はじめに
私たちは毎日多くの写真を目にしています。1枚の写真から感動や癒やしを得ることもあるでしょう。
そんな日々の生活に欠かせない写真を作り出しているのが「フォトグラファー」の仕事です。
この記事ではフォトグラファーの仕事内容ややりがい・必要なスキル・平均年収などを紹介していきます。
フォトグラファーに興味がある人はこの記事を参考に職種選びに役立ててください。
目次
フォトグラファーとは
皆さんはフォトグラファーとカメラマンの違いについてご存知でしょうか?
カメラマンというと放送局やTV局などで動画を取るイメージを持たれているかと思います。
実はフォトグラファーも大きな意味ではカメラマンに属しているのです。
この記事では動画ではなく静止写真を撮るカメラマンの事をフォトグラファーと呼ぶことにします。
自己分析や業界研究・企業研究を進めてきたら次は職種研究を始めていきましょう。
華やかなイメージのあるフォトグラファーですが、ここではその仕事内容について詳しく解説していきます。
フォトグラファーは何をする?
フォトグラファーの仕事は大きく「商業写真」と「報道写真」「アート写真」に分けられます。
ここではこの3つの仕事内容について見ていきましょう。
商業写真
コマーシャル写真とも呼ばれ商品の宣伝などビジネスに利用する写真を撮る仕事で、いわゆる「ブツ撮り」や「モデル撮影」が代表例です。
また、個人のポートレート撮影(人物撮影)も商業写真に含まれます。
報道写真
新聞社や雑誌社に所属してスポーツや政治、事件などの写真を撮る仕事です。
社会の関心事をいち早くシャッターに収めるのが仕事で、撮影した写真がすぐにメディアに載りやすくなります。
アート写真
撮影者の内面を表現する写真で、風景写真などがアート写真の代表例です。
事件や事故、心象風景なども撮影者のメッセージ性があればアート写真と呼べるでしょう。
ただ、一般的にアート写真は商業写真に比べ需要が少ないので職業として安定した収入を得るためにはよほどの努力が必要になります。
フォトグラファーのやりがい
フォトグラファーには以下のようなやりがいがあります。
写真で感動を伝える喜び
皆さんは美しい風景の写真をみて感動したり、可愛い動物の写真をみて幸せな気分になったりしたことはありませんか?
その写真はどこかのフォトグラファーが撮影したもので、このようにフォトグラファーは人に感動を与え、人の心を動かすことが出来る仕事なのです。
自分で撮った写真が形として残る
フォトグラファーの仕事は後世に形として残る仕事で、自分が撮影した写真は雑誌や広告という形で長い年月を経ても紙や作品として残り続けます。
ひとつの仕事が後世に長く残りいつまでも人々の心に影響を与えられることはフォトグラファーのやりがいです。
集中力と緊張感を感じること
写真の醍醐味は一瞬を切り取る緊張感です。その一瞬を逃せば二度と同じ瞬間は戻ってきません。
スポーツや動物の見せる一瞬のシャッターチャンスを切り取った時の喜びはかけがえのないものです。
一瞬を切り取るための集中力と緊張感はフォトグラファーならではのやりがいとなります。
フォトグラファーの苦労
フォトグラファーは常に被写体の一番良い瞬間を切り取るプレッシャーとの闘いです。
商業写真などは1枚の撮影にディレクター、モデル、ヘアメイク、スタイリスト、照明、アシスタントなど多くの人がその一瞬のために関わっています。
その一瞬を切り取るのはまさにフォトグラファーの腕にかかっていっているといっても過言ではありません。
適切なライティング、機材の設定、現場の雰囲気すべてを統率してその一瞬を切り取るにはかなりのプレッシャーがかかります。
フォトグラファーの苦労は、失敗したら二度と帰ってこない瞬間があるそんなプレッシャーとの闘いでしょう。
フォトグラファーの平均年収
フォトグラファーの平均年収は315万円で、人により200万円~569万円と幅があります。
全職種の平均年収430万円からするとやや低い傾向にありますが、勤務する会社によって給与の幅が異なるため、あくまでも目安として考えましょう。
また、フリーランスで有名フォトグラファーになれば高収入を望めます。
フォトグラファーの1日の流れ
フォトグラファーは分野によって一概には言えませんが、たとえば商業写真を撮るフォトグラファーであれば9:00~18:00くらいが一般的となります。
報道写真では時間は不特定で夜中でも仕事になるようなケースもありますが、今回はコマーシャルスタジオ勤務のフォトグラファーの1日です。
フォトグラファーの仕事は撮影の準備、スタジオにて撮影、撮影後のレタッチ作業となりそれぞれの作業内容により勤務時間は大きく変わります。
フォトグラファーを目指すなら仕事優先でフレキシブルに時間調整できることが前提になるでしょう。
フォトグラファーにはどんな人が向いている?
