はじめに
業界研究を始めるとまず初めに考えるのはわかりやすい食品や鉄道など、自分が利用しているサービスではないでしょうか。
ご紹介する「金融業界」は学生の皆さんからすると利用する機会がなく、コンビニや駅前にあるATMを利用するくらいですよね。
最近の中国ではEC大手であるAlibabaから派生したAlipayがお金の支払い手段のメインになっていたりします。
今ある金融の仕組みは今後大丈夫なの?と思われる方も多いかと思います。
金融業界に興味がある人はもちろん「そもそも金融って何だろう?」「金融の将来性は?」と、こちらの記事を読めば簡単に金融業界の全体像が把握できます。
是非最後まで目を通してみてください。
業界研究をする前に
金融業界について理解を深める前に、まずは業界研究の目的をしっかり確認することから始めましょう。
業界研究の目的は業界の情報を集めることだけではありません。
業界の情報と自己分析の結果と照らし合わせることで、自分に合った業界か見極め、入社後のミスマッチを防ぐことが業界研究の正しい目的です。
この後の記事を読むときは、金融業界について理解を深めつつ「本当に自分に合う業界・仕事内容なのか」を意識しながら読み進めてみてください。
ちなみに業界研究を始めたばかりの人ややり方がよく分からないという人は、こちらの記事も合わせて読んでみてくださいね。
業界研究の目的・やり方を正しく理解したうえで、金融業界への理解を深めていきましょう。
金融業界とは
金融ってそもそも何?という話なのですが、「お金を融通すること」が金融です。
お金が余っている人のところからお金が足りない人のところへ、お金が流れる仕組みを作ることが役割です。
銀行は皆さんから預かっている預金(余っているお金)を住宅ローンや企業向けの融資という形で、お金が足りない人へ渡していきます。
損害保険もみなさんから保険料を集め、事故を起こしてしまった人が車を修理したり被害者の方へのお金を払うときに、保険料からお金を払ってあげます。
このように、社会的な役割は非常にシンプルです。
一方で大きなお金の流れを作る社会的なインフラであるためビジネスの形態は色々なものがあり、理解するには若干複雑でもあります。
ここから金融業界の概要や主な企業、基礎知識について解説していきます。
金融業界の業界研究を始めていきたい人はぜひ参考にしてください。
金融業界の概要
金融業界は極めて大きな業界であり、業界研究も大きく分けて以下の8つの分野があります。
それぞれの役割や主力企業を理解し、金融業界の全体像を把握しましょう。
1. 銀行
お客さまから預金として預かったお金を融資という形で企業等に貸し出す、という仕組みです。
メガバンク、地方銀行、信託銀行、信用金庫、信用組合等です。
三菱UFJ銀行や、三井住友銀行、ゆうちょ銀行等が主力企業です。
2. 証券
お金が余っている人と、お金が足りない人をつなぐ仕事をするのが証券です。
野村證券、大和証券やメガバンク系の証券会社が有力企業です。
3. カード
クレジットカードやQRコード決済の仕組みを店舗やECサイトに提供し、現金でないお金の流れをつくります。
三井住友VISA、三菱UFJニコス、オリコ等が主要で、多くがメガバンク系列です。
4.リース
お金を貸すのではなく、モノを貸すのがリース会社です。レンタカーのようなイメージです。パソコンや自動車、飛行機等を企業向けに貸出します。
三井住友ファイナンスリース、オリックス等が主力企業です。
5. ノンバンク、消費者金融
個人のお客さま向けにお金を貸し出すサービスです。TVCMでよく見かけますね。
プロミス、モビット、アコム等が主要な企業です。
6. 生命保険
お客さまから保険料をいただき、お客さまが死亡や高度障害を負った際に、その後の生きていくためのお金として保険金を支払う仕組みです。
日本生命、第一生命、明治安田生命等が主要企業です。
7. 損害保険
お客さまから保険料をいただき、お客さまが事故を起こしたとき等の補填のために保険金を支払う仕組みです。自動車保険が全体の7割ほどです。
東京海上日動火災、三井住友海上、SOMPOホールディングス等が主要企業です。
8. アセットマネジメント
お客さまからお金を預かり、不動産や金融商品等へ投資をすることで稼ぎ、利益を分配するのがアセットマネジメントです。投資信託を運営したりします。
野村アセットマネジメント、フィデリティ等が主要な企業です。
このように、業界が多く分かれているので、業界研究の際は一つ一つ丁寧に見ていく必要があります。
金融業界の基礎知識
ここでは金融業界を志望するなら必ず知っておくべき基礎知識を3点紹介します。
「そもそも金融って何だろう?」と疑問に思っている人はぜひ参考にしてください。
