はじめに
わたしたちは日々あらゆるものに囲まれて生活しています。良い製品を手に入れられると生活が一気に便利になることもありますよね。
そんな日々の便利な生活に欠かせないものづくりの現場を支えるているのが「生産管理」の仕事です。
この記事では生産管理の仕事内容ややりがい、向いている人まで詳しくご紹介します。
目次
生産管理とは
生産管理とはものづくりの現場で生産を効率良く進めるために必要な職業です。
ものづくりに間近で関われる仕事ですが、実際に製造機械を動かすオペレーターとは仕事内容が異なります。
生産管理は簡潔に言うと製品の具体的な生産計画を立てる職業です。
例えば「○月○日に製造ラインAで製品Aを100個製造します」というような感じです。
それでは生産管理の具体的な仕事内容を紹介していきます。
生産管理は何をする?
1つの製品がお客さまに届くまでには様々な工程があります。
その製品生産の際は一連の計画を立てる必要がありその計画を最適化するのが生産管理の仕事です。
生産計画は、品質(Quality)・原価(Cost)・納期(Delivery)の3つの要素から成り立っています。
生産管理の仕事はこの3要素を最適化し「品質の良いものを、安く、早く」つくること求められます。
そのためには、製造計画を立てるだけではなく、製品の需要(受注量)を確認し材料を調達、その後出荷・納品までを管理する必要があります。
その中で営業や取引先の方とやりとりをしたり、生産に必要な人員の管理をしたりと業務内容は多岐に渡ります。
大変な職業ではありますが、ものづくりに間近で関わることができチームで製品を作り上げて行く実感を持てる非常にやりがいのある仕事です。
生産管理のやりがい
生産管理のやりがいは、まず第一に日々ものづくりに間近で関われることです。
製造業は製品を生産し売ることで利益を得る業種なので製品を作らなければ始まりません。
その生産に日々関われることは、自分の仕事が会社の利益に繋がっている、自分は会社・社会に貢献できていると実感しやすくやりがいを感じられます。
様々な立場の方と仕事をする機会が多いのも生産管理の面白さです。
計画を立てる中で生産現場のオペレーターさんはもちろん、営業の方や原料メーカーの方など社内外の多くの方と仕事のやりとりをすることになります。
その方々と普段のやりとりから信頼関係を築くことで、生産がスムーズに進むだけでなく自分自身も仕事に面白さ・やりがいを感じられるでしょう。
さらに生産管理は自社の様々な製品の生産に関わることができるため、自然と自社製品に詳しい人材になることができます。
若手のうちから様々な製品に関われる生産管理をしておくと、別の部署や同じ業界の他企業に移った際にもその知識が生かせ強みとなるでしょう。
生産管理の苦労
生産管理はものづくりに間近で関われて面白い一方で間近で関わることによる苦労もあります。
当たり前ではありますが生産計画を立てるのは容易ではありません。
目の前の製造設備だけ見ていては効率良く生産を進めることはできず、様々なことを考慮に入れて計画を立て適宜変更をしていく必要があります。
生産管理で把握すべきことの一例を以下に挙げます。
- 製品の需要:そもそも作って売れるのか?
- 人の管理:製造にオペレーターは何人必要なのか?
- 原料の管理:どこから原料を買うか、いつ買うか、どれだけ買うか?
- 納期の管理:どの製品がいつまでに何個必要か?
- 在庫の管理:生産したものが全部倉庫に収まるか?
