はじめに
就職活動では自己分析や業界研究を進めてから職種研究をされると思います。
会社は同じでも、仕事によっては働き方・年収・向いている特徴などが異なるため、職種研究を進めることは企業研究と同じくらい重要です。
こちらの記事では人事の仕事内容・平均年収・今後の動向などについてご紹介していきます。
職種研究のやり方が分からない人は以下の内容をぜひ参考にしてください。
人事とは
人事は従業員の待遇を決定したうえで採用・配置などを行います。
会社にとって財産である「ヒト」の管理をする職種なので、なくてはならないポジションと言えるでしょう。
人事の定義を一つにまとめるのは難しいですが、職務内容・やりがい・苦労について理解していくことで全体的にざっくりとしたイメージを掴むことができます。
人事は何をする?
会社の経営を支えるために必要な人材を採用するだけでなく、従業員の環境を改善して働きやすい環境を作る役割も担っています。
新人の教育や労務にかかわる企業も存在するので幅広い知識を有しており、陰で利益を増大させる取り組みを行っていることも仕事の一つと言えるでしょう。
さらに社運を左右する人材管理を行うだけでなく、社長や役員の方と繋がりを強く持つ場合もあります。
人事のやりがい
人事は、一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境選びをすることが仕事です。
自分が採用・研修で関わった社員が、成長していく姿を見たときにやりがいを感じられます。この気持ちを味わえるのは、人と関わることが多い人事の特権ではないでしょうか。
表に立って目立つことはあまりないですが、貴重な人材の配置は企業にとって欠かせない存在です。
人事の苦労
人事での苦労は精神的な要素が原因で、今までに感じたことのない辛さを味わうことが多いです。具体的な内容としては下記の3点があげられます。
辛いことも言わないといけない
退職や異動について勧告することも多く、伝える側も精神的に辛い業務の一つです。
ときには今まで同じ会社で働いてきた同僚や、お世話になった先輩などに対して、相手の年齢・事情は関係なく伝えなければいけません。
私情を挟まないようにし、「仕事だから仕方ない」と割り切って淡々と伝えられるメンタルが必要なので、最初は慣れるまでに苦労するでしょう。
気軽に相談ができない場面が多い
人事は社員一人ひとりの評価や昇格に関することなど、他人に話してはいけない情報を得ることになります。
重要な秘密を扱っているという自覚を持ちつつ、情報漏洩をしないように神経を使わないといけません。プライベートでも秘密保持に努めなければならず、窮屈に感じる人事担当者も多くなっているのが現状です。
しかし、そのような負担を軽減すべく最近では社員のメンタルケアに力を入れる企業が増えています。
すぐに結果を出しづらい
人事は営業のように数値化しづらく、すぐ先の目標が立てづらい仕事です。
長期的に進めていく業務が多いので、ときに自分のやっていることが正しいのか分からなくなってしまうでしょう。
さらに、業務の効率化や働き方改革など社内の環境を改善するために動いても、他部署の社員に努力が認めてもらえないことは多々あります。
モチベーションの低下にも繋がり、辛いと感じてしまうことも苦労する一つと言えます。
人事の平均年収
マイナビエージェントによると人事職の平均的な年収は478万円とされています。令和元年の平均年収は436万円ですので少し高い水準です。
さらに細かく見てみると、20代後半~30代前半の一般社員・主任クラスの年収目安は350万円~450万円、30代後半の課長クラスでは450万~550万円にまで上がります。
また、新人の教育業務は責任が大きい分高い評価をされるので給与は高めです。
人事の1日の流れ
上記は人事担当の方の一日の流れです。企業によって仕事に取り組む順番は異なりますが、業務内容は大体の会社で同じとなります。
労働時間については応募者の面接や提出書類のチェックが多く忙しいときもありますが、基本的に残業が少ないためワークライフバランスをしっかりと保つことが可能です。
退勤後に外食やジムに通うなど時間に追われることなくプライベートを過ごせるでしょう。
どんな人が向いてる?