フォトグラファーに向いている人はどんな人なのでしょうか?
職種研究において自身が何に向いているかを考えることは重要です。
ここではフォトグラファーにどんな人が向いているかを紹介していきます。
コミュニケーションが取れる人
コミュニケーション能力はフォトグラファーになるうえで特に重要なことです。
写真を撮るにはクライアント、スタイリスト、ヘアメイク、モデル、アシスタントなど多くの人が関わります。
フォトグラファーは言ってみればそれらのとりまとめ役といってもよいでしょう。
ひとつの作品を撮影するには、それぞれの人に的確な指示を出しリーダーシップをもって仕事にあたらなければなりません。
そのためにもコミュニケーション能力が高いことはフォトグラファーに向いている特徴と言えるでしょう。
クオリティを追求出来る人
クオリティを追求することはフォトグラファーにとってとても大切です。
スマートフォンやデジカメ、ハンディカメラなど今では一般の人でも気軽に良い映像を撮影できるようになりました。
その中でもプロのフォトグラファーに撮影を依頼するクライアントはより高いクオリティを求めています。
フォトグラファーはそんな期待を裏切らないものでなければなりません。
そのニーズに応えるためにも一定以上の品質、クオリティを追求することはプロのフォトグラファーに求められています。
集中力が持続する人
集中力がありなおかつ持続できることはフォトグラファーにとってとても重要です。
撮影は被写体やモデルの最高の瞬間を切り取るためフォトグラファーは常に高い集中力を要求されます。
数カットを同時に依頼されることも多く、撮影は長時間に及ぶこともあるでしょう。
その間、フォトグラファーは撮影に集中し続けなければなりません。
集中力を持続できることはフォトグラファーとして働く際に大きく役立つ特徴といえるでしょう。
フォトグラファーで求められるスキル・資格・マインド
職種研究でその仕事をするうえで何を求められるかを考えることはとても重要です。
どんなものが必要とされているかを理解することでその職種を目指すための準備に役立てましょう。
こちらではフォトグラファーに求められるスキルや資格、マインドについて紹介していきます。
スキル
フォトグラファーに要求されるスキルは以下の3つです。
- コミュニケーション能力
- クリエイティブ能力
- 体力/精神力
1.コミュニケーション能力
フォトグラファーのもっとも重要なスキルとしてコミュニケーション能力が求められます。
撮影には多くの職業の人が関わるため現場では的確なディレクションが必要とされるでしょう。
撮影を円滑に進めるためにもクライアントからの撮影イメージや指示をくみ取り、スタッフに伝えることが重要です。
逆に言えば、コミュニケーション能力を持っていないとフォトグラファーの仕事をすることは難しいでしょう。
2.クリエイティブ能力
クリエイティブ能力はフォトグラファーとして働くうえで重要なスキルです。
撮影の現場ではクライアントが何を求めているのかを判断して、瞬時に構図を決めたり被写体の構成を考えたりすることが求められます。
与えられた現場で常に質の高いクオリティを引き出す能力が必要になるでしょう。
3.体力/精神力
体力や精神力はフォトグラファーをするうえで求められることが多い能力です。
フォトグラファーの仕事は一度セットを組むと撮影が長時間に及ぶこともあり、その間基本的には立ちっぱなしで重い機材を移動しなければなりません。
そのためフォトグラファーには強靱な体力や精神力が求められます。
資格
結論から言うとフォトグラファーになるための必須の資格はありません。
入社した会社で配属されればフォトグラファーとして働くことが可能でしょう。
ただ、必須の資格ではありませんが、あれば有利になる資格はあります。
フォトグラファーとして働くうえで役に立つ資格は以下の通りです。
- 写真技能士
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- フォトマスター検定
人物撮影をメインにする場合は写真技能士の資格は取っておいた方がよいでしょう。
