減少の影響を大きく受けます。
どんなに魅力的な街や施設を作っても来る人が少なくなれば減収は避けられません。
人口が減ればマンションの空き部屋が増え、労働人口が少なくなればオフィスビルの需要が減ります。
より競合同士のシェア争いが激しくなり、各社工夫を凝らしていかなければ生き残れない厳しい時代となるでしょう。
テレワークの推進
国が推進する働き方改革によって今後もテレワークが進んでいくことが予想されます。
多様な働き方が認められ、テレワークや時差出勤などを認める会社も増えてくるでしょう。
その流れを一気に加速させたのがコロナ禍です。
人々は感染を予防するためにITの力を駆使して業務を行うようになりました。
結果はそれぞれの会社によって異なりますが、出社の必要性が薄れ、全員一同にそろって会議をするという風景は昔のものとなっていくでしょう。
テレワークが浸透すれば言うまでもなく大規模なオフィスは必要なくなるので、テナントの流出が懸念されています。
今後の動向
現状を踏まえ、人がどこに集まるかという点が各社の今後の展開を決める要素となります。
人は日本にだけいるわけではないので、海外展開も視野に入れる必要があるでしょう。
首都圏への資源投入
人口減少の影響で各デベロッパー業界は今後も人口が増える首都圏や各社の国内拠点に資源を投入することで利益を確保せざるを得ません。
既存の施設への再開発やリニューアルを実行することで、新たなテナントや消費者の流入を獲得していくための事業戦略は必至となるでしょう。
旧財閥系のデベロッパー(三菱、三井、住友)は今でもオフィスビルを建て続けていますが、需要が減れば賃料の値下げや、周辺のビルからのテナントの獲得のために付加価値を創造し続けなければなりません。
人の集まる首都圏へ資源を投入すると言うことはそれだけ競争が激化するということを意味します。
またマンションなどの専門デベロッパーは高齢者向け住宅や高級マンションの開発に流れが加速していきます。
ただ単に高齢者が住むだけではなく、高齢者のニーズとその家族が快適に過ごせる環境をいかに整えられるかが差別化のポイントです。
海外事業の展開
日本の人口が減っていく以上、将来に渡って利益を出すには海外に目を向けなければなりません。
日本のようにオフィスビルから商業施設など幅広く担当する総合デベロッパーは海外には少ない傾向です。
そのため、今後の発展が期待されるアジアの主要都市での開発が期待されています。
特にこれから成熟していく都市は人口増加が見込めるので、オフィスビルから商業施設、マンションまであらゆるニーズが生まれてくるのです。
今まで日本が経験してきた発展を他国がこれから迎えるとすれば、日本での実績はアピールする上で絶好の材料といえます。
デベロッパー業界の仕事内容
デベロッパー業界は都市開発や商業施設を行う際の最上流です。
ここでは実際の仕事内容を紹介していきます。
用地取得
用地取得とは土地を手に入れることです。
土地開発のスタートであり、もっとも重要なフェーズといえるでしょう。
まずは土地に関する情報を現地調査や不動産関連会社から集めます。
近辺の住人にニーズがあるのか、どれぐらいのコストがかかるのかなどのプランを立て、開発に値する土地かどうか判断するのです。
その後十分にポテンシャルがあると判断されれば土地の持ち主との交渉が始まります。
持ち主が複数に渡ることもあるので、一部の持ち主が売ることを渋っていたりすると用地取得は困難になる場合もあるでしょう。
従って大きな都市開発などの広範囲に及ぶ開発計画の場合は数年~10年以上かかることもあります。
企画/開発
無事に用地を取得したあとは当初に建てたプランを精査し、入手した土地の周辺の環境などとすり合わせて具体的なコンセプトを固めていきます。
これが企画です。
企画で出来上がったコンセプトをもとに建物の図面や街灯や道路の配置、街路樹の数など具体的に作り上げていく作業を開発と呼びます。
設計やデザインは外部のデザイナーと協力して全体のバランスを見ながら細部に至るまで煮詰めていくのです。
このようにしてデザインや設計が完成したら、ゼネコンなどの実際に建物を建築する会社に発注をかけます。
デベロッパーはその後のプロジェクトを管理し、滞りなく開発が進むようにマネジメントを行うことが仕事です。
販売
用地取得から開発を通して完成が間近になれば、テナントの入居者を探します。
マンションであれば大々的に広告し、入居者を募る動きをとるでしょう。
オフィスビルであれば企業、商業施設であれば事業者や飲食店、医療機関などもテナント候補者です。
街のコンセプトやそこに入居するメリットを提案しながら営業をかけていきます。
このテナント料がデベロッパーの収益源の大部分を占めるのです。
管理
無事に開発が進み、建物やテナントが入居した後はその街や施設の価値を向上させるために全体の運営を継続します。
テナントから不満が出ていないか、近隣住民からクレームが入っていないかなど関係を良好に保つための管理もデベロッパーの重要な仕事です。
デベロッパー業界に向いている学生
デベロッパー業界に興味がある方向けにどんな学生が向いているか紹介します。
協調性が高い
社内の人間とだけではなく、外部の人間と協調していく能力が求められます。
土地開発を進めるということは様々な関連企業や地主、官公庁と連携しなければ完成しません。
そのためチームで進めることが得意な人は向いているといえます。
リーダーシップがある
先の協調性と同様に多くの人間が関わる業務には「まとめ役」となるリーダーシップを持ち合わせた人が必要です。
進捗管理一つをとっても多くの部署や関連企業から連絡をもらわなければ把握することはできません。
周りの人間を束ねて一つのことを成し遂げる能力は大規模な都市開発には不可欠といえます。
チャレンジ精神がある
幅広くプロジェクトに携わってみたいというチャレンジ精神を持った方もデベロッパー業界に向いていると言えます。
一番上流の事業として街づくりの土台を担うため、時には重要な決定や難しい判断をしなければならない場面も出てくるでしょう。
また、キャリアを積んでいくにつれてジョブローテーションや全国転勤により様々な仕事に触れる機会も少なくありません。
そのため、様々な状況や業務が発生する中でもそれを自分の成長だと考え挑戦できる心持ちが求められます。
まとめ
以上デベロッパー業界について紹介してきました。
名前をよく聞く会社ばかりだったとは思いますが、実際にどんなことをしているか理解いただけたのではないでしょうか。
活気のある街を作るにはデベロッパー業界の役割が不可欠です。
皆さんが行ったことのあるあの商業施設も、今住んでいるマンションもデベロッパー業界が始まりとなってできあがっています。
自分たちの会社が作り上げたものが地図に残り、シンボルとして輝くという仕事はとても魅力的に見えるでしょう。
大規模な計画を進行させるためには協調性と統率力のある人が重宝されます。
また日本の人口減少で競争激化が進み海外への展開へと方向転換していくことも予想されるので、英語力も必要とされるでしょう。
海外で働く可能性があるということも視野に入れて、自身の性格や興味に合っているかそれぞれの会社のHPをじっくり調べてみてください。
最後に、本サイトではデベロッパー業界以外にも様々な業界について解説しています。
ぜひ気になる記事を読んで業界の理解を広げていきましょう。
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