人事に向いている学生の特徴は下記の3点です。
他にも多くの特徴がありますが、備えていると適性が高いタイプについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
人によって細かい対応ができる
人間観察が好きな人は人事に向いていると言えます。人に興味があれば社員の配置・昇格などを決定するときに、最適な環境を見つけ出すことが可能です。
なお、採用時には「この人はどんな性格だろうか?」「何が得意だろうか?」など細かな部分まで見抜けることで、ふさわしい人材を選ぶことができるでしょう。
情に流されず厳しい判断を下せる
人と関わることが多いため親交が深い社員がいる場合も多いです。
しかし、そんな親しい相手でもときには解雇宣告や契約の打ち切りをしないといけません。
社員の気持ちを汲み取ることももちろん大事ですが、情に流されてしまっては正常な決断を下すことができなくなります。
また、一部の社員だけを優遇し始めると全体的にも悪影響を及ぼしてしまうので注意が必要です。
献身的に人のために動ける
人事の仕事は他部署の従業員からすると何をしているのかイメージを持っている人が多くないため、評価されづらい特徴があります。
そのなかで、間接的ではありながらも業務の売り上げに貢献できていると考えられる方は、裏で動くサポート業に向いていると言えるでしょう。
一件目立たないポジションであるように見えますが、従業員が働きやすい環境をつくりあげる役割を担うので会社になくてはならない存在です。
人事で求められるスキル・資格・マインド
仕事内容や実情などを見てきましたが、ここからはスキルであったり持っておくべきマインドについてお伝えしていきます。
就活の時だけでなく人事の仕事をしていくうえでも大事となってきますので、一緒に見ていきましょう。
スキル
人事で働くにあたり、必要なスキルを以下の3つに分けてご紹介します。
- コミュニケーション能力
- プレゼン力
- スケジュール管理
コミュニケーション能力
人事部は字のごとく、人と関わる業務が多いことからコミュニケーション能力の高さが求められます。
採用面接のときには「会社の顔」として面接を行うため、応募者に良い印象を与えなければなりません。
社内・社外問わず、様々な立場の人とスムーズな話し合いができる必要があるでしょう。
プレゼン力
次にプレゼン力についてですが、面接をしたうえで採りたいと思った人材を採用してもらえるよう、最大限アピールできるプレゼン力が求められます。
教育・研修の場面でも社内について分かりやすく説明する必要があるので、欠かせないスキルです。
スケジュール管理
人事での仕事は、面接・面談の段取りを分単位で組むことが多いですが、ダブルブッキングや遅刻はもちろん許されません。
全体の情報を把握したうえで、どうすれば要領よく動けるのかを考えることが重要です。
情報共有ができるアプリやソフトなどのツールを使いこなし、1分でも時間を短縮するのも効率的に動く方法の一つとなるでしょう。
資格
人事の仕事では資格が絶対に必要ということはありません。
しかし、勉強をしておくとキャリアアップの手助けになったり、思わぬところで強みになる資格を下記でご紹介します。
- 社会保険労務士
- キャリアコンサルタント
- メンタルヘルス・マネジメント
社会保険労務士
国家資格の一つで、取得すると法律・社会保険・労働に関する法律の専門家です。
労働環境や人事評価などの不満や疑問について専門知識を活かすことで適切に対処でき、労働者を助けることができます。
また、会社からしても外注の必要がないので、経費削減に繋がり重宝されやすくなるでしょう。
キャリアコンサルタント
人と仕事の間に介入して従業員の悩みを解決するアドバイスを行うため、人事業務との関係は深いです。
ときには、異動・転職の提案を行い悩みを解決することもあります。
受験難易度はそこまで高くないですが、資格を有していると周りと差をつけられ人事業務の中でも幅広い仕事ができるでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント
ここ数年で職場の環境・人間関係などが原因で精神障害を患ってしまう人が増えています。
メンタルヘルス・マネジメントの資格を持っていると、従業員が抱える心の問題を解消・防止するために必要な知識を身につけることが可能です。
人事の仕事では面談や相談のときに相手に合わせた的確なアドバイスができるようになるので、現代社会では需要が高い資格と言えるでしょう。
また、資格の種類とその実施目的は以下のとおりです。
・Ⅰ種(マスターコース):職場環境の改善をはじめとしたメンタルヘルスケア計画
・Ⅱ種(ラインケアコース):管理監督者として従業員に向けた心の配慮
・Ⅲ種(セルフケアコース):自身のストレスへの対処
人事で働くにあたっておすすめはⅠ種のマスターコースですが、合格率がおよそ15%と難易度は高めになっているので根気強く勉強をしなければいけません。
マインド
人事で重要なマインドは他人のためにどれだけ尽くすことができるかどうかです。
困っていたら助けてあげたり、足りないものを補ってあげる優しさを備えていることで、周りからの信頼を勝ち取ることにつなげられるでしょう。
そのなかでもミスをせずに業務をこなしていく確実性も持ち合わせてなければいけません。
地味な作業であってもコツコツとこなせる能力が求められるでしょう。
人事のキャリアパスは?
