はじめに
インターンシップを実施している企業の中には参加者を選考する企業も少なくありません。
選考の際には志望動機の内容も選考の結果を大きく左右します。
質の高い志望動機を書くことは選考を有利に進められるだけでなく、インターン参加中の時間を有意義に過ごすヒントになるでしょう。
この記事では、インターンの志望動機を書く際に押さえるべきポイントを例文付きで解説します。
これからインターン応募のために志望動機を考える方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
インターンに参加する目的
志望動機を考える前にインターンに参加する目的を考えてみましょう。
参加の目的を押さえることで目的意識を持てるので志望理由も整理しやすくなります。
業界や企業の雰囲気を知れる
まずインターンに参加する目的として挙げられるのが、業界やインターン先企業の雰囲気を肌で感じられる事です。
インターンに参加せずに業界に飛び込んでしまい、「イメージと違った」「自分に合わない企業だった」という悩みを抱えることは珍しくありません。
インターンに参加すれば、実際にその業界で働いている現場の人間とコミュニケーションを取ることができます。
インターンの中で取り組める内容は企業によって様々ですが、業界や企業の雰囲気を感じることで将来の自分の姿を想像しやすくなるでしょう。
選考を有利に進められる
インターンに参加するということには、もう一つ重要な目的があります。それが「選考を有利に進められる」ことです。
企業の中には内定直結インターンを行っているところもあります。
このような企業では、インターン中に優秀な成績を修めることで早い段階で内定を得ることも夢ではありません。
仮に内定に直接つながらなくとも参加した企業にマッチしていると認められれば、その後の選考を有利に進めることができます。
インターンの志望動機を書くときに押さえるべき3つのポイント
それでは、インターン応募時に提出する志望動機を書く上で重要なことは何でしょうか?
ここでは志望動機を書くときに押さえるべきポイントを3つに分けて紹介します。
インターンに参加する理由・目的を明確にする
1つ目のポイントは、参加の理由・目的を明確にすることです。
当然ですが、参加に際して明確な理由や目的意識がないと説得力のある志望動機は書けません。
なんとか言葉を取り繕うことができたとしても、理由について深掘りされたら言い淀んでしまいます。
それでは、どのようにインターンに参加する理由・目的を整理すればよいのでしょうか?
まずは、応募する業界・企業に興味を持ったきっかけを考えてみましょう。それがそのまま志望の理由につながります。
次にインターンに参加して何を知りたいのかを書き出してみましょう。この2つを整理することで参加の理由・目的を明確にすることができます。
企業側が求める人材を分析する
2つ目のポイントは、企業が求める人材を分析することです。
企業がインターンシップを実施して就活生を募るにはコストがかかります。
それでは、なぜ予算を出してまでインターンシップを実施しているのでしょうか?
企業の立場でいうと、インターンシップは就活生と仕事体験を通してコミュニケーションを取ることで仕事への適性を見ることができる場でもあります。
インターンを行っている企業の多くは、その機会を利用して優秀かつ自社にマッチする人材を確保したいのです。
企業側の意図をくみ取り、それに合った人材であることを志望動機に落とし込めれば、選考の通過率も高くなります。
会社のHPには企業理念や求める人材について言及されている場合がほとんどですので、事前に確認しておきましょう。
また、IR情報を見れば企業の抱える課題等が見えてくることもあります。
自分が課題解決に貢献できるスキルを有していることを志望動機で伝えられれば、たちまち企業にとって魅力的な人材に映るでしょう。
志望する企業を選んだ理由を明確にする
3つ目のポイントは業界の数ある企業の中でその企業に応募した理由を整理することです。
業界への興味を理路整然と述べるだけでは、応募した企業に響く志望動機とはなりません。
その企業だけに感じた魅力を整理することで他の応募者との差別化を図りましょう。
企業を選んだ理由を整理するには1つ目と2つ目のポイントをすり合わせることが重要です。
- 志望する企業だからこそあなたの目的が達成されること
- あなたの特性が企業の求める人物像に合致していること
この2つを軸に理由を考えることで「なぜ、うちを選んだのですか?」との問いにハッキリと答えることができるようになります。
