はじめに

私たちは毎日多くの電子機器を目にして触れています。

そんな電子機器を開発するために欠かせない存在が機械設計という仕事です。

こちらの記事では、機械設計について仕事内容・平均年収・必要な資格などについて解説していきます。

ぜひ最後まで読んで参考としてください。

機械設計とは

機械設計,職種研究

機械設計とは、自動車やスマートフォンなどの電子機器を制作する前に設計することです。

工程が細かく分かれているので、詳細についてはこれから紹介していきます。

機械設計は何をする?

機械設計, 仕事内容

機械設計の仕事は、大きく分けて上図のように5つに分かれます。

まず概念設計でどのような機械を作りたいか考え、実現するために計画を立てなければいけません。

コンセプトづくりをする段階なので、まだ骨組みを作っている段階です。

そして基本設計では、概念設計でまとめた概要が実現できるかシミュレーションを使って検証します。

検証に問題がなければ詳細設計にて素材・寸法などの具体的な数値を出すことができ、細かい部分での計算が可能です。

最後に試作品でテストを行い、量産化しても問題ないかを確認してから設計図を作れば完成となります。

各工程に分けて業務を行っていきますが、計画・設計の2つが中心と考えると良いでしょう。

機械設計のやりがい

機械設計のやりがいは主に下記の2点が挙げられます。

  • 製品開発に関わる重要な役割を担う
  • 仲間と完成の達成感を味わえる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

製品開発に関わる重要な役割を担う

機械設計は製品づくりの根幹となる重要な役割を担っています。

一見目立たない業務かもしれませんが、ここのチームがなくては開発することができません。

何も形がない状態から設計していくので、もちろん厳しさはあります。

しかし、あらゆる手段を試して成功をつかみ取った瞬間は、言葉にできない喜びを感じられるでしょう。

仲間と完成の達成感を味わえる

設計が完成すると仲間とともに達成感を分かち合えます。

機械設計は決して一人で作業をできるわけではありません

足りない部分を補えるプロジェクトメンバーがいないと、完成させることはできないはずです。

そんな仲間とぶつかり合いながらも、仲間と一緒に目標を達成できたときは何にも変えられない充実感を味わえます。

機械設計の苦労

機械設計,職種研究

こちらでは機械設計の苦労を2つに分けて紹介していきます。

安全面への責任

機械設計はほんの小さなミスでも人を傷つける可能性もあるため、安全に対して責任感を持ち続けないといけません。

気の緩みが原因で事故が発生すると、取り返しがつかなくなってしまう恐れもあります。

常にプレッシャーを感じながら仕事をしないといけないのが、機械設計の苦労でしょう。

さまざまな制約がある

機械設計は自分の好きなように設計できない制約があります。

0から設計することもありますが、基本的には既存のルールに従わなければいけません。

そのため、数えきれないほど存在するルールを覚える必要があります。

まだ業務に慣れていない新人時代なら特に苦労するでしょう。

機械設計の平均年収

機械設計

機械設計者の平均年収は約446万円です。

全世代・職業の平均年収が約436万円であることを考えると、少し上回っていることが分かります。

また、派遣・契約社員の給与を時給換算にすると1,795円で高水準と言えるでしょう。

会社の規模や年齢によって異なりますが、経験・スキルを持っていると年収が高くなる傾向があります。

機械設計1日の流れ

機械設計

機械設計の仕事は基本的に設計作業が中心です。

しかし、製造方法・コストなどのすり合わせも設計作業と同じくらい多いため、デスクワークばかりではありません。

ときには先方の会社に出向いて打ち合わせをすることもあり、開発初期の段階では一日中ミーティングということも珍しくないです。

どんな人が向いてる?