1. 非常に古く、歴史のある金融業界
金融とは、経済活動が始まった際に生まれた非常に歴史の古いビジネスです。
例えば銀行や証券の起源は12世紀に北イタリアから始まったものが基礎とされております。十字軍の遠征でお金を集めるための仕組みでした。
損害保険も大航海時代から始まったものとされています。船が破損したりするとお金がかかるので、みんなでお金を貯めておき困った人を助けていました。
学生の方には馴染みは薄いのですが、人々の生活の根本を支えるためにずっと社会の土台として存在してきたもの。それが金融業界です。
2. 間接金融と直接金融
業界研究をしているとよく銀行と証券の違いを表す際に「直接金融」と「間接金融」という話が出てきます。ここではその2つの違いについて解説します。
ここでは銀行にお金を預ける人は預けるだけです。どの会社にお金を貸すかを決めるのは銀行が決めています。
銀行にお金を預けている人からすると、自分では決めていないけど自分のお金が会社に貸されている、という点から、「間接」という表現をしています。
逆に証券会社を経由するときは、お金が余っている人が誰にお金を渡すかを自分で決めます。なので、「直接」余っている人から足りない人にお金が移ります。
大きな違いは、「誰がお金を渡すことを決めたか」です。
3. 金融業界の特徴
金融業界の大きな特徴として、「サービス自体で差別化をしづらい」ということが挙げられます。
例えば「どこの銀行にお金を預けようか」となったときに、どの銀行にお金を預けても大きな差はないわけですよね。預金そのものでは差別化ができません。
証券会社にしても、お金を持っている人が直接どの会社に投資をするかを決めるので、その間に入る証券会社は正直どこでもいいわけです。
「商品の力」以上に「人の力」で差別化するのが金融業界の特徴であり、金融業界を志向する方々の多くが「自分の魅力で勝負したい」と考える人たちです。
金融業界の経常利益ランキング
引用元:有価証券報告書,決算資料より作成
金融業界の主要企業の経常利益ランキングは上図の通りです。
金融業界は特殊な会計処理をするため、売上だと会社の実力が見づらくなります。ここでは会社の実質的な儲けを示す経常利益を使います。
業界研究をするときには単に売上を見るのでなく、会社の本当の力をみるためにどの指標を見ればいいか、を意識してみてください。
上の図ではメガバンクグループが非常に大きな勢力を持っているのがよくわかるかと思います。
保険においても第一生命ホールディングス、日本生命、東京海上ホールディングスと、いくつかの大きな企業グループがあります。
古い業界ですので強い企業が弱い企業を飲み込み、規模を拡大させてきました。
今残っている企業はいわゆるその業界の勝ち組だからこそ今まで生きているのであって、実力のある企業が多いです。
オリックスやSBIといった金融では比較的新しい金融グループも実力をつけてきています。
金融業界の現状と今後の動向
入社後長く働き続けるためには業界のおかれている状況や将来の動きを知ることは非常に重要です。
そのためここからは、金融業界の動向やこれからどんな新事業が展開していくのか金融業界の未来について解説していきます。
現状
既存の金融機関は将来性がないという話もありますが、実は銀行等お金を貸すビジネスは足元で伸びているというのが実態です。
上の図は銀行が企業に貸出をしている残高の推移です。2011年からずっと右肩上がりで伸びているのがお分かりいただけると思います。
経済が成長すればお金が必要になり、必要なお金の出し手としてはまだ既存の金融機関の力が強いというのが現実です。
AIによって代替されると言われていますが、長い歴史をもつビジネスでもありすぐに業界自体が無くなりはしないことはお分かりいただけると思います。
今後の動向
これからの金融機関の取り組みの方向性や将来性について、抑えておいていただきたいことを3つ説明いたします。
1. フィンテックへの取り組み
みなさんも耳にされたことがあるかもしれませんが「Finance×Technology」でフィンテックですね。非常に注目されている分野です。
既存の金融機関の枠組みをブロックチェーンやAIを活用することで代替することが期待されています。
国を挙げてこのフィンテックへの取り組みを加速させています。
2. 海外事業
次に各社が力を入れている海外事業への取り組みです。
三菱UFJフィナンシャルグループがタイのアユタヤ銀行を傘下に収めるなど、日本の金融機関の発展途上国への進出が相次いでいます。
東京海上ホールディングスも海外の売上比率を大きく上げています。
