はじめに
旅行業界は、海外でも働ける可能性があることで今も昔も人気の高い職種です。
旅行をしたり人と関わるのが好きなどの理由から旅行会社への就職を考えられる方も多いと思います。
しかし、「旅行業界の就活市場はどんな感じだろう?」「どんな仕事があるのだろうか」などの疑問をはじめ、今後の動向についても気になることでしょう。
こちらの記事ではそういった疑問に触れつつ、仕事内容や向いている人の特徴について解説していきますので、旅行業界の基礎知識や全体像を把握できます。
良い就活を行うための業界研究にぜひ役立ててください。
業界研究をする前に
業界研究といえば興味がある職種を見つけたり、就職先の候補を絞ったりするのが目的であると捉えている方も多いでしょう。
もちろん間違いではありませんが、それだけが研究をする目的ではなく入社してからのことも考えておくことが重要です。
実際に入社してから、「自分のやりたいことと何か違う」というようなミスマッチを防ぐために業界研究があるといっても過言ではありません。
入社前から少しでも多く業界の情報を取り入れたり、詳細に自己分析を行うことで理想的な企業に入社できる可能性を上げることが目的です。
上記の目的を踏まえ、旅行業界について知識を深めつつ自分とマッチするのかを見比べながら読んでみてください。
業界研究を始めたばかりの人ややり方がよく分からないという人は、以下の記事を参考にしてみましょう。
旅行業界とは
旅行業界の流れは上記のようになっております。
意外と奥が深く、様々なジャンルから成り立っておりますが、詳細な内容まで理解されている方は少ないと思います。
それらを理解するために、これから旅行業界の概要・知っておくべき基礎知識・売上高ランキングについて、表や図を用いて紹介していきます。
旅行業界の基礎知識
旅行業界には中間業者の立場として旅行会社が存在します。旅行会社は「旅行業」「旅行業者代理業」に分類されます。
そこから、さらに個人向け・法人向けと販売する対象が分かれます。
こちらでは上記の内容について詳しく紹介していきます。
旅行業について
旅行業は旅行そのものを企画し、その内容を旅行商品として販売します。
さらに旅行業については、「第1種」「第2種」「第3種」と分類されており詳細は以下のとおりです。
- 第1種:国内・海外旅行どちらも企画が可能
- 第2種:国内旅行のみ企画が可能
- 第3種:一定の条件を満たすと国内旅行のみ企画が可能
旅行業者代理業について
旅行業者代理業は旅行業の企業と契約を結びますが、企画自体はできません。
収入源に関しては委託された旅行商品の販売を行うため、商品を売り上げると手数料が利益となる仕組みです。
不動産で例えるならば、仲介手数料がその会社の利益となるのと同様であると認識していただいてもよいでしょう。
販売の対象・方法
個人向けの販売はその名のとおり、家族・友人・恋人などプライベートでの旅行販売を行っている形態のことです。
一方、法人向けとは企業の研修や学会の会議など各団体の目的に合わせた内容を提案します。
ほかにも修学旅行向けのプランサポートを行ったり、地方都市と連携して地域の活性化に向けた取り組みを行う企業もあります。
販売方法についても「実店舗」「オンライン販売」と分かれており、近年は24時間予約可能なオンライン販売の需要が増しています。
旅行業界の概要
旅行業界には、上図のとおり大きく分けて4つに分類されます。
そのなかで「メタサーチ」「OTA」と分類されておりますが、意味合いとしてはどちらも店舗を持たずいつでも好きな時に予約ができる仕組みのことです。
この2つの違いについてOTAは1つのサイトのみ確認できるのに対し、メタサーチは複数の予約サイト(OTA)が一つにまとめられています。
以下では、それらに分類されている実際の会社や特徴について何があるのかなどを紹介していきます。
1.移動
航空・鉄道などの交通機関である移動ジャンル。
有名な直販の会社では「ANA」「JR」などがあります。
ほかには、二次交通(空港や駅から目的地までの移動手段)として「日本交通」を中心としたレンタカー会社です。