これら以外にも生産時間や原料価格の管理など把握すべきことはたくさんあります。
これを見ると「大変そうだなぁ、自分には難しいかも…」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
どんな仕事もはじめのうちは苦労が多いものですが、生産管理は様々な業務に関われるため非常にやりがいを感じられる職業です。
生産管理の平均年収
生産管理の平均年収は349万円で、人により150万円~1000万円と幅があります。
年代別に見ると20代前半で312万円、20代後半で324万円、30代で385万円、40代以上で358万円となっています。
日本の平均年収は約430万円ですので平均と比較するとやや収入の少ない職業と言えます。
この結果だけを見ると「給料が低い職業なんだ・・・」とがっかりする方もいらっしゃるでしょう。
ですが生産管理の仕事は様々な業界で活躍の場がありますので、平均賃金だけど見て一概に低収入だとは言えません。
生産管理として働ける企業により、それぞれ月収やその他の福利厚生なども異なるので仕事内容に関心がああれば、各企業を詳しく調べてみてください。
生産管理の1日の流れ
生産管理の1日は当日の計画チェックから始まります。
生産現場の方とも打ち合わせをしてお互いに間違いがないか確認します。
その後、出荷製品の検品やデスクワークをこなしていきます。
生産の見積作成や原料の発注、届いた注文品の受け入れやお客さまとの打ち合わせなど業務内容は多岐にわたります。
夕方以降は今後の生産計画を立て当日の生産の進捗を見直し1日の仕事が終わります。
基本的に生産が一段落するまで見届けるため残業が必要になることもよくあります。
生産管理に向いている学生
生産管理に向いているタイプとして以下の3つを挙げます。
- 物事を現実的に前に進める
- 突発的なトラブル対応が上手い
- 広いネットワークを作る
以下、それぞれを詳しく紹介します。
物事を現実的に前に進める
生産管理で大事な能力は計画性です。
さらに言うと実現可能な計画を立てることが大事です。
ある銘柄の製品を大量に作らないといけない場合、闇雲に特定の銘柄を生産計画に盛り込み現場の作業員の労働時間を増やしても反感を買ってしまいます。
普段から現実的に物事を考えて行動できる方は、実際に製品を生産する方の立場に立って実現可能な生産計画を立てることができるでしょう。
その能力があると、現場の作業員からも信頼され仕事が進めやすくなると思います。
突発的なトラブル対応が上手い
製造現場は安全第一ではありますが、生産中のちょっとしたトラブルはつきものです。
ある日はやたらと不良品が多かったり、ある日は装置が何度もエラーを起こしたり、はたまた原料の発注ミスで生産ができなかったり・・・。
そんな時はせっかく立てた生産計画の変更が余儀なくされます。
そのような予期せぬトラブルが発生した状況で、生産管理は臨機応変に素早く生産計画を調整する必要があります。
また、生産が予定通りに進まないとオペレーターの方や関係者に残業をお願いすることもあるでしょう。
そのため、普段から予想外のトラブルに直面しても柔軟に対処できる方は生産管理で活躍できると言えます。
広いネットワークを作る
生産管理の仕事では普段から様々な立場の方とやりとりがあります。
一連の生産計画を本当の意味で1人で管理することはほぼ不可能で、必然的に多くの人と良好な関係を築いていくことが求められます。
そのため、普段から人間関係のネットワークを広げることが好きで、他者と良好な関係を築く努力ができる方は生産管理に向いていると言えるでしょう。
社内外で広いネットワークを持つことができれば普段の業務はもちろん、トラブルが起きた際にも周囲の方と一緒にスピーディーに業務を進められます。
生産管理で求められるスキル・資格・マインド
これまで生産管理はものづくりに間近で関われる職業とお伝えしてきました。
そのため生産管理職に就くには理系の学部を卒業していないと無理なのではないかと思う方もいらっしゃると思います。
ですが実はそんなことはありません。確かにその企業で製造している製品に関係する知識があればなお良いですが、必須ではない場合が多いです。
というのも、生産管理が直接設備を動かしたり製品を製造するわけではないからです。生産管理はあくまで「管理すること」が仕事です。
スキル
まずはスキルから見ていきましょう。
PCスキル
最近はほぼPCで生産管理を行うためPCスキルが求められることはあります。
ですが、入社後に教育する前提で採用する場合がほとんどでしょうから大学でのレポート提出などに困らないくらいにPCが使えたら問題ないでしょう。
専門知識(あればなお良し)
基本的に専門知識は必須ではありませんが、理系学部出身で製品に近い分野に馴染みがあれば専門用語などが伝わりやすいためより歓迎されるでしょう。
英語
海外でも活躍できる人材の需要は年々高まっています。
生産管理の場合、海外に工場がある企業に入社すると海外赴任の機会も多いです。
英語スキルに不安がなければチャンスが来た時に積極的に挑戦していけるでしょう。
資格
生産管理を目指す上で必須の資格はありませんが、以下の資格を持っているとアピールにはなるでしょう。
- MOS(Microsoft Office Specialist)
Word・Excel・PowerPointのスキルを証明する資格です。
この資格を取得しておけば業務でのPC作業も安心、とまではいきませんが就活の際にPCはある程度使えますというアピールにはなります。
その他にも「QC検定」などの品質管理の資格もアピールにはなるでしょうが、入社してから学習する機会がある内容なので就活の段階では不要です。
こちらで挙げた資格はあればいいよねレベルのものですので、繰り返しになりますが生産管理になるために必須の資格はありません。
マインド
生産管理に求められるマインドには以下の3つが挙げられます。
計画を立てるのが好き
生産管理は計画を立てることが最重要な職業です。
複雑な計画を立てることも苦にならず取り組める方は生産管理で意欲的に仕事に取り組めるはずです。
仲間を大事にする
生産管理の仕事では周囲の方々と協力して仕事を進めていくことが不可欠です。
仕事で関わる人も多いため、時にはトラブルや意見の食い違いが生じることもあるでしょう。
そのような人間関係のマイナス面も含めて、仲間を大切に行動できることが生産管理には求められます。
日々学習しようという意欲
生産管理の仕事を始める際に、新卒ではまず特定のスキルが求められることはありません。
しかし実際の仕事内容は多岐に渡るため、入社後に覚えることも多々あります。
さらに生産は効率が重要ですから、新しい手法を取り入れて生産効率を改善する方法を考えることも生産管理の大事な仕事です。
そのため、新しい情報を敏感にキャッチし次々と業務に生かしていける学習意欲の高さも重要です。
生産管理のキャリアパスは?