機械設計,職種研究

機械設計の仕事が向いている人の特徴は以下の2点です。

  • モノ作りが好き
  • 根気強い性格である

それぞれどのような特徴があるのか見ていきましょう。

モノ作りが好き

学生時代に課された自由研究やプラモデルなど細かいモノづくりが好きな人は向いているでしょう。

何かを作り出すことに楽しみを感じられることは、0から作り上げる機械設計において必要な資質です。

反対に、ここが楽しくないという方はただ仕事をするだけになってしまい、やりがいを感じられなくなってしまうでしょう。

また、機械設計は一度図面を書いて終わりではなく修正依頼が来ることもあります。

そんなときにポジティブに捉えられると仕事が楽しくなるでしょう。

根気強い性格である

結果が出なくても辛抱強く我慢できる人は適性があると言えます。

機械設計は完結までに時間がかかるので、長期計画で考えなければいけません。

大きなプロジェクトですと、一年以上かかることも稀ではないです。

そんな機械設計の仕事では、すぐに短期間で結果を求めてしまうと嫌気を感じてしまうでしょう。

機械設計で求められるスキル・資格・マインド

機械設計,職種研究

機械設計に求められるスキル・資格・マインドについて見ていきます。

現段階で知っておくと、ライバルに差をつけられるので頭に入れておきましょう。

スキル

機械設計の仕事をするにあたって必要となるスキルは以下の2点が代表的です。

  • 情報収集力
  • 機械工学の知識

それぞれについて詳しく解説していきます。

情報収集力

日々状況が変わる機械設計の情報を効率よく収集できる力は大事です。

クライアントとの会話で最新の情報を分かっていないと話が噛み合わず、信頼を得ることが難しくなります。

そうならないよう、常に知識を更新し続けなければいけません。

書籍・SNS・YouTubeなど使えるツールはとことん使っていきましょう。

機械工学の知識

機械設計を行うには、機械力学・材料力学・流体力学・熱力学の4大力学を知っておく必要があります。

機械力学・材料力学については機械が壊れないために必要な知識なので、動力系の機械を触る場合はしっかりと把握しておきましょう。

資格

機械設計,職種研究

機械設計の仕事をするうえで、資格を持っていると幅広い業務に対応することができます。

何も持っていない状態でも入社はできますが、後々苦労しないよう早めに取得しておきましょう。

以下ではおすすめの資格を紹介しているので参考にしてください。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者の資格を持っていると、設計業を志望するときに自己アピールがしやすくなります。

そもそもCADとは、設計図を作成する際にコンピューターを使って作図できるシステムのことです。

また、試験の種類には以下の3種類があり、活用の仕方もそれぞれ異なります。

  • 2次元CAD利用技術者試験基礎(入門レベルでCADシステムの初心者向け)
  • 2次元CAD利用技術者試験(1級は建築、機械、トレースと分けられています)
  • 3次元CAD利用技術者試験(3次元CADシステムを使う設計者やオペレーターを目指す人向け)

建築・電気などの設計に取り入れられており、欠かせないツールなのでぜひ取得しておきましょう。

機械設計技術者試験

機械設計の技術を測る民間資格です。

取得しておくと入社後に学ぶ業務をスムーズにこなせるようになります。

試験のレベルについては1~3級とありますが、まずは3級の取得を目標にしましょう。

機械工学に関する基本を理解しておけば取得できるので、新入社員の知識としては十分です。

さらに3級の資格を持っていると、2級を受験する際に必要な実務経験年数を1年分減らすことができます。

3級はどなたでも受験できるので、受験しておくと良いでしょう。

電気主任技術者試験

入社する企業によって必要かどうかは変わりますが、電気機械に関連する設計者を目指すならぜひ取得しておきたいです。

この資格を持っていると、電力の安全維持や運用などの保安監督業務を行うことができます。

電気に関する設計を行っている企業なら、電気主任技術者の有資格者が必要なので重宝されるでしょう。

また、扱える電圧の強さによって第一種・第二種・第三種と分かれています。

  • 第一種電気主任技術者:全ての事業用電気工作物
  • 第二種電気主任技術者:電圧17万ボルト未満の事業用電気工作物
  • 第三種電気主任技術者:電圧5万ボルト未満の事業用電気工作物(ただし、出力が5,000キロワット以上の発電所は不可)

可能であれば第一種を取っておきたいですが、必要に応じて取得すると良いでしょう。

マインド

機械設計,職種研究

機械設計は依頼者・ユーザーの目線に立ってどうすれば使いやすいかを常に考える気持ちが大事です。

納得のいく設計ができても、他の人から見て魅力を感じなければ自己満足で終わってしまいます。

そうならないためには、他の人のやり方・考えを積極的に取り入れていくと良いでしょう。

ときには一つの考えにこだわりすぎずに設計していくことも意識しなければいけません。

もちろん自分のやり方を信じて諦めないことは素晴らしいです。

しかし、他の人のやり方・考えを取り入れていかなければ成長に繋がらないので気をつけましょう。

機械設計のキャリア

機械設計,職種研究

機械設計のキャリアを見ていきましょう。

機械設計者になるためにはどうしたらいいのか、どのようにしてキャリアアップしていくのかについて解説していきます。

機械設計になるには?