また、Photoshopクリエイター能力認定試験は撮影した画像のレタッチをするうえで大変役に立つので取得することをおすすめします。
マインド
フォトグラファーを仕事にするうえで必要なマインドは以下の通りです。
- 好奇心がある
- チームとして物事を成し遂げることが好き
好奇心がある
フォトグラファーにとって好奇心が強いということはとても重要です。
写真業界は新しい機材や写真加工技術など日進月歩の勢いで日々進歩していて、常に新しい商品や技術を身につけていく必要があります。
そんな時に好奇心があれば新商品や新しい技術について勉強をしっかりすることができるでしょう。
逆に好奇心がないとフォトグラファーの仕事はとても困難になります。
チームとして物事を成し遂げることが好き
フォトグラファーの仕事は基本的にひとりでは行えません。
多くの場合はスタイリスト、ヘアメイク、アシスタントなどとチームで業務を行うことになるのです。
そのチームで撮影をするためにはリーダーシップとコミュニケーションが求められます。
そのためチームで物事を成し遂げることが好きなのはフォトグラファーに必要なマインドと言えるでしょう。
フォトグラファーのキャリアパス
こちらではフォトグラファーになる方法やフォトグラファーのキャリアパスについて紹介していきます。
フォトグラファーになるには?
こちらではフォトグラファーになるための方法について紹介していきます。
フォトグラファーの求人を行っている会社への就職
正社員のフォトグラファーを募集している会社に就職することはフォトグラファーとして働く第一選択肢です。
フォトグラファーを募集する企業には印刷会社、出版会社、新聞社などがあります。
企業内フォトグラファーはフリーなどと違い収入も安定し、福利厚生も一定の条件をクリアしているのでおすすめです。
また、将来はフォトグラファーから管理部門、ディレクターなどへの異動することもでき、安定して働くことができます。
ただ、フォトグラファーの募集は大手企業に限られており募集枠も少ないことから非常に狭き門といえるでしょう。
フリーランスフォトグラファーとして働く
フォトグラファーとして一番自由度が高く憧れの職種はフリーランスフォトグラファーです。
会社に所属せずに個人で独立して仕事をこなすため、信用があり著名なフォトグラファーには多くの仕事が舞い込んできます。
また、収入も能力次第では企業内フォトグラファーの数倍から数十倍を目指すこともでき、やればやっただけの報酬が得られるでしょう。
ただ、いきなりフリーランスになっても仕事が無い可能性があります。
そのため企業内フォトグラファーとなり人脈を作るか、有名フォトグラファーのアシスタントから働くケースが多いようです。
有名フォトグラファーのアシスタントとして働く
フォトグラファーの登竜門として有名フォトグラファーのアシスタントとして働くケースです。
将来的にフリーランスフォトグラファーを目指したいフォトグラファーは、有名フォトグラファーの元で技術と人脈を身に着けます。
有名フォトグラファーのアシスタントになるにはフォト系雑誌の求人欄や有名フォトグラファーのSNSから応募することが可能です。
アシスタントからのスタートは当初は収入面では大きな期待はできません。
ただ、将来につながる有力な人脈を得たり、一流のプロの技術を身に着けたりできるのでキャリアアップのスタートとしておすすめです。
フォトグラファーのキャリアパス
フォトグラファーのキャリアパスとして上図のような分岐が存在します。
1.有名フォトグラファーアシスタントからフリーランスフォトグラファーへ
一般的に有名フォトグラファーのアシスタントから将来的にフリーランスのフォトグラファーを目指す人は多いです。
アシスタント時代は収入も少なく時間的制約も多くなります。
ここで経験を積み知識を蓄えることができれば将来的にフリーランスフォトグラファーを目指す最短距離になるでしょう。
フリーランスの準備期間としてまずは有名フォトグラファーのアシスタントから始めてみることも1つの道です。
2.企業内フォトグラファーから管理職、フリーランスへ