生産管理は就職する際には特別なスキルは必要ありません。
しかしこれは新卒で就職する場合で、それ以外にも生産管理になる方法はいくつかあるので紹介します。
生産管理になるには?
生産管理になる方法は、大きく3つあります。
以下順番に紹介します。
新卒で生産管理になる
新卒で生産管理になる場合は、特別なスキルが必要ありません。
就活の際は、なぜ生産管理を仕事にしたいのか、自分のどんなところが生産管理に向いているのかをしっかりアピールすることが大事です。
別の企業から転職して生産管理を目指す
例えば、食品メーカーBに開発職(新製品を作ったり、今ある製品のリニューアルをしたりする職業)として就職したとします。
その後食品メーカーBでキャリアを積んだ後に、食品メーカーAに生産管理として転職する方法です。
この場合では、中途採用ですのである程度の専門知識が求められますが、前職の専門知識が生かせる企業であれば即戦力になるでしょう。
メーカーに就職して同じ企業内で生産管理を目指す
例えば、同じ企業内で開発職から生産管理職に部署異動するイメージです。
ジョブローテーション(職種や部署の移動)が盛んな企業では本人の希望が通りやすい場合もありますが、これは企業ごとに差がある部分です。
そのようなキャリアを目指すのであれば、希望する会社の情報をよく調べておきましょう。
生産管理のキャリアパス
生産管理のキャリアパスの一例を紹介します。
新卒で生産管理に就職したとして、海外に工場がある企業であれば、海外赴任の機会が得られる場合が多いようです。
そして帰国後に管理職に昇格するルートが一般的です。
この先、海外に製造拠点を増やす企業が増えていくと考えられ海外でも活躍できる人材は重宝されます。
就活の段階で「海外赴任なんて無理だ・・・ずっと日本にいられる仕事がいい」と思う方も多いと思います。
ですが、生産管理の仕事に限らずグローバルな視点でものを見られる人材は需要が高まる一方です。
良くも悪くも海外赴任はこれまでの価値観を変えられる良いチャンスです。機会があればぜひチャレンジしてみましょう。
生産管理の最新動向
本章では生産管理の最新動向について解説していきます。
この先も生産現場には欠かせない職業
AIに仕事を取って替わられると言われる今日でも、生産管理の仕事は生産現場に欠かせません。
どれだけ自動化・効率化が進んでも、結局装置を動かすのは人、営業をするのも人です。
生産に人が関わる以上、これからも様々な業界の生産現場で生産管理の仕事は求められるでしょう。
どんどん効率化されている
生産管理には計画性に加え、効率の良い計画を立てることが求められますが、最近は生産管理向けのシステムも多々開発されています。
各企業ごとに、管理がしやすいシステムを取り入れて業務の効率化を図っています。
こういった便利なプログラムは日々アップデートされています。
新しいシステムを積極的に取り入れる姿勢のある企業であれば、業務の時間を有意義に使えより良いキャリアの積み方をしていけるでしょう。
まとめ
今回は生産管理の仕事についてご紹介しました。
繰り返しになりますが、生産管理はものづくりに間近で関われる非常にやりがいのある職業です。
生産計画を立てて実行することには困難もたくさんありますが、難しい仕事である分達成感を感じられます。
また様々な立場の方と関われる仕事でもあり、社内外でネットワークを広げ頼れる仲間を得ることもできるでしょう。
生産管理は様々な業界で活躍できる職種です。
生産管理の仕事に興味を持っていただけたら、次はどんな業界に興味が沸くか・どんな業界が自分に向いているのかを考えていきましょう。
生産管理が活躍できる業界の一例を以下に掲載しておきます。ぜひご覧ください。
業界研究・職種研究をするなかで、今まで思いもしなかった職業に関心を持つこともあると思います。
就職活動は自分を見つめる良い機会です。
自分はどんな仕事がしたいのか、どんな仕事に向いているのか働く自分を想像してぴったりな職業を見つけられるよう応援しています!
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