金融は経済の成長に伴って成長する仕組みですので、今後高い成長期待のある発展途上国には大きなチャンスがあると見ています。
将来的に海外で働きたいと考えている学生の方にとっては、チャンスが多くある業界と言えます。
3. サステイナブルへの取り組み
これも近年非常に注目度が上がっているサステイナブルな取り組みに対して積極的にお金を出していこうというものです。
先般トヨタ自動車が大きくお金を調達する際に活用したのが「サステイナブルボンド」と呼ばれるものです。お金をSDGsの解決に資する取り組みにしか使わない、とするものです。
今後「脱・炭素化」といった課題がより現実的に私たちの身近なものになってきます。
日本の金融機関においても環境評価融資といったものが多く取り組みされており、より地球にやさしいSDGsの解決に貢献する仕事が増えていくと想定されます。
金融業界の仕事内容
業界研究では事業内容だけでなく具体的な仕事内容について理解することも重要です。
そのためここでは金融業界における代表的な6つの仕事を紹介します。
自分の興味や長所と照らし合わせながら、金融業界への理解をさらに深めていきましょう。
1. 個人向けの営業
一つ目は個人の方向けの営業です。お金を持っている人に対してお金を有効に活用する提案をする、ファイナンシャルプランナーと呼ばれる仕事が多くあります。
2. 法人向けの営業
お金が必要な企業に対して融資をします。法人担当の腕の見せ所はお客さまの気づいていないニーズを掘り起こし、資金が必要な状況を作り出すことです。
3. 海外拠点管理
多くの金融機関が海外展開をしています。現地の営業は現地の方、その管理を日本からの派遣職員がするというケースが多く拠点管理の仕事があります。
4. リスク管理
金融機関の肝です。貸したお金が返って来るか、保険金はどれくらい払わないといけないか、リスクを定量化する仕事です。
5. アセットマネジメント
金融機関は基本的にお金をたくさん持って余らせています。個人が定期預金をするのと同様、企業も浮いたお金をどのように運用するかが非常に大切です。
6. バックオフィス
いわゆる人事や総務の仕事や事務企画等の業務です。金融は法律で厳しく規則が決まっていますので、バックオフィスが他業界に比べて非常に重要です。
基本的にはどの仕事も文系理系関係なくアサインされる可能性がありますが、人員構成的に営業の人数が多いため、文系は営業に従事することが多くなる傾向があります。
金融業界に向いている学生
最後に金融業界に向いている学生について解説します。
次の3点に当てはまる場合はきっと金融業界に向いている人と言えるでしょう。
- 達成意欲が高い
- 発想が柔軟である
- 勉強は苦にならない
先にも触れた通り、金融業界はいわゆる「商品力」では差別化ができません。差別化すべきポイントは「自分自身の力」なのです。
基本的に営業に関わる方が多くなります。営業は毎月目標の数字を追いかけるため、その目標を何としてでも達成するという強い意志と行動力が求められます。
ストレスはかかるかと思いますが自分自身を成長させることや成果をしっかりと出すという、達成意欲の高い人が活躍する人材かと思います。
そして意外に思われるかもしれませんが、金融機関で活躍する人には割と発想が豊かな人が多いです。お客さまの考えを深く理解をし、解決策を提案することが求められます。
かたい頭では解決策の範囲が狭まってしまうため、枠にとらわれず柔軟に発想できる人が結果を残している傾向があります。
最後になりますが金融業界はとにかくルールが多くあります。法律で定められることも多く、資格を取らないと仕事ができない、ということもあります。
もちろん勉強した分できることが増え成長するのですが、勉強は嫌で実践あるのみだと思っている人にはあまり向かない業界だと思います。勉強が苦にならないは大切です。
まとめ
非常に幅広い業務のある金融業界、あまり学生の方々には馴染みがないかもしれませんが、社会を支えるうえで重要な役割を担っています。
一般的には既存の金融機関は将来性がないと言われることも多いですが、データを見ればまだまだ社会の役に立つ会社であることもご理解いただけたかと思います。
金融機関に入ることでご自身の成長にもつながり、金融から他業界へのキャリアアップも考えることができるようになります。
今回紹介した事業・仕事内容に興味をもった人や、自分の力で生きていけるよう成長したいという人はぜひ金融業界を視野に入れて就職活動してみてはいかがでしょうか?
ちなみに本サイトでは、金融業界以外にも様々な業界について解説しています。
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