また、メタサーチを行っている企業では「skyticket」「Skyscanner」などがあり、複数の予約サイトを確認することができます。
2.宿泊
宿泊施設は主にホテルや旅館、さらに個人の自宅に泊まる民泊などです。
OTAの代表的な旅行会社は「じゃらん」「エクスペディア」などがあります。
3.遊び
遊びは、海・山・川・空と自然に触れる体験やツアーのアクティビティを指します。
国内では沖縄・北海道などが代表的であり、海外ではハワイ・グアム・サイパンといったその地域の気候や特性を活かしたアウトドアスポーツです。
以前は旅行会社がオプションでつけていることが多かったですが、近頃は「アソビュー」「タビナカ」など遊びに特化した旅行会社が主流になってきています。
4.食事
字のとおり食についてなのですが、こちらも旅行会社が絡んでいる部分があります。
おそらく皆様ご存知だと思いますが、代表的な会社として「食べログ」「ぐるなび」などが挙げられます。
いずれも地域や店舗に特化したターゲットを把握する必要がありますが、向上心の高い企業であることも特徴の一つです。
旅行業界の売上高ランキング
上図は、旅行業界の2019年と2020年の売上高ランキングについてです。
情報は少々前の内容となってしまいますが、「JTB」「近畿日本ツーリスト」が群を抜いて1位2位と上位を占めております。
その次に「日本旅行」「阪急交通社」と続いており、5位までは旅行業界において規模の大きい企業が多いことが分かります。
旅行業界の現状と今後の動向
上図は、2020年と2021年(4月時点)で日本に訪れた外国人観光客をグラフにしたものとなります。
コロナウイルスが本格的に蔓延する2020年3月までは例年と変わりませんが、それ以降は比べ物にならないほど減っています。
しかしながら、2021年の4月についてご覧いただくとわずかながら2020年の同月よりも増加しているのが認知できるのではないでしょうか。
そのような内容を踏まえたうえで、こちらでは旅行業界の現状と今後の動向について紹介していきます。
旅行業界の現状
団体旅行利用者の低下
職場・プライベート問わずコミュニケーションが希薄になっており、従来とは変わって観光・慰安旅行などといった団体旅行の需要が低下しております。
そのため同じ趣味・趣向を持った方が集まれるような企画や、参加意欲をそそられるような新しい戦略が必要です。
さらに原因の一つとして、少子化が年々進んでいることもあり修学旅行の減少によることもあげられます。
日帰り旅行の増加
近年では高速道路や新幹線、飛行機などの進化で、時間をかけることなく移動することが可能となりました。
そのため、今までは宿泊しなければいけなかった観光地でも日帰り旅行ができます。
日帰り旅行は単価が低く、旅行者側からすると連休を使用して泊りがけで訪れる必要がないことから需要の高いスタイルと言えるでしょう。
しかしその反面で、多大な労力と人員をかけて企画することを考えると採算がとりづらくなってしまいます。
需要と供給のバランス調整が難しくなっていることが懸念点と言えます。
インターネットでの個人手配
IT化が進んだ近年では、旅行会社を通したパッケージツアーだけでなくインターネットにて個人手配で予約される方が増えてきています。
そのため、需要が減っている旅行会社はそれぞれ競争意識が従来よりも高くなっており、組み込む企画内容や価格の差別化が激しいです。
なお、企業では人件費や店舗量など経費削減にも力を注ぎ利益率を上げる取り組みを行うことが必要不可欠となっているのが現状です。
今後の動向
コストのかかってしまう店舗営業よりも、ネットや電話でのオンライン販売が主流となっております。
しかし、全ての対応がオンライン販売でできるとは限りません。実際は店に足を運んで旅程の調整やツアー詳細の確認をされる旅行者が多いからです。
一定の支持を得るためには、オンラインか対人のどちらかだけのサービスに取り組むのではなく、両方を融合させた事業の展開が今後は求められます。
旅行業界の仕事内容