機械設計者になるには主に以下の方法があります。

  • 大学・専門学校で機械工学について学ぶ
  • 工業高校を卒業する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

大学・専門学校で機械工学について学ぶ

大学・専門学校で機械工学について学ぶと、自動車・電気メーカーに就職しやすくなります。

そのうえで、学生時代に何か制作しておくと良いでしょう。

制作経験は実務に繋げられるので、内定を貰いやすくなることに加えて入社後も役に立つスキルとなります。

また、アピールポイントを増やすために資格を取得しておくのもおすすめです。

工業高校を卒業する

企業によっては、学歴が高校卒でも工業高校を卒業していると内定を出してもらえる可能性はあります。

工業高校は、就職後に役立つ実習授業を行っている学校がほとんどなので、即戦力として期待されるでしょう。

大学卒の就活生と比べると応募できる企業は少なくなりますが、地方の中小企業なら高校卒でも募集している企業はあります。

大学院卒と高校卒では5万円ほど初任給に差が出ますが、若いときから実践的なスキルを積めるのは魅力でしょう。

機械設計のキャリアパス

機械設計

機械設計者のキャリアパスについて見ていきましょう。

企業にもよりますが、大きく分けて4つの役職で分けられていることが多いです。

  • 新入社員
  • 一人前の設計者
  • リーダー設計者
  • プロジェクトマネージャー・責任者

まず、新入社員時代は研修の一環として、社会人のマナーや機械設計の基礎知識などについて学びます。

先輩について回るときは技術を盗むチャンスです。

一人でもできる業務が増えてくると、一人前の設計者として仕事を任されます。

自分の判断で進められる業務が増えて、さらに成績優秀の社員と認められれば、新人の教育を任されることもあるでしょう。

そこからリーダー設計者としてチームを率いる立場になると、プロジェクトメンバーへの指導・教育なども行わなければいけません。

強い責任感を背負わなければいけませんが、技術的な部分だけでなくマネジメント力も磨くことができるでしょう。

そして、多くの企業ではマネージャー・責任者へと昇格していきます。

ここまでくると現場に立つよりも、経営戦略やリーダーの育成など会社を裏で支える仕事が多いです。

プロジェクトチームの指導・監視などを行うのも仕事であり、技術のスペシャリストとしても活躍するでしょう。

機械設計の最新動向

機械設計,職種研究

昨今のAI化により、近い将来で人がいらなくなるといった話はおそらく聞いたことはあるかと思います。

しかし、全ての仕事が当てはまるわけではありません。

機械設計に関しては、電子機器がなくならない限り設計者は絶対に必要です。

想像していただくと分かりますが、機械設計者がいなくなるとスマートフォンや自動車などの機械の生産は終わります。

電子化が中心の現代社会を生きる私たちにとってそのような生活は不便すぎるでしょう。

よって機械設計の仕事はAIによって奪われるとは考えづらいです。

機械設計におすすめの本

機械設計,職種研究

機械設計の勉強をするにあたって、おすすめの本を3冊紹介していきます。

図面って、どない描くねん!

技術設計者として必要となる製図の知識やノウハウを紹介している書籍です。

図面の見方から書き方まで細かく解説されているので、入門書としてぴったりの一冊となるでしょう。

また、経験者でも見たことのない記号にも触れているため、設計に行き詰ったときに参考書として見直す使い方もおすすめです。

この本が気になる方はこちら

実用メカニズム事典:機械設計の発想力を鍛える機構101選

設計に行き詰ってヒント・答えが欲しいときにサポートしてくれる一冊です。

目次が動作・目的別に分かれているので、豊富な内容に加えて辞書代わりとして使用できるでしょう。

具体的な数値が事細かく記載されているため、実践で使える本を探している方に適しています。

この本が気になる方はこちら

作って覚える SOLIDWORKSの一番わかりやすい本

CADについて勉強し始めようと考えている方におすすめのソフト付きの書籍です。

ソフトを使いながら実践的に勉強できるため、自分の成長に大きく繋げられます。

基礎知識やスケッチの作成など幅広い範囲について解説しているので、効率よくスキルを身につけられるでしょう。

この本が気になる方はこちら

まとめ

機械設計,職種研究

こちらの記事では機械設計について解説してきました。

今後も需要のある仕事であることがお分かりいただけたのではないでしょうか?

本サイトでは事業開発以外にも知識を深めたいといった方に向けてさまざまな職種研究について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

プログラマー
デジタルマーケター

本記事を見ている皆さんが理想の企業に就職できることを祈ります。

この記事を書いた人yorisuke