志望動機の書き方(フレームワーク)
志望動機を含め、相手に伝えるための文章を書くメソッドとして「結論・根拠・再結論」の順で書くというものがあります。
この構成で書くと、読み手が大前提としての結論が分かった状態で読み進めることができるでしょう。
したがって、書き手の伝えたい事と別の結論を想像しにくくできるのです。
志望動機の文字数指定は200字・400字・600字と企業によって異なります。
しかし、この書き方であれば根拠を補強する具体例を加えることで調整することも可能でしょう。
結論
インターン応募時の志望動機を書く場合、結論として「インターンシップに参加したい理由」を簡潔に書きましょう。
簡潔にとはいえ、「業界について学びたいから」のような普遍的に使える言い回しは避けた方が良いです。
企業側は結論から読み進めるので、冒頭で興味を引くことが重要になります。
「○○(商品名)を生み出した企業の働き方を知りたい」等、ピンポイントにアプローチすることで後に続く文章の期待値を上げられるのです。
根拠
結論で述べた理由に至った経緯を具体的に書いて根拠としましょう。
根拠は文章全体の論理性を左右する重要なポイントです。根拠にあたる部分に多めに文字数を割くことをおすすめします。
また、根拠の内容にはあなたの思想やバックグラウンドを反映することを意識してみてください。
ここで企業が求める人物像との共通点を強調することができれば、より企業にとって高評価となるでしょう。
再結論
最後に根拠を踏まえてもう一度結論を書きます。
再結論を書くにあたっては、応募先の企業を選んだ理由をより具体的に補強すると冒頭の結論と差別化でき、不自然になりにくいです。
また、参加後の意気込みを付け加えることで企業に目的まで伝わりやすい文章となります。
伝わる文章のコツ
結論・根拠・再結論の構成で書けば、ある程度伝わりやすい文章を書くことができるでしょう。
しかし、具体性・論理性を高めることでより質の高い志望動機を書くことができるので、そのコツをお伝えします。
具体的に書くとはどういうことか
自分の経験に基づいて書くことであなたの考え方のバックグラウンドが伝わり、文章に具体性を持たせることができます。
具体的にというと数字や客観的な事実を用いることも重要なのですが、志望動機においては「あなたがどう考えているのか」が重要です。
あなたにしかない経験値を使って企業に対して自己表現をしましょう。
論理的に書くとはどういうことか
結論・根拠・再結論の構成で書くことには実は落とし穴があります。
それは、1つ1つの文の内容が間違えていなくても論理性に乏しい文章になってしまう場合があるということです。
1つ悪い例文を示してみます。
私は食品業界に強い関心があるため、貴社のインターンシップへの参加を希望します。 「食」は私たちの生活とは切り離せないもので、その需要がなくなることはありません。 農林水産省の発表では、令和2年度の食料自給率は37%と非常に低い水準にあります。 貴社のインターンに参加することで、私たちの生活を支える「食」に関わる企業の現場を学びたいです。 |
この文章は一見すると意味が分かりそうな感じがします。
しかし、私たちは結論・根拠・再結論の構成で書かれていると分かっているので無意識に行間を読んでしまっているのです。
文章の中盤に根拠が書かれていると分からなければ、食料自給率が低いこととインターンへの参加を希望することが結びつきません。
このようなときに使えるメソッドが接続詞を入れてみるという方法です。
文と文の間に接続詞が適切に入るか確認することでロジックが破綻していないか確認することができます。
ただし、全ての文に接続詞を入れると稚拙な印象を与えてしまうので、適宜省略して志望動機に落とし込みましょう。
業界毎の志望動機の例文
ここでは、志望動機の例文を業界毎に200字程度で例示してみます。志望動機を書く際の参考にしてみてください。
メーカー
多くの命を救う仕事をしたいという思いから、貴社のインターンを志望しました。 私は幼少期に難病を患っており、入退院を繰り返す日々を送っていました。 そんな私を救ったのが、貴社が製造した特効薬です。 薬の服用後、病状はみるみる良くなり、今では何不自由ない生活を送れています。 貴社のインターンを通して、辛い思いをしている人のために自分にできることを考え抜きたいと思っております。 |
食品業界