旅行業界はどのような流れで動いているのかや現状・今後の動向などについてなどをお伝えしてきました。
こちらでは、実際にどのような仕事があるのかを現場・企画・営業と大きく3つに分けて紹介していきます。
ツアーコンダクター
ツアーコンダクターは団体旅行に同行し、旅中に旅行者の身の回りの世話をするのが仕事となります。
ここでいう身の回りの世話についての主な業務内容は、下記のとおりです。
- 観光地・宿泊施設・交通機関への誘導
- 旅程に沿ったスケジュール管理
- 怪我・病気・事故などの対応
- 海外旅行にて入国手続きのサポート
そのために前もって決められた行程に沿ってスムーズに行動する準備や、トラブル解決へ向けて臨機応変に対処することも仕事の一つです。
ツアープランナー
名前のとおり、ツアー(旅行内容)を計画する仕事です。
- 行き先・日数・移動手段などの計画
- 決められた予算内で訪れる観光地やイベントなどを立案
- 今までにない、もしくは少しでも満足していただくための新しいアイデアを考える
上記の主な仕事内容以外にも、企業によっては先ほどお伝えした「ツアーコンダクター」や事務作業などの業務を行う場合もあります。
カウンターセールス
カウンターセールスは、旅行会社でのカウンターでお客様から寄せられる相談・提案を行うのが中心の仕事です。
そのため、来店したお客様のニーズを短時間で汲み取ったうえで分かりやすく説明しなければならないので、コミュニケーション能力は大事になってきます。
また、こちらも企業によっては申込書の作成といった事務作業を兼任することがあります。
旅行業界に向いている学生
旅行業界に向いている学生の特徴について3点紹介していきます。
これらの特性がないと就職できないというわけではないですが、備えていると適性は高いということが言えるでしょう。
探求心が強い
リサーチをすることが好きであるのかも旅行業界に向いているかを判断する資質の一つになります。
向上心の高さにも通ずるところはあるのですが、これだけ情報を知っていれば大丈夫と終わらないようにすべきということです。
教わった内容に対してそこそこの知識量で終わるのではなく、常に「なぜこうなるの?」と疑問を持つことは重要となります。
この探求心がなければ、「お客様にとってより良い案内をするために何を知るべきか」といったことを考える能力が発揮しづらくなるからです。
予想外の出来事が起こっても柔軟に対応できる
臨機応変に対応できる柔軟性も求められます。
旅先でのトラブルや計画を練っているときに契約先との話し合いなどで、予想外の出来事が起こることは少なくないからです。
特に海外では飛行機の予定時刻がずれたり、お店の営業時間が日によって変わることは珍しいことではありません。
ですので、物事を予定通りに運びたいといった完璧主義の方にとっては少々難しくなる業界であるとも言えます。
分かりやすく説明ができる
計画された内容を説明する、もしくはその内容を聞いたうえで第三者に説明できなければ仕事になりません。
自分では分かっているつもりでもお客様や相手がその内容が分からないと、自分自身もまだ知識を定着できていないのです。
そのために、誰にでも理解できるように考えをまとめられることが求められます。
まとめ
仕事の内容が現場・企画・営業と3つに分けられる旅行業界。
低下していた需要を右肩上がりに伸ばすべく、新しい方法や考えでさらなる進化を遂げようとしています。
今回紹介した内容で興味を持った方やさらに魅力を感じられた方は、ぜひ旅行業界に足を踏み入れてみることも視野に入れてみてください。
きっと今までになかった新しい世界観が見え、より良い業界研究になることでしょう。
また、本サイトでは旅行業界以外にも知識を深めたいといった方に向けて様々な業界研究について解説しています。
多くの業界について知識を深め、就活の視野を広げていきましょう。
本記事を読んでいただいた皆様が理想の企業に就職できることをお祈りいたします。
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