人事のキャリアパスについて考えていきます。
内定を貰うところから昇格していく流れまで様々な観点から見ていきましょう。
人事担当になるには?
人事の新卒採用は「総合職」として募集する企業が多いです。
営業・企画などの職種に比べると多くの人材が必要でないことから配属されても1人、あるいは数人というケースは珍しくありません。
しかし、人事で働いていた人が異動の希望を出したときにはポジションが空くことも。
未経験よりも即戦力としての活躍が期待されるため経験がある人が優先して採用されやすくなりますが、中小・ベンチャー企業では未経験者採用を積極的に行う企業も増えています。
選考の際には「なぜ人事として働きたいのか」という志望動機や目標達成の実績・意欲を持つことが強いアピールポイントにつながるでしょう。
人事のキャリアパス
新人時代は上司のレクチャーを受けながら人事の仕組みを理解する段階にあります。
学生感覚から抜け出して社会人としての責任感に慣れるための期間とも言えるでしょう。
そこから指示を仰がなくても独り立ちできるようになると、チームのメンバーとして計算されて貢献度も大きくなってきます。
従業員の中でも能力が高かったり説明が上手な場合は新人の教育に携わることも。
さらに、リーダー層に昇格すると若手だけでなく中堅層の研修も行うことでチームレベルの底上げを図り、上層部との戦略のすり合わせも多くなります。
そして最後にはチーム全体を統括する部長・課長と呼ばれる役職の責任者クラスに。
企業によっては人事の業務だけでなく、経理・労務など複数の業務も兼任しなければいけません。
人事業界の最新動向
近年はジョブ採用が推進されています。
ジョブ採用とは、経験者やスキルを有する人材を中心に採用するスタイルのことです。
職務経験の有無に関係なく採用するのが従来の雇用方法でしたが、ジョブ型採用ではやるべき仕事が前もって明確に言語化されます。
そのため、評価や書類作業をする際もスムーズに業務を進められるでしょう。
在宅勤務と相性が良いと言われているのはそういった背景も関係していそうです。
人事志望者におすすめの入門書
採用基準
優秀な学生の就職先として有名な「マッキンゼー」の採用マネージャーが書いた作品です。
本書では目標・先導・決断・伝達の要素が備わっていると自然とリーダーシップは身につき、そういった人材を集めることで生産性の高い会社にできると著しています。
面接現場や採用の会議にて「どんな人を雇ったら効率化につながるだろう」と考えることができるでしょう。
人事の超プロが明かす評価基準
数ある企業に存在する絶対的な評価基準を徹底的に詳しく解説しているバイブルです。
人事として自分を客観視しつつ、他者へどのように評価すべきなのかを見つめ直せます。
また、就活生や人事以外の労働者の立場からも職場での成果や言動がどう映っているのかが分かるため、老若男女関係なくぜひ読んでおきたい一冊です。
はじめて人事担当者になったとき知っておくべき、7の基本。8つの主な役割。
働き方改革に沿って採用から退職まで初心者に向けて書かれた書籍。人材の配置・能力開発・法律など重要な内容の理解が可能。
人事業務の醍醐味を的確に言い表しているため分かりやすいです。
他にも人事担当者が知っておくべき基本の赤本と、より実践的に人事管理を行うための方法がまとめられている青本の3冊がシリーズ化して販売されています。
まずは今回紹介している緑本を読んでいただき、人事の役割を把握するとよいでしょう。
まとめ
ここまで人事の職種研究について進めてきました。
人事業界は幅広い業務を行うため、自分自身のステップアップに繋げられるところも魅力です。
コミュニケーションが重要な職種なので、老若男女関係なく誰とでも打ち解けられる能力が必須となるでしょう。
また、本サイトでは旅行業界以外にも知識を深めたいといった方に向けて様々な職種研究について解説しています。
多くの職種について知識を深め、「入ってよかった」と言える企業で働きましょう。
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