「食」を通して人々に笑顔を届けたいと思い、貴社のインターンを志望しました。 私は大学2年生の時に災害により避難所生活を余儀なくされた方々のボランティア活動に参加した経験があります。 その時に避難所の方々が唯一の楽しみにしていたのが、貴社から寄付された「○○(商品名)」です。 ○○を食べているときだけが、避難所の方々に笑顔が戻る時間でした。 そのような経験から美味しいものを多くの人に届ける仕事をしたいと思っております。 |
IT業界
「ユーザインターフェースを追求し、誰もが便利を実感できる世の中へ」という理念に共感し、貴社のインターンを志望しました。 大学時代に飲食店でアルバイトをしていた時に、勤務先が貴社のオーダーシステムアプリを導入しました。 その結果、それまでご年配の方が苦戦していたタブレット注文もスムーズにできるようになり、驚くほど業務の効率化が進みました。 インターンでは、誰もが使えるアプリ開発のプロセスについて学び、就職後の飛躍につなげたいと考えております。 |
志望動機を送る際の注意点
志望動機の送付に際しては、いくつか注意点があるので解説します。
手書きする場合
志望動機を手書きする場合は、黒の万年筆または油性ボールペンを使用して読みやすい字で書きましょう。
消えるボールペンや水性ボールペンで書いてしまうと、摩擦熱や湿気の影響で文字が読みにくくなってしまうことがあります。
応募書類が読みにくいと内容以前の段階で悪い印象を与えかねません。
たとえ読めたとしても「常識のない人だ」と思われてしまいますので、黒の万年筆・油性ボールペン以外の使用は避けましょう。
また、送付する前に応募書類のコピーを取っておくことも大切です。
選考がある場合は、応募書類に書いた志望動機の内容について深掘り質問があることが想定されます。
自分が書いた志望動機をいつでも確認できるようにしておきましょう。
メールで送る場合
志望動機の書かれた応募書類をメールで送る際には、添付ファイルをパスワードで保護しましょう。
個人情報の書かれたファイルをそのまま送ってしまうと、情報漏えいに対する意識が低いと評価されてしまいます。
昨今では顧客情報の流出等がニュースでも大きく取り上げられることが増え、企業側も個人情報の取り扱いには慎重です。
応募書類にあたる添付ファイルにはパスワード保護を行い、ファイルを添付したメールとは別にパスワードを通知することで企業に与える印象も良くなります。
また、添付ファイルには「日付_志望動機(氏名).pdf」のように一目で何の書類か分かるような名前を設定しましょう。
NGな志望動機の書き方
志望の動機を書くにあたって避けた方が良い書き方があります。
それは、客観的な事実を多く書きすぎることです。
あなたの考えが伝わらないような書き方は避けましょう。
例としては、「業界最大手なので志望しました。」や「今後ますます需要が高まるので志望しました。」等が挙げられます。
確かに大手の企業や需要のある産業はあなたにとって魅力的ですが、企業にとってはそれらの理由で志望する就活生は魅力的ではありません。
企業の視点に立って考えてみて、自分とマッチしない企業に曖昧な理由で応募すると時間の無駄になりかねないのです。
しっかりと自分の思想や特性に適した企業に思いを伝えましょう。
まとめ
インターンシップへの参加は、今後の就職活動を左右する重要な行動になります。
インターン応募時の志望動機を書くには、以下の3つを事前によく考えましょう。
- 自分がインターンに参加する理由・目的、企業が募集する理由
- 企業側がインターンに参加して欲しい人物像
- 同じ業界の中でも応募先の企業を選んだ理由
以上の3つのポイントを押さえたら、「結論・根拠・再結論」のフレームワークに沿って志望動機を書いてみてください。
また、書いた志望動機を少し時間を空けて見直す機会を設け、冷静に分析することも大切です。
具体性や論理性のない内容になっていないか、企業の視点で見た時に伝わらない文章になっていないか等、新しい発見があるかもしれません。
選考の際には志望動機もよく見られることになりますので、ぜひこの記事の内容を参考にしていただけると幸いです。
インターンに参加する目的・理由を考えるのに行き詰まったら自己分析してみるのも良いでしょう。
就職活動中に自分の考えが変わるということもあり得ます。自己分析を繰り返すことでより精度の高い目的・理由を考えるヒントが得られますよ。
ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
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