企業内フォトグラファーの場合、そのまま企業に所属して将来的には管理職を目指すかフリーランスに転向するかの2つの道があります。
企業内フォトグラファーから管理職を目指す場合は撮影以外にもクライアントとの打ち合わせに積極的に出席するなど社内での信頼獲得が不可欠です。
また、フリーランスを目指す場合、企業に属するため撮影物や撮影内容などの幅は有名フォトグラファーのアシスタントよりも限られます。
そのためには積極的にいろいろな撮影に携わるようにしましょう。
フォトグラファーの最新動向
職種研究を行ううえでその業種の動向について正しく理解してきましょう。
こちらではフォトグラファーの最新動向について紹介していきます。
ストックフォトの登録で売上を増加
SNSやインターネットの普及に伴いWebで写真を購入するケースが増えてきました。
特にWebデザイナーがサイトを作る場合に利用するのがストックフォトです。
ストックフォトに登録しておくことで収入アップが見込めることから多くのフォトグラファーがストックフォト登録を始めるようになりました。
一度登録してしまえば後は報酬が振り込まれるのを待つだけなので負担も少ないのが特徴です。
家族・子ども向け出張撮影数の増加
昨今の新型ウイルスの影響でスタジオや写真館に行って家族や子どもの写真を撮るということは少なくなってきています。
それでも家族の記念を写真に残したい需要は多くあるのです。
そのため少しでも感染リスクを下げたいという心理からスタジオ撮影でなく出張撮影を依頼するケースが増えてきました。
また、SNSなどでプロフィール写真をプロに依頼するケースもあり今後出張撮影数は増加していくでしょう。
フォトグラファーについて勉強できる本
フォトグラファーにおすすめの本を3つ紹介します。
世界の写真家101
フォトグラファーとして最低限知っておきたいのが一流写真家とその作品です。
クライアントとの会話でも「この写真家風に撮影して欲しい」などと依頼されることもあり、ぜひ読んでおきたい一冊になります。
写真の黎明期からスティーグリッツ、ロバートキャパ、ドアノー、サルガドなど世界の一流写真家の作品と生涯を解説した本です。
この本でフォトグラファーの基礎知識を身に着けられます。
ナショナルジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則
フォトグラファーの基礎知識として知っておきたい露出の技術を解説した名著です。
同じ景色でも露出ひとつでまったく違う写真ができあがり、この本ではプロが経験で培った話を豊富な作例で編集・解説してくれています。
撮影の手引きとして1冊は手にしておくとよいでしょう。
デジタル写真の色を極める!「写真の学校」
デジタル画像の特性と色調補正の基礎技術を学びながらRAW現像やレタッチの際に参考になります。
レタッチソフトやRAW現像ソフトの種類に左右されずに写真をデジタルで編集するための基礎が学べるでしょう。
レタッチやRAW現像はフォトグラファーの最後に行う重要な作業です。
この本は基本的なマニュアル本には書かれていないレタッチの本質を知ることができます。
まとめ
この記事ではフォトグラファーの職種研究を行ってきました。
フォトグラファーは華やかなイメージがありフリーランスになれば高収入も狙えることから人気の職業です。
フォトグラファーは、特別な資格がなくても誰でも簡単に目指すことができる仕事です。
一方で、フリーランスとして独立するにはプロの技術の習得や人脈の形成など下積みの期間が必要になってきます。
ただ、一度フリーランスとなり知名度が上がれば多くの仕事が舞い込み、安定して高収入を目指せる職種です。
ぜひ、皆さんもフォトグラファーを就職活動の選択肢に入れてみましょう。
フォトグラファーの求人が多い業界としては「広告業界」「印刷業界」「出版業界」が挙げられます。
以下の記事も参考にフォトグラファーがどのような活動をしているかぜひ調べてみてください。
本サイトを通して職種研究を行っている皆さんがすばらしい仕事と出会えることを祈っています。
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